ポルトガル移民に退去通告 宙ぶらりんの50万人と一人の声 video poster
ポルトガルで広がる移民の不安
2025年12月現在、ポルトガルで数千人規模の移民が当局から退去を求められ、不安が広がっています。その背景には、在留資格の申請が長期間処理されないまま「宙ぶらりん」になっている人たちの存在があります。
パキスタン出身のモサン・ハッサンさん(42)は、その一人です。家族に勧められて1年前にポルトガルへ移り、合法的な在留資格を申請しました。農業分野で働き、税金などの支払いも欠かさず行ってきましたが、それでも身分は「書類のない」状態のままだといいます。
本来は90日以内に処理されるはずの在留申請は、当局が定める90日間の処理期限を大きく超えても結論が出ていません。ハッサンさんのように、法的地位が決まらないまま待たされている移民は、ポルトガル国内でおよそ50万人に上るとされています。
「私たちも人間だ」ハッサンさんの訴え
メディアCGTNの取材に対し、ハッサンさんは「私たちも人間です。ルールを守り、税金も支払っています。それでも人々は私たちに憎しみを向けるのです」と語りました。
ポルトガルに来る前、彼はここまで強い反移民感情があるとは想像していなかったといいます。「こんなに多くの移民に反対する人々がいるとは思っていませんでした。もし別の国に行ける選択肢があるなら、そちらを選びたい」とも話し、日常的な不安と失望をにじませました。
在留資格がないということは、仕事や住まいが不安定になるだけでなく、いつ退去を命じられるか分からないという恐怖とも向き合うことを意味します。制度の「隙間」に取り残された移民にとって、毎日が緊張の連続だといえます。
中道右派連立政権の再登場と移民政策
今週、ポルトガルでは中道右派の連立政権が再び政権の座につきました。この連立は、最初の政権運営が1年で崩壊したあと、あらためて発足したものです。
こうした政治の揺れ動きの中で、移民政策の方向性は不透明さを増しています。数千人に退去を求める動きが伝えられる一方で、およそ50万人規模の移民が法的な地位を待たされているとされる現状は、社会の分断を深めかねません。
法の下での平等や、労働力として社会を支えている人々の権利をどう守るのか。ポルトガル社会は、難しい問いに直面しています。
日本からこのニュースをどう読むか
ポルトガルの事例は、移民を受け入れる社会が直面しがちなジレンマを浮き彫りにしています。一方で人手不足を補う存在でありながら、他方で「よそ者」として警戒の対象にもなりやすいという二重の姿です。
在留資格の審査遅れが、暮らしの安全と尊厳を脅かすこともあります。法の運用が追いつかなければ、真面目に働き、税金を納めている人であっても、社会の周縁に追いやられてしまいます。
移民や外国ルーツの人々をめぐる議論は、多くの国と地域に共通するテーマです。ハッサンさんの「私たちも人間だ」という言葉は、制度や数字の議論の背後に、生活者一人ひとりの物語があることを思い出させてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








