ロサンゼルスに展開した米海兵隊が初の市民拘束 軍事パレード巡り全米で抗議へ
ロサンゼルスに展開した米海兵隊が、市民の男性を初めて拘束しました。トランプ氏がワシントンで計画した軍事パレードと、それに抗議する全米規模のデモをめぐり、米国内での軍事力の使い方に改めて注目が集まっています。
ロサンゼルスで何が起きたのか
米海兵隊がロサンゼルスで金曜日、初めて一般市民を拘束しました。これは、国内の治安維持をめぐって軍が警察を支援するという、米国では「例外的」とされる措置の一環です。
拘束されたのは、マルコス・レアオさん(27)。米陸軍の退役軍人で、移民として渡米し、市民権を取得した経歴を持つとされています。レアオさんは釈放後、建物を迂回しないために黄色いテープを越えたところ、「地面に伏せるように」と命じられたと説明しました。その区域は立ち入りが制限されたエリアとされていました。
ロサンゼルスでは、約200人の海兵隊員がウィルシャー連邦ビルの警備にあたっています。彼らは、すでに展開している州兵部隊を支援する700人規模の海兵隊大隊の一部で、連邦施設とその職員の保護が任務とされています。海兵隊と州兵は人を一時的に拘束することはできますが、正式な逮捕は民間の警察に引き渡してから行われる仕組みです。
なぜ海兵隊が動員されたのか
トランプ氏は、移民摘発(移民への一斉捜索や拘束)に対する街頭抗議が続くロサンゼルスに対し、海兵隊の投入を命じました。すでに州兵も展開しており、カリフォルニア州知事が反対するなかでの追加措置となりました。
トランプ氏は、抗議デモを沈静化させるためには軍の支援が必要だと主張しています。しかし、州・市レベルの当局者はこの見方に異議を唱え、連邦政府がどこまで治安分野に介入できるのか、権限の線引きをめぐる議論が強まっています。
軍事パレードと全米1,800件の抗議デモ
ワシントンでは、米陸軍創設250周年とトランプ氏の79歳の誕生日に合わせた軍事パレードが計画されています。これに対し、土曜日には全米でおよそ1,800件の抗議行動が予定されていました。軍事パレードそのものも、米国では頻繁に行われるものではありません。
ロサンゼルスだけでも15件の抗議デモが見込まれており、カレン・バス市長は市民に対し、平和的な行動を呼びかけました。バス市長は約20人以上の選出職と並んで記者団の前に立ち、次のように訴えています。
移民への強制的な摘発が「恐怖とパニックを引き起こしている」としたうえで、「連邦政府は州や地方から権限を奪うことができるのか。アメリカの人々はどこまでこれを許容するのか」と問いかけました。連邦政府と地方自治体の間の緊張が、移民政策と軍の関与を通じて一段と表面化していると言えます。
米国内での軍事力投入がなぜ「例外的」なのか
今回のケースで特徴的なのは、二つの「めったにない」点が重なっていることです。ひとつは、首都ワシントンでの大規模な軍事パレード。もうひとつは、現役の軍人が国内で治安維持に関与し、市民を一時的とはいえ拘束したことです。
米国では、日常的な治安維持は警察や州・地方当局が担っており、軍は国外での任務を中心とするイメージが強いとされています。その中で、海兵隊を含む現役部隊が連邦施設の防護とはいえ街中に姿を見せ、市民を拘束するという事態は、「軍と市民社会の距離」がどこまで縮まるのかという不安を呼び起こします。
一方で、トランプ氏の支持者にとっては、強い指導力や治安維持の意思を示す動きとして受け止められている側面もあります。しかし、街頭で抗議を続ける人々にとっては、軍が治安に関与すること自体が「越えてほしくない一線」と映っている可能性があります。
トランプ氏の「型破り」な政治と広がる反発
トランプ氏は、これまでも従来の政治の枠組みにとらわれない「型破り」な手法で支持層を固めてきました。今回の軍事パレードと軍の国内展開も、その延長線上にあります。
しかし、民主党を中心とする政敵や多くの市民は、こうした手法に対して反発を強めつつあります。ロサンゼルスでバス市長らが連邦政府の対応に公然と疑問を呈したことは、地方レベルからの「押し返し」が始まっていることを象徴的に示しています。
私たちが考えたいポイント
ロサンゼルスでの海兵隊による初の市民拘束と、ワシントンの軍事パレードをめぐる全米の抗議行動は、米国社会の深い分断と、民主主義のルールをめぐるせめぎ合いを映し出しています。
日本を含む他国の私たちにとっても、次のような問いとして受け止めることができそうです。
- 軍や治安部隊は、国内の抗議デモや政治的対立にどこまで関与すべきなのか
- 移民政策をめぐる賛否が、社会の分断と不信をどのように深めうるのか
- 安全・秩序の確保と、市民の自由や自治体の権限をどう両立させるのか
ロサンゼルスの街頭で起きた一つの拘束劇は、米国という大国がいま直面している政治的・社会的な緊張を象徴する出来事の一つといえます。今後も、軍と市民社会の関係、連邦と地方の権限のバランスがどのように議論されていくのか、注視が続きそうです。
Reference(s):
U.S. Marines make first detention in LA as more protests expected
cgtn.com








