イスラエルのイラン核施設攻撃は「前例なき規模」 中国専門家が警鐘
イスラエルによるイラン核関連施設への最新の攻撃について、中国の中東専門家が「規模も強度も前例がない」と分析し、イランの強い報復と地域全体への波及を警告しています。
イスラエルの攻撃はなぜ「前例なき規模」なのか
中国現代国際関係研究院 中東研究所の副所長、覃天(チン・テン)氏は、中国メディアCMGのテレビインタビューで、イスラエルが行った最新のイラン攻撃について「これまでの妨害工作とは一線を画す」と指摘しました。
イスラエルはこれまでもイランの核インフラに対して散発的な破壊工作を行ってきましたが、覃氏は「今回の攻撃はそれらを大きく上回る」と強調しました。
イランの核施設は複数の州(プロビンス)に分散しており、今回の攻撃では、そのうち複数州にまたがる数十カ所の核関連施設が標的となったといいます。攻撃対象の地理的な広がりは過去と比べて大きく拡大し、「前例のない」規模になったと分析しています。
イランの「核心的利益」に直撃
覃氏は、標的となった核施設はイランの国家安全保障の要であるだけでなく、国民的な誇りとも結びついた象徴的な存在だと指摘します。核開発をめぐる技術と施設は、イランにとって主権や自主独立の象徴でもあり、今回の攻撃はそうした「核心的利益」に直接触れるものだといいます。
そのため、今回の攻撃は単なる軍事施設への打撃にとどまらず、国のアイデンティティや威信を傷つける行為として受け止められる可能性が高く、イラン側の反応も一層強硬になるとみられます。
専門家「イランの報復は不可避で強力に」
こうした状況を踏まえ、覃氏はイランによる報復は「避けられず、その規模も相当なものになる」との見方を示しました。
イスラエルとイランの間では、これまでもミサイルの応酬が起きたことがあります。覃氏は、過去の事例を踏まえると、イランが再び大規模なミサイル攻撃や無人機(ドローン)攻撃に踏み切る可能性が高いと予測しています。
米国を巻き込むリスク:基地やタンカーも標的に?
覃氏が特に警戒しているのは、イランの報復がイスラエルとの二者間の軍事衝突にとどまらず、米国の利益にも及ぶ可能性です。
イランは、報復の対象として中東にある米軍基地や、ペルシャ湾を航行する米国関連の石油タンカーを攻撃する可能性があると、覃氏は警告しました。そうなれば、地域の緊張は一気に高まり、エネルギー供給や海上輸送にも影響が出るおそれがあります。
核交渉とNPT体制への影響
軍事的な報復だけではありません。覃氏は、イランが現在進めている米国との核協議から手を引く、さらには、これまで加盟してきた核拡散防止条約(NPT)から脱退する可能性にも言及しました。
イランは以前から、状況次第ではNPTからの脱退も辞さないと警告してきましたが、覃氏は、今回の攻撃がその決断を後押しする引き金になりかねないとみています。そうなれば、国際社会が築いてきた核不拡散の枠組みそのものが揺らぎ、中東のみならず世界全体の安全保障環境に長期的な影響が出る可能性があります。
今後の焦点:エスカレーションをどう止めるか
今回のイスラエルによるイラン核施設への攻撃は、単発の軍事行動にとどまらず、中東地域のパワーバランス、米国の関与、そして核不拡散体制にまで波紋を広げつつあります。
覃氏の分析が示すのは、次のような複数のリスクが同時に進行しているという現実です。
- 軍事攻撃の規模と範囲の拡大
- イランの強硬な報復の可能性
- 米国を含む第三国の利害への波及
- 核協議やNPT体制の不安定化
2025年12月現在、この「前例なき」攻撃の余波はまだ読めず、情勢は流動的です。情報が限られる中でも、感情的な反応ではなく、地域全体と国際秩序への長期的な影響を落ち着いて見ていく姿勢が問われています。
Reference(s):
Expert: Israel's latest strike on Iran's facilities is unprecedented
cgtn.com








