カリフォルニア州、州兵動員は「州主権の侵害」と提訴 移民摘発デモで対立
米カリフォルニア州が、ドナルド・トランプ大統領の政権によるロサンゼルスへの州兵(ナショナル・ガード)派遣は違法で州の主権を侵害し、連邦法にも反するとして、連邦政府を提訴しました。移民摘発をきっかけに広がった抗議デモをめぐり、州と連邦政府の対立が一段と鮮明になっています。
- 州の訴状は、トランプ政権による州兵動員が州主権と連邦法に反すると主張
- ロサンゼルスのデモ対応のため、海兵隊約700人と州兵2,000人規模が動員される見通し
- 発端は南カリフォルニアでの移民摘発に対する抗議デモで、民主党は「挑発」と批判
何が起きているのか
カリフォルニア州は月曜日、連邦裁判所に提出した訴状の中で、トランプ政権によるナショナル・ガードのロサンゼルス派遣は「違法」であり、「州の主権を侵害し、連邦法にも違反する」と主張しました。
州は、州兵の運用は本来州の判断で行われるべきだとし、連邦政府による一方的な介入は、州の治安維持に関する固有の権限を弱めるものだと訴えています。
一方、米北方軍は同じ月曜日、ロサンゼルスでの抗議デモに対応するため、約700人の米海兵隊員を動員したことを確認しました。さらに、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、トランプ大統領がロサンゼルスに追加で2,000人の州兵を派遣する方針だと知らされたと明らかにしています。
緊張の発端は「移民摘発」
今回の緊張は、今年6月7日にトランプ大統領が州兵の出動を命じて以来、高まり続けています。南カリフォルニアで移民摘発(イミグレーション・レイド)が行われたことに対する街頭デモが広がり、その対応として州兵が投入されました。
民主党側は、この州兵動員を「不必要な挑発だ」と批判しており、軍や州兵の姿が街中に現れること自体が、デモ参加者や地域社会の不安を増幅させていると警戒しています。
争点は「誰が治安維持を決めるのか」
今回の提訴の背景には、治安維持に軍をどこまで使うべきかという議論と、州と連邦政府の力関係をめぐる根本的な問題があります。
- 州兵の出動を決める権限は誰にあるのか
- 平時の国内治安に軍や海兵隊を投入することは妥当なのか
- 移民政策への抗議デモに対して、どこまで強制力を行使できるのか
米国では通常、州兵は州知事の指揮下で災害対応や治安維持にあたりますが、連邦政府が命令権を引き取ることも制度上は可能とされています。カリフォルニア州は今回、この連邦側の介入が行き過ぎであり、州が自らの判断で対応すべきだと主張している形です。
ロサンゼルスの現場で懸念されること
ロサンゼルスでは、移民摘発に抗議するデモが続く中、軍や州兵の大規模な展開が、市民と治安部隊との緊張をさらに高めるのではないかという懸念が広がっています。
民主党側は、軍事色の強い対応がデモ参加者を刺激し、かえって衝突や暴力を招きかねないと指摘しています。カリフォルニア州の提訴は、こうした懸念を法的な形で示したものともいえます。
日本の読者への問いかけ
今回のアメリカの動きは、日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。中央政府と地方自治体の権限の線引きや、デモ・抗議活動に対する治安対応は、多くの民主主義国が共有するテーマだからです。
- 公的な力の行使は、誰がどのようなルールで決めるべきか
- 市民の抗議の権利と、公共の安全はどのように両立できるか
- 移民をめぐる政策議論を、社会全体でどう進めるべきか
カリフォルニア州の訴えに対して、裁判所がどのような判断を示すのかは今後の大きな焦点です。その結果は、アメリカの州と連邦政府の関係だけでなく、世界各地で続く「安全」と「権利」のバランスをめぐる議論にも影響を与える可能性があります。
Reference(s):
California says National Guard deployment violated state's sovereignty
cgtn.com








