フランスが公共の場の喫煙を大幅規制 ヨーロッパ各国の禁煙ルールは?
フランス政府がビーチや公園など屋外の公共空間まで禁煙エリアを広げる方針を示し、子どもを受動喫煙から守る動きがヨーロッパ各国で一層進んでいます。本記事では、フランスの新ルールと主要国の喫煙規制を、日本語で分かりやすく整理します。
フランス:ビーチや公園も全国一律で禁煙へ
フランス政府は、ビーチ、公園、学校周辺などでの喫煙を7月から全国的に禁止する方針を発表しました。特に子どもが多く集まる場所での受動喫煙を減らすことが狙いです。
どこで喫煙が禁止されるのか
- ビーチや海水浴場
- 公共の公園や庭園
- 学校の周辺エリア
- バス停やバスシェルター
- スポーツ施設
これらの場所は全国一律で禁煙とされる予定です。一方で、カフェの屋外テラスは今回の規制の対象外とされ、電子たばこ(いわゆる電子タバコ)にも新たな禁止措置は適用されません。
カトリーヌ・ヴォートラン保健・家族担当相は地元紙とのインタビューで「子どもがいる場所からは、たばこをなくさなければならない」と強調しています。フランスでは喫煙が原因で、1日あたり約200人が命を落としているとされています。
最近公表されたフランスの薬物・依存傾向観測機関の報告書によると、18〜75歳で毎日喫煙すると答えた人は全体の4分の1弱で、1990年代後半以降で最も低い水準にあります。それでもなお、健康被害の大きさから、政府は規制強化に踏み切っています。
ヨーロッパで広がる屋外も含めた喫煙規制
フランスの動きは、ヨーロッパ各国で進む喫煙規制の流れの一部です。多くの国で、屋内の公共空間に加えて、ビーチや屋外テラス、学校周辺など、屋外での喫煙も段階的に制限されています。
英国:2009年以降生まれは一生たばこ購入不可に?
英国では、フランスと同様に屋外の公共空間での喫煙を制限する方針が2024年に打ち出されました。これに関連して、2024年の法案が下院をすでに通過しており、上院での審議が続いています。
この法案が成立すると、学校や病院、遊び場の周辺での喫煙が禁止されるだけでなく、2009年以降に生まれた人は一生たばこを購入できなくなります。世代ごとに喫煙を段階的に減らす、いわゆる「スモークフリー世代」を目指す大胆な内容です。
スペイン:ビーチ禁煙は地域ごとに拡大
スペインでは、公共の場での喫煙は原則禁止で、例外として民間の喫煙クラブが認められています。さらに、ビーチにまで禁煙エリアを広げる動きが、自治体や州レベルで進んでいます。
- バルセロナ:2022年からビーチの喫煙を全面禁止
- アンダルシア州、バレアレス諸島、カナリア諸島、ガリシア州、バレンシア州:ビーチでの喫煙を部分的または全面的に禁止
同じスペイン国内でも、ビーチ禁煙の範囲や厳しさは地域によって異なっているのが特徴です。
スウェーデン:屋外テラスもバス停も禁煙
スウェーデンでは、2005年からレストランなど屋内での喫煙が禁止されています。さらに2019年には規制が拡大され、次のような屋外空間も禁煙となりました。
- レストランやカフェの屋外テラス
- バス停や鉄道のプラットホーム
- 公共施設の入口周辺
- 学校の校庭や遊び場、スポーツフィールド
「屋外なら自由に吸える」という前提が崩れつつあることが分かります。
主要ヨーロッパ諸国の喫煙ルール一覧
フランスや英国、スペイン、スウェーデン以外でも、多くのヨーロッパ諸国が公共の場での喫煙を厳しく制限しています。代表的な国のルールをコンパクトにまとめました。
- オーストリア:2019年以降、バーやレストランを含む屋内の公共空間は原則禁煙。50平方メートルを超える店舗では、煙が他のエリアに漏れない構造の喫煙室のみ認められています。
- ブルガリア:すべての公共の場で喫煙を全面禁止。
- チェコ:閉ざされた屋内空間での喫煙は禁止ですが、構造的に区切られた喫煙エリアは例外とされています。学校や公共交通機関は禁煙で、自治体の判断で遊び場やスポーツ施設も禁煙とすることができます。
- デンマーク:職場や公共交通機関など、ほとんどの公共空間で禁煙。指定された喫煙室や喫煙キャビンは認められ、小規模なバー(提供エリアが40平方メートル未満)は喫煙を許可できる場合があります。
- フィンランド:職場と公共空間での喫煙を禁止し、厳しい換気基準を満たす喫煙室のみを例外としています。屋外でも、保育施設や教育施設の近くでは喫煙が禁止されています。
- ドイツ:喫煙規制は州ごとに運用され、多くの州で公共の場は原則禁煙としつつ、別室の喫煙室を認めています。バイエルン州など一部ではより厳しい全面禁煙を採用し、小規模で食事を提供しない店舗に限り例外を設ける州もあります。
- ギリシャ:公共の場での喫煙は全面禁止ですが、大規模な娯楽施設やカジノには一部例外があります。
- イタリア:職場やレストランなどの公共空間は原則禁煙。フロア面積の半分未満で、十分な換気設備を備えた喫煙室のみが認められます。
- オランダ:屋内の公共空間は禁煙で、指定された喫煙室だけが例外です。屋外での喫煙は基本的に認められています。
- ポーランド:職場、公共交通機関、飲食店など多くの公共空間で禁煙。ただし、煙が他の区域に漏れないよう設計された喫煙室を設ければ、レストランやバーでの喫煙を認めることができます。
- スペイン:公共の場は原則禁煙で、例外として民間の喫煙クラブが存在します。ビーチ禁煙は、バルセロナや各州の取り組みとして広がっています。
- スウェーデン:屋内レストラン禁煙に加え、屋外テラスやバス停、学校の校庭なども禁煙とする2019年の拡大措置が特徴的です。
- 英国:屋内の公共空間での禁煙に加え、2024年の法案が成立すれば、学校や病院周辺など屋外の喫煙規制と「2009年以降生まれへの販売禁止」が導入される見通しです。
「健康」と「自由」をどう両立させるか
フランスのデータが示すように、喫煙率が下がっても公共空間での喫煙規制はむしろ強まっています。「子どもがいる場所からたばこをなくす」という考え方が、ヨーロッパ各国の政策にも広がりつつあります。
一方で、カフェのテラスを対象外とするのか、電子たばこをどこまで規制するのかなど、線の引き方は国によって大きく異なります。健康被害を減らしつつ、喫煙する人の自由や、飲食店などビジネスへの影響をどうバランスさせるのかが、今後も議論の焦点になりそうです。
読者への問いかけ
- ビーチや公園、学校周辺まで全面禁煙にすることについて、どこまで賛成できますか。
- 英国のような「ある世代からたばこ販売を禁止する」アプローチは、公平だと感じるでしょうか。
- 電子たばこを紙巻きたばこと同じように規制すべきか、それとも分けて考えるべきでしょうか。
ヨーロッパ各国の動きは、公共の場のマナーや健康政策を考えるうえで、周囲と意見を交わすきっかけにもなります。SNSなどで、このテーマについて身近な人と話してみるのもよさそうです。
Reference(s):
As France tightens smoking ban, what are the laws around Europe?
cgtn.com








