ドイツ裁判所、新政権の難民「押し戻し」政策は違法と判断
2025年12月8日、ドイツのベルリン行政裁判所は、新しいドイツ政府が進めてきた「国境で亡命希望者を送り返す」政策について、法律に反すると判断しました。EUの亡命手続きの枠組みである「ダブリン制度」に反する可能性が指摘されています。
新政権の「押し戻し」政策に違法判断
裁判所によりますと、ドイツの新政権は、国境で身柄を確保した亡命希望者を他国側へ送り返す、いわゆる「押し戻し」政策を進めてきました。しかしベルリン行政裁判所は、この対応は認められないと明確に示しました。
裁判所は声明で、「ドイツ領内の国境検査において亡命の意思を表明した者は、EUの『ダブリン』制度に基づき、どの国が申請を処理する責任を負うかが決定される前に送り返してはならない」と述べています。
ここで重要なのは、「国境検査中」であっても、ドイツの領域で亡命の意思を示した人は、単純に追い返すことはできないという点です。まずはどの国が申請を受け付ける責任を持つのかを確認する必要があると、裁判所は指摘しました。
EUの「ダブリン制度」とは何か
今回の判決のキーワードになっているのが、EUの亡命手続きの仕組みである「ダブリン制度」です。裁判所の説明によれば、この制度は、亡命申請がなされたときに、EUのどの国がその申請を処理する責任を負うかを決めるためのルールです。
つまり、申請者を目の前にした国境当局は、「自国が審査するべきか」「別のEU加盟国が担当すべきか」を、ダブリン制度に沿ってまず判断しなければなりません。裁判所は、その手続きが済む前の段階で、国境から一方的に送り返すことは許されないと判断したことになります。
ドイツの国境管理と難民政策への影響
ベルリン行政裁判所の判断に従うなら、今後ドイツの国境管理現場では、亡命の意思を示した人に対する対応を見直す必要が出てきます。単に「国境で止めて元の場所に戻す」という運用は、今回の判決の趣旨に反する可能性があるためです。
これは、ドイツ国内の難民・移民をめぐる議論だけでなく、EU全体の亡命制度の運用にも影響を及ぼす可能性があります。国境管理の厳格化を求める声と、人道的な保護を求める声のバランスをどう取るのかという、ヨーロッパ共通の課題が改めて浮き彫りになったとも言えます。
なぜこのニュースが重要なのか
今回の判決は、次の点で国際ニュースとして注目に値します。
- 亡命希望者の送り返し(プッシュバック)をどこまで認めるかという、ヨーロッパの大きな争点に司法が一石を投じたこと
- 国境付近であっても、亡命の意思を示した人には法的な保護手続きが必要だと、裁判所が明確に示したこと
- EUのダブリン制度の運用が、個々の加盟国の国境政策よりも優先されるべきだというメッセージが含まれていること
日本にいる私たちにとっても、難民や移民をどう受け入れるのか、国境でどのような権利が保障されるべきなのかを考えるきっかけになります。ドイツの裁判所の判断は、遠いヨーロッパだけの話ではなく、グローバルな人の移動が当たり前になった時代の「ルール作り」をめぐる問いとして、私たちにも静かに投げかけられていると言えます。
Reference(s):
German court rules border pushback of asylum seekers illegal
cgtn.com








