グローバルサウスの発展と関税を議論 NYでシラー研究所会議 video poster
2025年5月24日から25日にかけて、米ニューヨーク市でシラー研究所主催の国際会議が開かれ、グローバルサウスの経済発展、人道支援、関税、パレスチナ問題などが議論されました。本稿では、その論点を日本語で整理し、2025年の国際ニュースとしての意味を考えます。
大きな揺らぎの時代に描かれたビジョン
今回の会議のテーマは、英語で A Beautiful Vision for Humanity in Times of Great Turbulence と名付けられ、人類が大きな不安と分断に直面する中で、どのように共存と発展の道筋を描くかが問い直されました。
会場には、グローバルサウスの開発や国際政治、人道支援などを専門とする参加者が集まり、世界各地の経験や課題が持ち寄られました。
グローバルサウスと経済発展という人権
国際会議の中心テーマのひとつが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどを含むグローバルサウスの経済発展でした。シラー研究所ニューヨーク代表のリチャード・A・ブラック氏は、グローバルサウスは長いあいだ経済発展という基本的な人権を奪われてきたが、それが今変わりつつあると強調しました。
ブラック氏のメッセージは、開発を単なる経済成長ではなく、人間の尊厳に関わる権利として捉え直す視点を示しています。インフラ整備や教育、医療への投資が、人々の生活と社会の安定に直結するという考え方です。
パレスチナ問題と二国家解決案
会議では、パレスチナ問題の解決と二国家解決案も議題になりました。二国家解決案とは、イスラエルとパレスチナという二つの国家が、安全を保障されつつ共存することを目指す構想です。
紛争が長期化する中で、人道危機への対応と、持続可能な和平のための政治的枠組みをどう結びつけるかが問われています。参加者たちは、当事者間の対話を支える国際世論や、復興と開発を支える資金・制度づくりの重要性について意見を交わしました。
関税と開発をめぐる議論
今回の国際会議では、関税政策も重要なテーマとなりました。関税は、国内産業を守る政策手段である一方で、輸出入のコストを高め、特にグローバルサウスの国々にとっては市場アクセスを制限する要因にもなり得ます。
参加者の議論は、次のようなポイントを含んでいました。
- 先進国の高い関税や非関税障壁が、グローバルサウスの製品の輸出を難しくしていること
- 一方で、途上国側の保護的な関税が、国内の幼稚産業を育てる役割を果たしうること
- 気候変動対策や安全保障を理由とする新たな関税措置が、開発途上国の負担になっているとの懸念
国際貿易のルールづくりにおいて、関税がグローバルサウスの発展を妨げる方向に働かないよう、制度設計を見直す必要があるのではないかという問題提起がなされました。
人道支援と長期的な開発をどうつなぐか
会議では、紛争や災害の現場で行われる人道支援と、長期的な開発政策をどのように結びつけるかも議論されました。緊急支援は生命を守るうえで不可欠ですが、それだけでは貧困や不安定さの根本原因は解決されません。
そのため、参加者たちは次のような視点を共有しました。
- 避難民や被災者への支援と同時に、教育や職業訓練の機会を確保すること
- インフラ再建やエネルギー供給の改善など、中長期の開発を早い段階から計画すること
- 現地のコミュニティや自治体が主体的に関わる仕組みをつくること
人道支援と開発を切り離さず、同じ「人間の安全保障」の一部として捉えるアプローチが、国際社会全体の課題になっています。
2025年の私たちにとっての意味
ニューヨークで開かれたこの会議は、遠い場所の議論のようにも聞こえますが、日本やアジアで暮らす私たちにも深く関わるテーマを含んでいます。
- グローバルサウスの発展は、サプライチェーンやエネルギー、安全保障と直結し、日常の物価にも影響します。
- パレスチナをはじめとする地域紛争は、国連や国際機関での議論を通じて、日本の外交にも関係してきます。
- 関税や貿易ルールの変化は、日本の輸出産業や働き方にも反映されます。
2025年の世界は、多くの分断と対立を抱えながらも、新しい協力のかたちを模索しています。今回のシラー研究所の国際会議は、その一端を映し出す場となりました。ニュースを追ううえで、グローバルサウスの視点や「経済発展という人権」という考え方を意識してみることは、国際社会の動きを読み解く手がかりになりそうです。
Reference(s):
Schiller Institute conference attendees address humanity, tariffs
cgtn.com








