国際ニュース:ロサンゼルスに米軍派遣 移民急襲とデモ拡大で「一時拘束」論争
国際ニュース ロサンゼルスに米軍派遣、移民急襲とデモ拡大で論争
米ロサンゼルスで、連邦政府による移民急襲に抗議するデモが広がるなか、トランプ大統領が派遣した軍部隊に人々を一時拘束する権限があると軍高官が明らかにし、軍の国内使用をめぐる議論が一段と高まっています。
カリフォルニア発のニュースですが、移民政策、治安維持、そして民主主義社会における軍の役割という三つのテーマが重なる、国際ニュースとしても注目すべき動きです。
主なポイント
- ロサンゼルスに派遣された米軍部隊には正式な逮捕権はないが、警察が到着するまで個人を一時拘束できると説明
- トランプ大統領は約700人の海兵隊員と4,000人の州兵をロサンゼルスに派遣
- ニューサム・カリフォルニア州知事は派遣に反対し、連邦政府を提訴
- 移民・税関捜査局(ICE)の急襲に抗議するデモはカリフォルニアから全米の都市に拡大し、今週土曜日には数百件のデモが予定
- 1878年制定の法律に反する可能性があるとカリフォルニア州司法長官が懸念
軍に与えられた権限 一時拘束はどこまで許されるか
ロサンゼルスに展開する部隊を指揮するシャーマン陸軍少将は水曜日、記者団に対し、派遣された700人の海兵隊員と4,000人の州兵には逮捕権は与えられていないと説明しました。
一方で、連邦政府の職員や建物などを守る任務を遂行するため必要な場合には、警察が正式な逮捕に来るまでの間、個人を一時的に拘束することは認められていると述べました。
海兵隊員はロサンゼルス郡の南にあるシールビーチで訓練を続けており、市内に入る際も携行する小銃には実弾を装填しないとされています。米政府高官の一人は匿名を条件に、こうした権限は通常の運用の範囲内であり、新たな権限拡大ではないと強調しました。
移民急襲への抗議デモ、全米各地へ
今回の緊張の背景には、トランプ大統領の移民急襲作戦があります。大統領の移民政策に反対するデモはカリフォルニア州から他の都市へと広がり、今週土曜日には全米で数百件の抗議行動が計画されています。
ロサンゼルスでは、連邦移民当局による急襲が行われたことに抗議するデモが金曜日に始まりました。これまでのところ、抗議行動の多くは平和的で、市中心部のおよそ5本の通りにほぼ限定されているとされていますが、一部では商店が略奪の被害に遭いました。
ロサンゼルスのカレン・バス市長は、こうした事態を受けて市中心部の約1平方マイルを対象に、火曜日の夜から夜間外出禁止令を出しました。ロサンゼルス市警によると、火曜日だけで225人を逮捕し、このうち203人は退去命令に応じなかった容疑、17人は外出禁止令違反の容疑で逮捕されたとしています。
州と連邦の対立 ニューサム知事は提訴
トランプ大統領がカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事の反対を押し切って軍をロサンゼルスに派遣したことで、軍の国内使用をめぐる議論は全米規模に広がりました。ニューサム知事は派遣の差し止めを求めて連邦政府を提訴しています。
トランプ大統領は、ロサンゼルスへの軍派遣が暴力の拡大を防いだと主張しています。抗議行動では、デモ参加者が警官隊に物を投げつける場面もあったとされ、大統領はこうした事態が制御不能になるのを防いだとしています。
これに対し、ニューサム知事を含む地元当局者らは、大統領の説明は事実と異なると反論し、抗議行動の大部分は平和的だったと強調しています。
1878年の法律と軍の役割
カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は火曜日、連邦軍に政府職員の保護を認めることは、1878年に制定された法律に違反する可能性があると指摘しました。この法律は、州兵を含む米軍が民間の法執行に関与することを原則として禁じる内容だとされています。
ボンタ司法長官は、職員を守るということは実際には移民・税関捜査局の職員と共に地域や住宅地に入ることを意味し、機能を守るということは移民法を執行するというICEの役割そのものを守ることになりかねないと懸念を示しました。
現場で何が起きているのか
国防総省は、派遣された部隊は連邦政府の建物や職員を守るだけでなく、移民・税関捜査局の急襲作戦に同行し、現場のICE職員を警護すると説明しています。
ICEは火曜日、ロサンゼルスでの急襲の様子として、州兵が武器を手に見張りに立つなか、ICE職員が移民とみられる人々に車の横で手錠をかける写真をオンラインに公開しました。
シャーマン少将は、部隊が何件の急襲作戦に同行したか具体的な数字は明らかにしませんでしたが、これまでに約1,000人の兵士が連邦政府の建物や法執行機関を守る作戦に参加したと述べています。
私たちが考えたいポイント
今回のロサンゼルスの事例は、次のような問いを投げかけています。
- 治安維持のために軍をどこまで国内で活用してよいのか
- 移民政策の執行と、市民の権利や自由とのバランスをどう取るのか
- 州と連邦の権限が衝突したとき、誰が最終的な線引きを行うのか
アメリカ国内の議論ではありますが、治安と自由、中央政府と地方自治体の関係というテーマは、多くの国や地域にも通じるものです。今週末に予定されている全米規模の抗議行動や、法廷での争いの行方は、今後の移民政策だけでなく、軍と市民社会の距離感にも影響を与える可能性があります。
Reference(s):
Troops in LA can detain individuals, official says, as protests spread
cgtn.com








