南カリフォルニアでICE摘発に抗議 30超の市長が一斉に停止要求
2025年12月、米カリフォルニア州南部で移民・税関執行局(Immigration and Customs Enforcement、ICE)など連邦当局による大規模な摘発が続くなか、ロサンゼルス市長のカレン・バス氏を含む30を超える市長が、作戦の即時中止と部隊の撤収を求めて声を上げています。
ロサンゼルス市長ら「連邦の摘発作戦を止めて」
現地時間の水曜日、ロサンゼルスのカレン・バス市長は、南カリフォルニア各地の30人超の市長とともに会見に臨み、移民・税関執行局(ICE)による一連の強制摘発と、武装した連邦部隊の展開をただちに終わらせるよう訴えました。
ICEと他の連邦機関による取り締まりは、当初のロサンゼルス中心部から周辺の複数の郡へと広がり、地域全体での一斉取り締まりの様相を強めています。
市長らは、ICEによる摘発停止に加え、地域に派遣されている州兵(ナショナルガード)や海兵隊など「連邦化」された部隊の撤収も求めています。
「安全ではなく恐怖を生んでいる」バス市長がホワイトハウスを批判
バス市長は会見で、「1週間前までロサンゼルスや周辺都市は平穏だったが、ICEや他の連邦機関による強制執行が始まって以来、大きな不安と混乱が広がっている」と述べ、現在の状況を「受け入れがたい」と表現しました。
さらに、今回の事態について「ホワイトハウスが政治的な野心から招いたものだ」として、アメリカのドナルド・トランプ大統領の姿勢を厳しく批判しました。「ホームセンターや職場を急襲し、親と子どもを引き離し、装甲車の車列を街中に走らせるのは、安全のためではなく、人々に恐怖とパニックを与えるためだ」とも語りました。
6日目に入った危機 400人超を拘束
一連の騒動は、水曜日で6日目に入りました。ロサンゼルス市警(LAPD)の報告によると、地域全体でこれまでに400人以上が逮捕されています。
火曜日だけでLAPDは225人を拘束しました。その内訳は、解散命令に従わなかったとして203人、夜間外出禁止令(カーフュー)違反で17人などです。
ホワイトハウスのカロライン・レヴィット報道官は、先週金曜日以降、移民とされる330人が拘束されたことを認め、そのうち157人が暴行や公務執行妨害などの容疑で訴追されていると明らかにしました。
デモでモロトフカクテル未遂 2人に重い連邦罪
抗議行動の一部では、暴力的な行為も発生しています。連邦検察は、デモ中に法執行官に対して火炎瓶(モロトフカクテル)を投げつけようとした疑いで、2人の男を起訴しました。
起訴されたのは、パラマウント在住のエミリアノ・ガルドゥーニョ・ガルベス(Emiliano Garduno Galvez)容疑者(23)と、ロングビーチ在住のラッキー・キオグ(Wrackkie Quiogue)容疑者(27)です。両者は、登録されていない破壊的装置の所持の罪に問われており、有罪となれば最長で10年の連邦刑務所行きとなる可能性があります。これは、今回の混乱が一部で危険な段階に入りつつあることを示す象徴的な事例だと言えます。
ボイルハイツでの「体当たり」拘束 LAPDがひき逃げ容疑で捜査
現地時間の水曜朝には、ロサンゼルス東部の地区ボイルハイツで、映画のような緊迫した場面も目撃されました。移民当局の捜査官とされる人物らが、白いセダン車に対して2台の無標識のスポーツ用多目的車(SUV)で体当たりし、銃を突きつけて運転手を車外に引きずり出したのです。
目撃証言や地元メディアの報道によると、この衝突は午前10時47分ごろ、ロサンゼルス市内の幹線道路上で発生しました。連邦捜査官らが現場を離れたとされることから、LAPDはこの事故をひき逃げの可能性がある事案として捜査しています。
移民取り締まりと地域社会 問われる「安全」と「権利」の線引き
今回の南カリフォルニアでの一連の動きは、アメリカにおける移民政策と治安維持のあり方をあらためて問うものになっています。連邦当局が移民法の執行を強める一方で、現場の自治体や地域住民からは、「コミュニティを危険にさらしているのではないか」という懸念の声が上がっています。
バス市長ら30超の市長が示したのは、単に摘発の停止を求めるだけでなく、武装した部隊の展開方法や、市民生活への影響を見直すべきだというメッセージでもあります。逮捕者数が増え、暴力的な事案や物議を醸す捜査手法が報じられるなか、南カリフォルニアは、今後のアメリカの移民政策をめぐる議論の試金石となりそうです。
日本にいる私たちにとっても、「安全」と「人権」をどう両立させるかというテーマは他人事ではありません。今回の国際ニュースをきっかけに、治安対策と多様性の共存について、自分なりの視点を持ってみることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








