ガザ停戦案でハマスが修正要求 米特使は「到底受け入れられない」
ガザ情勢をめぐる最新の停戦案で、イスラム組織ハマスが条件の修正を求めているのに対し、米国の特使スティーブ・ウィトコフ氏がこれを「到底受け入れられない」と強く批判しました。人質解放と停戦、そして人道支援拡大をめぐる駆け引きが、再び緊張を高めています。
米国が後押しするガザ停戦案の中身
ハマスが修正を求めているのは、米国が提示した最新のガザ停戦提案です。この提案は、60日間の戦闘休止と人質・囚人交換、人道支援の拡大を柱としています。
- ガザでの戦闘を60日間一時停止
- ガザに依然拘束されている58人の人質のうち28人を解放
- これと引き換えに、パレスチナ人囚人1200人超を釈放
- ガザ地区への人道支援物資と支援ルートを拡大
ウィトコフ氏は、この米提案を土台として、当事者が別々の場所で交渉する形式の間接協議を進めたい考えを示しています。
ハマスの修正要求:段階的解放と恒久停戦の保証
ハマス側は、提案そのものを全面的に拒否したわけではないと主張しつつ、いくつかの重要な修正を求めています。そのポイントは次の通りです。
- 60日間の停戦期間中に、人質の解放を3段階に分けて行うこと
- ガザ全域にわたる、より広範な人道支援アクセスの確保
- 今回の合意が、一時的な休戦ではなく恒久的な停戦につながるという明確な保証
別の声明でハマスは、恒久的な停戦、イスラエル軍のガザからの全面撤収、そして安定した支援物資の流入を求めています。そのうえで、10人の生存している人質と18人の遺体を、合意された人数のパレスチナ人囚人と引き換えに解放する用意があるとしています。
ハマス幹部のバセム・ナイーム氏は、ハマスが提案を拒否したとの見方を否定し、イスラエル側が提示している内容は、これまで議論してきた枠組みと食い違っていると主張しました。また、ウィトコフ氏について「完全にイスラエル寄りの偏った姿勢だ」と批判しています。
イスラエルの立場:ハマスの武装解除と人質の無条件解放
一方、イスラエル側は、ハマスの要求を受け入れられないとしています。イスラエルが掲げる条件は、ハマスの武装解除、ガザでの支配からの排除、そして残る全ての人質の無条件解放です。
イスラエルのネタニヤフ首相は、自身の政権はウィトコフ氏が示した枠組みに同意しているとしたうえで「ハマスは引き続き提案を拒んでいる」と述べました。そのうえで「イスラエルは人質の帰還とハマス打倒のための行動を続ける」と強調しています。
ウィトコフ氏は、ハマスの回答を受け取ったあと、Xへの投稿で「ハマスの対応は全く受け入れられず、我々を後退させるだけだ」と述べ、ハマスに対し「我々が提示した枠組みを、間接協議の土台として受け入れるべきだ」と迫りました。
イスラエルの国営放送カンは、ハマスの姿勢を受けて、イスラエル軍が北部ガザでの軍事作戦を一段と強める見通しだと伝えています。イスラエルのカッツ国防相も、ハマスに向けて「合意を受け入れるか、さもなくば破壊されるかだ」と警告しました。
イスラエル軍はまた、今月初めの空爆で、ガザ地区におけるハマス軍事部門の責任者とされる幹部、モハメド・シンワル氏を殺害したと発表しました。
ガザの犠牲者と人道状況
ガザの保健当局によりますと、イスラエルによる軍事作戦が2023年10月7日に始まって以来、これまでに5万4381人が死亡し、12万4054人が負傷したとされています。
さらに、今年3月18日に戦闘が再開してからだけでも、少なくとも4117人が死亡し、1万2013人が負傷したと報告されています。数字はいずれも、現地時間の土曜日に明らかにされたものです。
ことし1月19日に始まった停戦は、同年3月18日にイスラエル軍が軍事作戦を再開したことで崩壊しました。その過程で、イスラエルは3月2日にガザとの境界検問所を閉鎖し、人道支援物資の流入を大幅に制限しました。5月22日以降は、限定的ながら支援物資の搬入が再び認められているとされています。
停戦案が実現すれば、人質解放と同時に人道支援の拡大が見込まれますが、交渉の行方次第では、市民の犠牲と生活への打撃が長期化する懸念も残ります。
停戦交渉が難航する三つのポイント
今回のやりとりからは、停戦に向けた三つの大きな争点が浮かび上がります。
- 一時停戦か恒久停戦か
米提案は60日間の戦闘休止を柱とする一方、ハマスは恒久的な停戦とイスラエル軍の全面撤収を求めています。期間限定の休止にとどめるのか、紛争終結への道筋をどう位置づけるのかが大きな焦点です。 - 人質と囚人交換の枠組み
28人の人質解放と1200人超の囚人釈放という米案に対し、ハマスは段階的な解放と、10人の生存者と18人の遺体を含む別枠の提案も示しています。誰を、どの順番で解放するかをめぐる政治的・感情的な重みは小さくありません。 - 軍事行動と交渉の両立
イスラエル側は、受け入れなければ軍事行動を強化すると警告しており、北部ガザでの作戦拡大も報じられています。交渉と軍事圧力が同時進行するなかで、双方が妥協点を見いだせるかが問われています。
読む側として意識したい視点
ガザをめぐるニュースは、数字や声明が次々と更新される一方で、何が争点なのかが見えにくくなりがちです。今回の停戦案を追う際には、次のような点を意識すると状況を整理しやすくなります。
- 停戦案が「どのくらいの期間」「何を交換条件に」しているのか
- 各当事者が「最低限譲れない」としている条件は何か
- 市民の犠牲と人道支援への影響が、交渉にどう影を落としているか
いずれの側の主張であっても、その背景には安全保障上の計算と、家族や地域社会の喪失という現実が同時に存在します。数字や強い言葉の裏側で、何が政治的な交渉の材料となり、何が人間として守るべき一線なのかを考え続けることが、遠く離れた場所からニュースを読む私たちにできる一つの姿勢と言えそうです。
Reference(s):
Hamas seeks changes to U.S. Gaza plan; Witkoff calls it 'unacceptable'
cgtn.com







