チャド大統領が米国市民へのビザ発給停止を指示 渡航禁止に「相互主義」で対抗
チャドのマハマト・イドリス・デビ・イトノ大統領が、米国市民へのビザ発給を停止するよう政府に指示しました。米国によるチャドへの渡航禁止措置への対抗で、国際ニュースとして注目を集めています。
チャド大統領が米国市民へのビザ発給停止を指示
チャドのマハマト・イドリス・デビ・イトノ大統領は、米国市民に対するビザの発給を停止するよう政府に命じました。対象となるのは、アメリカ合衆国の国籍を持つ人々です。
大統領は木曜日、自身のソーシャルメディアで次のような趣旨のメッセージを発信しました。政府に対し「相互主義の原則」に基づいて行動し、アメリカ市民へのビザ発給を停止するよう指示したと説明。そのうえで「チャドには提供できる飛行機も、差し出す何十億ドルの資金もない。しかし、チャドには尊厳と誇りがある」と述べ、決定が自国の尊厳を守るためのものであると強調しました。
きっかけは米国の渡航禁止措置
今回の判断の背景には、米国側の新たな渡航制限があります。ドナルド・トランプ米大統領は水曜日、一部の国からの渡航を禁止する大統領布告に署名しました。その対象国のなかにはチャドも含まれており、理由として米国の「国家安全保障上のリスク」が挙げられています。
チャドのビザ停止決定は、この米国の動きが発表された翌日に出されたもので、両国の間で「入国規制」をめぐる応酬のかたちになりました。
外交で使われる「相互主義」とは
大統領が言及した「相互主義(リシプロシティ)」は、外交や国際関係でよく使われる考え方です。相手国が自国に対して行う扱いに合わせて、自国も同じような扱いを返すという原則を指します。
ビザ政策の文脈では、ある国が自国民へのビザ条件を厳しくした場合、自国も相手国市民へのビザ条件を厳しくする、といった形であらわれます。今回チャドは、米国がチャドからの渡航を制限したことに対し、自国としても米国市民の入国手続きを停止するという「対抗措置」を選んだかたちです。
旅行・ビジネスへの影響はどうなるか
ビザ発給の停止は、今後チャドを訪れようとしていた米国市民に直接影響します。観光やビジネス、国際機関やNGOの活動など、さまざまな目的での渡航計画に見直しが迫られる可能性があります。
一方で、米国側の渡航禁止措置もチャドから米国に向かう人々に影響を与えます。結果として、両国間の人の往来は一気に細くなり、短期的には
- ビジネス上の対面のやりとりが難しくなる
- 留学・研修・国際会議への参加が制限される
- 家族や親族の訪問がしづらくなる
といった影響が懸念されます。
「尊厳と誇り」を前面に出したチャドのメッセージ
今回の発表で特に目を引くのは、「チャドには飛行機も何十億ドルもないが、尊厳と誇りがある」という大統領の言葉です。これは、経済規模や軍事力では米国と大きな差があるなかでも、主権国家として対等な立場を主張するメッセージと受け止められます。
相手国からの制裁や制限に対し、自国も政策で応じるという構図は、現在の国際ニュースでたびたび見られます。今回のチャドの決定は、比較的小さな国でもビザ政策を通じて政治的な意思を示しうることをあらためて印象づける動きと言えます。
私たちが押さえておきたいポイント
今回のチャドと米国の動きを、日本の読者としてどのように捉えればよいのでしょうか。国際ニュースとして、次のような点は意識しておく価値があります。
- ビザ政策は「安全保障」と「メッセージ発信」の両方の性格を持つ:安全保障やテロ対策といった名目の一方で、外交的な立場表明の道具にもなります。
- SNSが外交の舞台になっている:今回の発表も大統領のソーシャルメディアを通じて行われました。トップの発信がそのまま国際ニュースになる時代です。
- 個人の移動が政治の影響を強く受ける:ビザや渡航制限は、最終的には旅行者や留学生、ビジネスパーソンなど一人ひとりの生活に直結します。
国際社会でビザや渡航制限をめぐる動きが続くなか、自分や身近な人の海外渡航についても、目的地の最新の入国条件を確認することがこれまで以上に重要になってきています。
Reference(s):
Chad president orders gov't to suspend visa issuance to U.S. citizens
cgtn.com








