カリフォルニア州、ホームレス野営地の全面禁止へ 監査で浮かぶ「見えない支出」 video poster
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、ホームレスのテント野営地を公共空間から事実上なくしていく方針を打ち出しました。背景には、巨額のホームレス対策費が「どこでどう使われたのか」が見えないという深刻な指摘があります。
公共空間からテント野営地を排除へ
ニューサム知事は最近、州内の数百にのぼる地方政府に対し、歩道や自転車道、公園などの公共用地でのテント野営を禁止するよう促す姿勢を明確にしました。目標は、カリフォルニア各地で広がってきたホームレス野営地を「根絶」していくことだとされています。
対象となるのは、歩行者や自転車の通行を妨げる可能性のある歩道や、自転車専用道路、都市公園、その他の公有地などです。住民からの安全面や衛生面の懸念が高まるなか、州としてより強いメッセージを出した形です。
きっかけは監査報告 「巨額支出なのにデータなし」
こうした動きの背後には、州と地方政府によるホームレス対策費の扱いをめぐる一連の監査報告があります。監査では、ホームレス支援のために投じられた数十億ドル規模の資金について、州・地方ともに十分なデータを集めておらず、効果の検証が困難になっていると指摘されました。
どの地域で、どのような支援策に、どれだけの資金が使われ、その結果として何人が住まいを得たのか。こうした基本的な情報が体系的に把握されていないことが、批判を浴びています。説明責任を果たせていないという声が高まっています。
路上で暮らす人々には「より複雑な」生活に
一方で、ホームレス状態にある人々の生活は、今回の方針により「さらに複雑になっている」との見方も出ています。監査報告の問題が解決しないまま、先に野営地の排除だけが進めば、住む場所を失った人々が別の場所へ移動を繰り返す悪循環に陥るおそれもあります。
テントを張ることが禁止されるエリアが広がれば、路上生活者は、より人目につかない場所へ押しやられる可能性があります。その結果として、支援団体や行政が人々を見つけにくくなり、医療や相談、住まい支援につなげることが難しくなる懸念も指摘されています。
「公共の安全」と「人としての尊厳」をどう両立するか
今回の方針は、公共空間の安全・衛生を守りたい住民の思いと、住まいを失った人の尊厳や生存権をどう両立するかという、難しい問いを突きつけています。テント野営を一律に禁止するだけでは、根本的な解決にはつながりにくいという声もあります。
必要なのは、野営地を撤去するかどうかという二者択一ではなく、仮設住宅やシェルター、長期的な住宅支援など「テントの先」にある具体的な選択肢をどれだけ用意できるかという視点だといえます。そのためにも、どの施策に効果があるのかを示す、信頼できるデータが欠かせません。
今後の焦点:データ、対話、そして時間軸
2025年現在、カリフォルニアのホームレス問題は、住宅費の高騰や貧困、精神的なケアの不足など、複数の要因が絡み合う長期的な課題となっています。ニューサム知事の野営地禁止の呼びかけは、その一部に切り込む試みですが、短期的な「見た目の改善」と長期的な「問題の解決」をどうバランスさせるかが問われます。
今後の焦点となりそうなのは、次の3点です。
- 監査で指摘されたデータ不足をどこまで解消し、政策評価につなげられるか
- 地方政府や住民、支援団体、ホームレス当事者との対話をどのようにデザインするか
- 「撤去」だけでなく、住宅確保や就労支援など中長期の道筋をどこまで具体化できるか
テント野営地の禁止は、見方によっては「強硬策」にも「秩序回復策」にも映ります。カリフォルニアがこれから示すのは、どちらか一方に振り切るのではなく、公共空間で共に生きるための新しいバランスの探り方なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








