中国代表が米・イスラエルの対イラン攻撃を批判「国連憲章に違反」
中国代表、米・イスラエルの対イラン攻撃を国連憲章違反と批判
国際ニュースの焦点が集まる国連ジュネーブ事務所で、中国の陳旭(チェン・シュウ)大使が、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃は国連憲章に反すると批判しました。国連憲章採択から80年の節目にあたるタイミングで、多国間主義や国連の役割をめぐる議論が改めて浮き彫りになっています。
「国連憲章の目的と原則に反する」と指摘
陳旭大使は、国連人権理事会第59会期の期間中に開かれたサイドイベントで発言しました。この会合は、国連憲章採択80周年を記念して「国連憲章防衛の友グループ」が主催したものです。
陳氏によると、国連憲章は現代の国際秩序の基礎を築き、今日の国際関係の基本的なルールを定めてきました。しかし現在、その国際平和の事業は深刻な挑戦にさらされていると指摘しました。
特に、米国とイスラエルが実施したイランへの軍事攻撃について、陳氏は「国連憲章の目的と原則に違反している」と明確に批判しました。国連憲章は武力行使の禁止と紛争の平和的解決を掲げており、それに反する行動だというのが中国側の立場です。
米国の「離脱」と「拠出金削減」への懸念
陳氏は、軍事行動だけでなく、米国の対多国間機関政策にも言及しました。具体的には、国際機関からの「離脱」や、資金拠出を「削減・停止」するような政策が、多国間主義に深刻な打撃を与えてきたと述べました。
ここでいう多国間主義とは、国連などの国際機関を舞台に、複数の国がルールに基づき協力しながら問題を解決していく考え方です。陳氏は、一部の国が自国の判断で枠組みから離脱したり、資金面で圧力をかけたりする動きは、こうした協調の仕組みそのものを弱体化させると懸念を示しました。
中国が掲げる「真の多国間主義」
陳氏は、中国が国連を中心とする国際秩序を重視していると強調し、「真の多国間主義」を掲げました。その中身として、次のようなポイントを挙げています。
- 国際紛争や意見の対立は、対話と協議を通じて解決すべきであること
- 平和は、開発や人権の推進を支える原動力であること
- 国連改革を着実に進め、その役割と代表性を高めていくべきであること
陳氏は、中国がこうした立場から、国連改革の「着実な前進」を支持すると述べ、国連の機能強化に前向きな姿勢を示しました。
国連の役割を支持し「共通の発展」と人権の享受を訴え
発言の締めくくりとして、陳氏は各国に対し、国連の役割を揺るぎなく支持するよう呼びかけました。そのうえで、中国と共に世界の平和を守り、「共通の発展」を促進し、すべての人が人権を享受できるよう取り組むことを提案しました。
ここでいう「共通の発展」とは、特定の国や地域だけでなく、より多くの国と人々が経済成長や社会的な進歩の恩恵を分かち合うことを指す概念です。陳氏は、平和・発展・人権は相互に結びついており、いずれか一つだけでは成り立たないとする考え方を示しています。
国連憲章80年の節目で問われる国際秩序
国連憲章の採択から80年を迎える節目にあたり、国連の場では、武力行使の是非や多国間主義の行方をめぐる議論が続いています。今回の陳氏の発言は、
- 国連憲章の原則を改めて前面に押し出す姿勢
- 米国やイスラエルの軍事行動に対する明確な批判
- 対話と協議による紛争解決と、国連中心の多国間枠組みの重視
という三つのメッセージを強く打ち出したものと言えます。
一方で、国際社会の安全保障環境は複雑さを増しており、武力行使の評価や国連の役割をめぐる見方も一様ではありません。その中で、中国が示した「対話による解決」と「国連中心の国際秩序」の重視という立場は、今後の議論に一つの視点を提供するものです。
国連憲章80年の節目に、国際社会はどこまで「ルールに基づく協調」を再確認できるのか。今回の中国代表の発言は、その問いかけの一部として注目されています。
Reference(s):
Chinese envoy: U.S. and Israeli strikes in Iran violate UN Charter
cgtn.com








