トランプ大統領はデモに軍を投入できる?米国法のポイント解説
アメリカで移民取り締まりに反対するデモが続く中、トランプ大統領がカリフォルニアに州兵や海兵隊員を動員し、州側は「違法」として提訴しました。この国際ニュースについて、大統領はどこまで軍を国内に投入できるのか、米国法の枠組みを日本語で整理します。
何が起きているのか
数日間にわたり、連邦政府による移民摘発に抗議する数百人規模のデモがカリフォルニア州で続いています。トランプ大統領は、これらの抗議活動が連邦の法執行を妨げていると主張し、政府への「反乱」の一形態になり得ると位置付けました。
大統領はその対応として、カリフォルニア州にナショナルガード(州兵)部隊を展開しました。さらにヘグセス米国防長官は、現役の海兵隊員700人を動員する方針を示しています。
これに対しカリフォルニア州は月曜日に、ロサンゼルス郡への「違法」な軍隊の派遣をやめ、州兵の指揮権をギャビン・ニューサム州知事に戻すよう、連邦政府を相手取って提訴しました。
なぜ州兵の指揮権が争点になるのか
ナショナルガードは、平時は各州知事の指揮下で災害対応や治安維持に当たる部隊です。しかし、連邦政府が「連邦化」と呼ばれる手続きで指揮権を引き取ると、大統領の指揮する部隊として運用されます。
カリフォルニア州が問題視しているのは、まさにこの指揮権の移管です。州側は、移民摘発に反対するデモを理由に州兵を連邦政府の管理下に置き、ロサンゼルス郡に派遣することは、米国法や憲法が認める範囲を超えていると主張しているとみられます。
米国法は大統領の軍投入をどう制限しているか
米国では、大統領は軍の最高司令官として幅広い権限を持ちますが、国内で治安維持に軍隊を使うことについては、複数の法律と慣行によって厳しく制限されています。
代表的なのが、連邦軍による国内の警察活動を原則として禁じるポッセ・コムタタス法と、例外的に軍を動員できる条件を定めた反乱法と呼ばれる枠組みです。こうした法律は、軍事力が政治的対立の手段として使われることを防ぐために存在しています。
今回伝えられている情報の中では、どの法律に基づいてナショナルガードや海兵隊が動員されたのかまでは明らかになっていません。ただ、トランプ大統領が抗議行動を「反乱の一形態」と表現していることから、政府側が治安維持や連邦法執行のための特別な権限を強調していると受け止めることもできます。
カリフォルニア州の訴えのポイント
カリフォルニア州は、軍の展開が「違法」だと主張して連邦政府を提訴しました。具体的な法的論点は今後の訴訟で明らかになっていきますが、少なくとも次のような点が焦点になると考えられます。
- デモが本当に連邦の法執行を妨害していると言えるのか
- 抗議行動を「反乱」と見なせるほど深刻な事態なのか
- 州兵を連邦の指揮下に移し、ロサンゼルス郡に派遣する手続きが適切か
- 州の自治や州知事の権限を侵害していないか
軍の国内投入が持つ重さ
軍隊の国内投入は、どの国にとっても極めてセンシティブな問題です。デモや抗議活動が多少混乱を伴っていたとしても、それが直ちに軍事力の出番を意味するわけではありません。
米国の法律が細かく条件を定めているのは、表現の自由や集会の自由など、憲法で保障された権利を守りつつ、公共の安全をどう維持するかという難しいバランスを取ろうとしているからです。
日本の私たちにとっての意味
日本にいる私たちにとっても、今回のアメリカの動きは他人事ではありません。治安維持のために軍事力をどこまで使うのか、中央政府と地方政府の力の配分をどう考えるのかは、多くの民主主義国が共有する課題だからです。
デモに対する軍の投入をめぐるアメリカ国内の議論をたどることは、権力を誰がどのようにコントロールするのか、また市民の権利をどう守るのかを改めて考えるきっかけになります。裁判所がどのような判断を下すのか、今後の展開を落ち着いて見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
Explainer: Does U.S. law allow Trump to send troops to quell protests?
cgtn.com







