国連、米主導のガザ食料支援計画を大惨事のレシピと警告
国連、米主導のガザ食料支援を批判
国連は、米国が主導しイスラエルが支持する新たなガザ向け食料支援計画について、多数の死者を伴う危険な仕組みだとして「大惨事のレシピ」と強く批判しました。ガザでは、飢餓に直面した人々が限られた配給拠点に殺到し、ここ3日間だけでも多くの死者が報告されています。
米国主導の「ガザ人道基金」とは
問題となっているのは、米国が運営しイスラエルが承認した「ガザ・ヒューマニタリアン・ファウンデーション(GHF)」による新しい支援スキームです。GHFはガザ北部などに要塞化された配給拠点を設け、深刻な飢餓に直面する人々に食料を配っています。
しかし、支援を受けるには、人々はしばしば次のような危険を冒さなければならないとされています。
- 軍事化された区域や、退去命令が出された地域を通って移動する
- 有刺鉄線で区切られた導線を徒歩で進み、配給所にたどり着く
- 現場では武装した民間請負会社の要員が警備にあたるが、その説明責任は不透明
こうした仕組みの下で人々が殺到し、配給所周辺で多数の死傷者が出ていることが、国連の強い懸念につながっています。
「大惨事のレシピ」となった現場
アントニオ・グテーレス国連事務総長の報道官を務めるステファン・デュジャリック氏は、現地時間の火曜日、GHF方式の支援について「人々を有刺鉄線の間に誘導し、徒歩で食料を取りに行かせ、説明責任が不明確な武装請負会社の存在に依存するこの仕組みは、大惨事のレシピだ」と警告しました。
グテーレス事務総長は、食料を求める中で命を落としたパレスチナの人々について「ガザで支援を求める市民が命を失い、負傷していることは受け入れがたい。人々は、ただ食べ物を得ようとしているだけなのに、命を危険にさらし、実際に命を落としている」として、強い憤りを示しています。
事務総長は、これらの事件について「即時かつ独立した調査」を求め、責任者を明らかにし、説明責任を果たすべきだと訴えています。
ガザの基本的ニーズは「満たされていない」
デュジャリック報道官によると、ガザの人々の基本的なニーズは「途方もなく大きい」が、現時点でそれが満たされているとは言えません。イスラエルが11週間にわたって続けていたガザの封鎖を解除した後も、支援物資は混乱と流血の中で「細々と届いている」に過ぎず、飢饉の危険が高まっていると指摘されています。
報道官は、イスラエルには国際人道法に基づき、支援を必要としている全ての民間人に対し、人道支援を認め、その実施を容易にする明確な義務があると強調しました。
安保理が検討する停戦と人道アクセスの決議案
こうした中、国連安全保障理事会(安保理)は、水曜日にイスラエルとハマスの間の停戦と、ガザ全域への人道アクセスを求める決議案について採決を行う予定です。草案を確認した通信社によると、この決議案は次の内容を含んでいます。
- イスラエルとハマスなどの間での停戦の実現を求める
- ハマスやその他の勢力によって拘束されている全ての人質の解放を要求する
- 国連を含む機関によるガザ全域での安全かつ妨げられない人道支援の実施を保証するため、支援物資の搬入と配分に対するあらゆる制限の即時解除を求める
決議案を主導している国の一つであるスロベニアのサミュエル・ズボガル国連大使は、「行動すべき時はすでに過ぎた。沈黙してはならないことは私たちの歴史的責任だ」と述べ、安保理に速やかな対応を促しました。
GHFをめぐる賛否と人道支援の「軍事化」
GHFは活動開始から1週間で、3カ所の配給拠点から700万食以上を配布したと説明しています。他方でGHFは、水曜日には支援配給を行わない方針を示し、配給拠点の外側を含めて民間人の安全がより確保されるよう、イスラエル側に改善を求めています。
しかし、国連や他の人道支援団体は、GHFと連携することを拒んでいます。その理由として、
- GHFが紛争当事者から十分な距離を取れておらず、中立性が確保されていないこと
- 支援の現場に武装要員を配備する仕組みが、人道支援の「軍事化」につながること
- 警備や物流を担う米国の民間企業の権限や責任が不透明であること
などが挙げられています。人道支援の世界では、中立性と独立性、そして支援ルートの非軍事化が、人々の信頼と安全を守るうえで重要だとされています。今回のケースは、軍事的な要素を取り入れた支援モデルが、かえって民間人のリスクを高めていないかという根本的な問いを突きつけています。
私たちはこのニュースをどう受け止めるか
ガザで起きているのは、単なる支援の「やり方」の問題ではなく、人道支援と安全保障をどう両立させるかという難しい課題です。今回のニュースから、少なくとも次の点を考えるきっかけが得られます。
- 支援のために人々が命を危険にさらさなければならない状況は、どこで間違っているのか
- 国際人道法や国連の枠組みは、実際の現場でどこまで機能しているのか
- 中立性や非軍事性をめぐる人道支援の原則は、紛争が長期化する中でどう守られるべきか
安保理での議論やGHFの今後の対応は、ガザの人々の生活だけでなく、今後の国際人道支援のあり方にも影響を与える可能性があります。日本からニュースをフォローする私たち一人ひとりにとっても、「支援とは何か」「安全とは何か」をあらためて問い直すニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
UN blasts U.S.-run Gaza food aid plan as recipe for disaster
cgtn.com








