イラン・イスラエル衝突で中東はガザ紛争以来最大の危機 専門家が警鐘
イランとイスラエルの最新の軍事衝突が、中東地域をガザ紛争開始以来「最も危険な状態」に押し上げている──中国の研究者がこう警鐘を鳴らし、米国の関与も含めた深刻なエスカレーションリスクを指摘しました。
ガザ紛争から約2年、中東は「最も危険な状態」に
2023年10月に始まったガザ紛争から、およそ2年が経とうとしている2025年末。これまで中東情勢を揺さぶってきた戦闘は、主にイスラエルとゲリラ組織や民兵といった「非国家主体」との間で行われてきました。
しかし今回の衝突は、イランとイスラエルという、いずれも地域を代表する軍事力を持つ「主権国家」同士の大規模な軍事対立に発展していると指摘されています。
Ningxia University(寧夏大学)の China-Arab States Research Institute に所属する Niu Xinchun 教授は、中国メディアの取材に対し、「ガザ紛争が続いたこの約2年のあいだで、現在の中東は最も危険な状態にある」と述べました。
これまでの戦闘との決定的な違い
Niu 教授は、今回のイランとイスラエルの衝突が、従来の戦闘と根本的に異なる点として、次のような構図の変化を挙げています。
- これまではイスラエル対ゲリラ・民兵など「非国家主体」が中心だった
- 今回はイランとイスラエルという、二つの主権国家の大規模な軍事衝突になっている
- 両国とも中東地域で大きな軍事力と影響力を持つ存在である
教授は、地域の主要軍事大国同士が真正面から衝突する構図は「極めて危険」であり、その影響は中東にとどまらない可能性があると警告しました。
米国の関与で高まるエスカレーションリスク
緊張をさらに複雑にしているのが、米国の関与です。Niu 教授によると、当初ワシントンは「紛争には関与しない」としつつ、イランに対しては、中東にある米軍施設を攻撃しないよう求める姿勢を示していました。
しかしその後、米国はイランのミサイル攻撃に対抗するため、イスラエルの防空システム構築を支援していると確認されたといいます。この動きによって、米国は事実上、紛争の一方に肩を並べる形になりつつあります。
教授は、こうした米国の関与が、イラン側による「米軍基地への報復」を誘発するリスクを高めているとみています。イランが中東各地の米軍施設を標的とした場合、紛争は二国間の対立を超えて、地域全体に広がるおそれがあります。
「今後数日は極めて危険」専門家の見立て
Niu 教授は、「これから数日間は、中東全体にとって極めて危険な期間になる」と強い言葉で警鐘を鳴らしました。その背景には、次のような要因があるとみられます。
- イランとイスラエル双方が、軍事的な追加行動に踏み切るかどうかの判断局面にある
- 米国の軍事支援の範囲と、イラン側の受け止め方がまだ固まっていない
- 誤算や誤解が、一気に全面的な軍事衝突につながるリスクが高まっている
とくにミサイルなどの兵器が飛び交う状況では、意図しない被害や誤認により、想定以上のエスカレーションが起こりやすくなります。教授の警告は、こうした不確実性の高さを踏まえたものと言えます。
中東情勢をどう見るか──日本からの視点
イランとイスラエル、さらに米国が絡む中東の緊張は、日本を含む国際社会にとって無関係ではありません。中東地域はエネルギー供給や海上輸送路を通じて世界経済と深く結びついているとされ、情勢の悪化は、市場の不安定化や物流の混乱につながる可能性があります。
一方で、こうした危機の局面では、当事国以外の地域や国際機関による仲介や対話の枠組みが、事態の沈静化に向けた数少ない選択肢となります。今回の専門家の警告は、軍事力の行使だけではなく、外交や対話を通じた出口を模索する必要性を、あらためて突きつけるものでもあります。
ガザ紛争の長期化と、新たな国と国の衝突が重なる中東情勢がどこへ向かうのか。今後数日の動きが、その方向性を左右する重要な局面となりそうです。
Reference(s):
Expert: Iran-Israel clash puts Middle East in 'most dangerous' moment
cgtn.com








