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世界難民危機はなぜ深刻化? 国際ニュース番組が探る解決策
2024年の世界難民の日では、ガザからスーダンに至るまで世界中で約1億3000万人が故郷を追われるという、過去最悪の規模に達したことが明らかになりました。一方で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援予算は必要額の半分にも届いていません。国際ニュース番組「The Agenda」は、このギャップをどう埋め、世界難民危機をどう解決していくのかをテーマに、専門家たちと議論しました。
2024年、約1億3000万人が故郷を追われた
毎年6月20日は世界難民の日です。2024年の世界難民の日に合わせて示された数字によると、ガザやスーダンなど各地の紛争・暴力・迫害により、世界でおよそ1億3000万人もの人々が住む場所を追われたとされています。
ここでいう「故郷を追われた人々」には、国境を越えて避難した人だけでなく、自国の中で安全な場所を求めて移動した人も含まれます。数字がここまで膨らむ背景には、ひとつの危機が長期化し、同時に世界各地で新たな危機が次々と起きている現実があります。
- ガザのように激しい戦闘が続く地域では、一般の人々が日常生活そのものを失っています。
- スーダンのように政治的対立と武力衝突が重なる地域では、逃げ場のない暴力から身を守るために、多くの人が家を離れざるをえません。
- こうした危機が同時多発的に続くことで、世界全体の避難・難民の数は過去にない水準に達しています。
UNHCRの支出は必要額の半分以下
しかし、支援に回せるお金は大きく不足しています。2023年には、国連の難民支援機関であるUNHCRが約50億ドル(約数千億円)を支出したものの、これは必要とされた資金の半分にも届かなかったとされています。
その背景として挙げられているのが、各国政府による援助予算の削減です。自国の景気対策や財政再建を優先し、対外援助を絞る国が増えるなかで、難民支援に回るお金は真っ先に圧迫されやすい分野のひとつになっています。
資金不足は、現場の支援にも直接跳ね返ります。
- テントや飲料水、医療など、命をつなぐための最低限の支援の縮小
- 子どもたちの学校や学びの場を維持するためのプログラムの削減
- 受け入れ地域のインフラ整備やコミュニティ支援の遅れ
- 現場で働く職員やパートナー団体への支払いの遅延
世界で避難を強いられる人が増え続ける一方、その人たちを支えるための資金は追いついていない――この「需要と供給」のギャップこそが、現在の世界難民危機を象徴する構図だといえます。
「The Agenda」が示す三つの視点
こうした状況を受けて、「The Agenda」の今回のエピソードでは、異なる立場から難民問題に関わる三人がスタジオに集まりました。
- マシュー・ソルトマーシュ氏(UNHCRニュース・メディア部門の責任者)
- アフメド・カベロ氏(スーダン問題の専門家で、メディア組織African Streamの最高経営責任者)
- ルヴィ・ツァイグラー氏(レディング大学・国際難民法の准教授)
国連の現場、紛争地を取材する立場、そして国際難民法の研究者という顔ぶれからは、危機に向き合うために少なくとも次の三つの視点が必要だということが見えてきます。
- 現場で何が起きているのかを把握する視点:ガザやスーダンなど、当事者の声と実態を丁寧に伝えること。
- 国際社会全体の支援体制を設計する視点:UNHCRをはじめとする国際機関が、限られた資源でどう優先順位をつけるのかを考えること。
- 法と権利の枠組みから考える視点:難民条約などの国際ルールに照らし、各国がどのような責任を負っているのかを検証すること。
番組のタイトルである「世界難民危機をどう解決するのか」という問いは、これら三つの視点を組み合わせて初めて、本格的に考え始めることができます。
「解決策」を考えるための三つの問い
世界難民危機に「これさえあれば解決する」という単純な処方箋はありません。それでも、2025年の今を生きる私たちがニュースを読みながら持てる視点として、次の三つの問いを意識してみることができます。
- なぜ人々は故郷を追われているのか
ガザやスーダンのような紛争だけでなく、政治的迫害や人権侵害、経済的な格差など、避難の背景はさまざまです。数字だけを見るのではなく、その背後にある原因や歴史に目を向けることで、危機の立体像が見えてきます。 - 誰がどのように責任を分け合うのか
大量の避難民を抱える地域だけに負担を押しつけるのではなく、資金支援や受け入れ枠の拡大など、国際社会全体で責任を分担する仕組みが求められています。各国政府の援助予算の削減がUNHCRの活動を直撃しているという事実は、「誰が負担を引き受けるのか」という問いを私たちに突きつけています。 - 避難民とどう共に生きるのか
避難民や難民を一方的な「支援の対象」と見るだけではなく、地域社会の一員としてどう迎え入れ、ともに学び働き暮らしていくか。そのための教育や雇用の機会づくりは、長期的には受け入れ側の社会にもプラスになりえます。
日本からこのニュースをどう受け止めるか
世界難民危機は、地理的には遠く離れた場所の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、国際ニュースを日常的にフォローする日本の読者にとっても、これは政治、経済、安全保障、人権など、多くのテーマとつながる重要な問題です。
デジタルネイティブ世代にとっては、スマートフォンの画面越しに世界とつながることが当たり前になっています。その強みを生かして、次のようなアクションを考えることができます。
- ニュースの見出しだけでなく、数字や背景説明にも目を通して、危機の全体像をつかむこと
- 難民・避難民に関する情報をSNSでシェアするときは、出典や文脈を確認し、誤情報の拡散を防ぐこと
- 自分が関心を持ったテーマについて、家族や友人、オンラインコミュニティで話題にしてみること
一人ひとりの行動は小さく見えるかもしれませんが、関心を持つ人が増えれば、各国政府が援助予算をどう配分するか、どのような国際協力を優先するかといった政治判断にも、長い目で見て影響を与えることができます。
これからの「世界難民ニュース」の読み方
今後、世界難民危機に関するニュースに触れるとき、次のポイントを意識してみると理解が深まりやすくなります。
- 数字の意味を考える:何人が故郷を追われているのか、支援予算はいくら足りていないのか。その数字が示す規模感をイメージしてみること。
- 当事者の声と構造の両方を見る:避難を強いられた人のストーリーと同時に、なぜその状況が生まれたのかという構造的な原因にも目を向けること。
- 短期の出来事と長期の流れを切り分ける:ある国や地域で一時的に戦闘が収まっても、長期的な避難生活が続く人が多いという現実を意識すること。
2024年に記録された約1億3000万人という数字や、UNHCRの資金不足という事実は、世界難民危機が一過性のニュースではなく、2025年の今も続く長期的な課題であることを静かに物語っています。国際ニュース番組が投げかける問いに耳を傾けながら、自分なりの視点でこの問題に向き合うことが、次の一歩につながっていきます。
Reference(s):
How to solve the global refugee crisis: The Agenda full episode
cgtn.com








