イランとイスラエルが相互攻撃を激化 米・イラン核協議第6ラウンド中止
イランとイスラエルがミサイルやドローンによる攻撃を互いに繰り返し、民間人にも犠牲が出る中、予定されていた米・イラン核協議第6ラウンドが中止となりました。今年6月の中東情勢をめぐる国際ニュースとして、一連の動きを整理します。
この記事のポイント
- イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)がイスラエルに対し、大量のミサイルとドローンを用いた「大規模な複合攻勢作戦」を実施。
- イスラエル側では、北部の住宅地へのロケット弾攻撃などで少なくとも3人が死亡し、204人が負傷したと救急当局が報告。
- イスラエル空軍はテヘランの軍事目標を攻撃し、イラン側は首都の石油貯蔵施設2カ所が被弾したと確認。
- 米・イラン核協議第6ラウンドが中止となり、トランプ米大統領はプーチン露大統領との電話会談で衝突は終わるべきだとの考えを示しました。
イランとイスラエル、報復の連鎖
報道によると、イスラエルとイランは日曜日未明にかけて互いの領内に新たな攻撃を行い、紛争がより広がるのではないかとの懸念が強まりました。きっかけの一つは、イスラエルがイランを主なライバルと見なして展開してきた奇襲作戦を拡大し、世界最大とされるガス田を攻撃したことでした。
これに対し、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は土曜深夜、イスラエルに向けて多数のミサイルと無人機(ドローン)を用いた「大規模な複合攻勢作戦」を実行したと、公式メディアのセパー・ニュースが伝えています。IRGCの航空宇宙部門が攻撃を担い、イスラエルによるイランへの「繰り返される侵略行為」への報復だと説明しました。
市民への被害とイスラエルの対応
イラン側の攻勢開始後、イスラエルでは市民への被害が相次いでいます。イスラエルの国家救急医療サービスであるマゲン・ダビド・アドム(MDA)は、次のような状況を報告しました。
- イスラエル北部の共同体にある住宅ビルにロケット弾が直撃し、女性1人が死亡、13人が負傷。
- イランの攻勢が始まって以来、少なくとも3人が死亡し、合計204人が負傷。
- 負傷者の多くは中程度から軽傷で、このほか4人が不安などの症状で治療を受けた。
最新の攻撃の後、イスラエルのホームフロント・コマンドは、ハイファと北部地域以外の住民に対し、防空壕から出てもよいものの、近くの避難施設にすぐ戻れる場所にとどまるよう呼びかけました。イスラエル軍は、防空システムが飛来するロケット弾などの迎撃を続ける一方で、空軍部隊がテヘランの軍事目標に対する攻撃を行っていると説明しています。
テヘランでの爆発とエネルギー施設への打撃
イランの石油省は、テヘラン市内の石油貯蔵施設2カ所が攻撃を受けたと確認しました。首都では2度の大きな爆発音が報告され、西部と北部の地区で衝撃が感じられたと住民が語っています。同省は、状況は「管理下にある」として、対応を続けているとしています。
周辺国にも広がる影響 ヨルダンは空域を一時閉鎖
イランによるミサイル攻撃を受け、中東の周辺国にも影響が広がりました。ヨルダンは土曜夜、安全を確保するための予防措置として自国の空域を一時的に閉鎖しました。同国の民間航空規制委員会は、民間航空の安全を守るための決定だと説明しています。
空域の閉鎖は、戦闘が国際航空路にも及びかねないことを示す対応と言えます。
米・イラン核協議の中止と大国の動き
こうした緊張の高まりの中、日曜日に予定されていた米国とイランの核協議第6ラウンドは中止となりました。核合意をめぐる対話の行方に、さらなる不透明感が広がっています。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、イスラエルとイランの間の衝突は終わるべきだとの認識で一致したと述べました。
また、中国とイランの外相が電話協議を行ったほか、王毅外相はイスラエルの外相とも電話会談を行ったと伝えられており、関係国が対話のチャンネルを維持しようとしています。
拡大が懸念される中東情勢をどう見るか
イスラエルとイランが互いの領内を直接攻撃し合い、首都テヘランやイスラエル北部の住宅地で市民が被害を受けるという展開は、地域紛争が一段と拡大するリスクを示しています。
軍事力による応酬は、誤算や偶発的なエスカレーションの危険を高めます。一方で、米国やロシア、中国、ヨルダンなど関係国による外交的な働きかけが、どこまで緊張緩和につながるのかは見通せません。
私たちがニュースを追ううえでは、どの国が悪いかを単純に決めつけるよりも、各国の行動が市民の安全や地域の安定にどんな影響を与えるのかという視点から、中東情勢を丁寧に見ていくことが求められています。
Reference(s):
Iran, Israel continue to trade strikes; U.S.-Iran nuclear talks off
cgtn.com








