イスラエルのイラン攻撃に世界が反応 自制と外交求める声
イスラエルによるイラン攻撃に対し、国連や主要各国、中東諸国が一斉に懸念を表明し、自制と外交による緊張緩和を呼びかけています。
2025年6月13日、イスラエルがイラン各地の核関連施設や軍事拠点を空爆し、複数の幹部が死亡したと伝えられました。この攻撃を受け、世界の指導者たちは、地域全体を巻き込む深刻な衝突に発展しかねないとして、相次いでメッセージを発しています。
国連:双方に最大限の自制を要求
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、報道官を通じて、イスラエルとイランの双方に「最大限の自制」を求めました。地域が「より深い紛争」に陥ることは避けなければならないとし、中東がこれ以上の緊張激化に耐えられない状況にあるとの認識を示しました。
とくに、今回の攻撃対象に核関連施設が含まれているとされる点について、グテーレス氏は強い懸念を表明しています。米国とイランの間では核問題をめぐる協議が続いており、その最中での軍事攻撃は、外交的解決の努力を損ないかねないためです。
ロシア・中国・EU:エスカレーションを警告
ロシア:容認できない緊張の急激なエスカレーション
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、イスラエルの攻撃について「緊張の急激なエスカレーションを引き起こした」として深い懸念を表明し、「容認できない」「いわれのない」行動だと批判しました。
在テルアビブのロシア大使館は、自国民に対しイスラエルからの出国を呼びかけており、事態を深刻に受け止めている姿勢がうかがえます。
中国:深刻な結果を招きかねないと懸念
中国外交部の林剣報道官は、今回の攻撃がもたらしうる「重大な結果」に中国側は深い懸念を抱いていると述べました。そのうえで、関係する当事者に対し、地域の平和と安定に資する行動を取り、さらなる緊張のエスカレーションを避けるよう呼びかけました。
EU:外交こそ最善の道
EU(欧州連合)の外交政策を統括するカヤ・カラス外交安全保障上級代表は、「中東の状況は危険だ」と警鐘を鳴らしました。すべての当事者に自制を求めるとともに、「外交こそが前に進む最善の道」であり、緊張緩和に向けたあらゆる外交努力を支援する用意があると表明しました。
中東諸国:主権侵害と国際平和への脅威と批判
イラク:国連憲章の根本原則に反すると非難
イラク政府は、イスラエルによるイラン攻撃を強く非難し、「国際法および国連憲章の基本原則に対する明白な違反」であり、「国際の平和と安全に対する深刻な脅威だ」とする声明を出しました。
ヨルダン:領空を戦場にしないと明言
ヨルダン政府は、自国の領空を一時閉鎖したうえで、「ヨルダンは自国の領空へのいかなる侵害も許さず、王国をいかなる紛争の戦場にもさせない」と強調しました。周辺国として、紛争の波及を強く警戒していることがうかがえます。
トルコ(Türkiye):国際法を無視した挑発と批判
トルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、イスラエルのイラン攻撃を「国際法を無視した明白な挑発」だと述べました。さらに、国際社会に対し、イスラエルの無秩序な行動に歯止めをかけるよう求めています。
チュニジア・リビア:イランの主権侵害、地域と世界の安定を懸念
チュニジア外務省は、今回の攻撃を「イランの主権と安全の明白な侵害」だとし、中東だけでなく世界全体の平和と安定を脅かすと警告しました。声明ではイランの人々への連帯を示すとともに、国際社会、とくに国連安全保障理事会に対し、攻撃を止め、責任を明らかにするための緊急かつ断固とした行動を求めています。
リビア外務省も、イスラエルによる一連の軍事攻撃を「重大なエスカレーション」であり、地域および国際の平和と安全への脅威だと非難しました。そのうえで、関係当事者に対し、対話と外交チャンネルを通じて紛争を平和的に解決するよう呼びかけています。
各国の声から見える三つの懸念
今回の世界各国の反応からは、おおまかに次の三つの懸念が読み取れます。
- 核関連施設が攻撃対象となったことで、核安全や核不拡散への影響が出かねないこと
- イスラエルとイランの対立が、周辺国を巻き込んだ大規模な軍事衝突へと発展するリスク
- 進行中の米国・イラン間の協議など、外交プロセスが行き詰まり、対話のチャンネルが失われる危険性
国連やEU、中国、中東諸国の発言はいずれも、軍事的な報復の連鎖ではなく、外交と国際法に基づく解決を優先すべきだという共通のメッセージを発しています。
私たちはどう受け止めるべきか
イスラエルとイランの関係、中東地域の安全保障、その背後にある大国間の思惑は、簡単に善悪で割り切れるものではありません。ただ、各国がそろって「自制」と「外交」を口にしている事実からは、ひとたび歯車が狂えば、地域全体、さらには世界にまで不安定化が広がりかねないという危機感が伝わってきます。
日本からは距離のある出来事に見えるかもしれませんが、エネルギー供給や国際秩序、中東に暮らす人々の日常など、私たちの生活とも無関係ではありません。今後の外交的な動きが、緊張緩和につながるのか、それともさらなる対立を招くのか。中東と世界の行方を左右しかねない重要な局面として、注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








