トランプ氏のイラン核施設空爆、議会抜き決定に違憲論争 video poster
米軍によるイランの核施設空爆をめぐり、トランプ大統領が「軍事とステルスの勝利」と誇示する一方で、米議会では憲法違反の疑いが強く問われています。
「完璧なステルス作戦」と誇るトランプ大統領
トランプ大統領は今回のイラン核施設への空爆について、米軍の作戦能力と情報秘匿性を示す「勝利」だと強調しています。作戦は極秘裏に進められ、一部の近い同盟国にさえ事前通告がなかったとされています。
大統領側近によれば、この「ステルス性」こそが作戦の成功要因だとされ、イラン側の防空態勢が十分に反応する前に、複数の核関連施設に打撃を与えたと説明しています。
議会抜きの決定に噴き出した違憲論議
しかし、米国内では別の評価が広がっています。野党だけでなく与党の一部議員からも、大統領が議会の事前承認なしにイランへの大規模な軍事行動を命じたことは、米憲法が定める「議会の戦争権限」に反するのではないかという声が上がっています。
米憲法は、大統領を軍の最高司令官と位置づける一方で、正式な戦争の宣言権限は議会に与えています。ベトナム戦争後に制定された「戦争権限法(War Powers Resolution)」も、大統領が軍を戦闘行為に投入した場合、一定期間内に議会の承認を求めるよう定めています。
今回のイラン空爆が、この「戦闘行為」に当たるのか、それとも限定的な自衛措置として大統領の権限に含まれるのか——その解釈をめぐり、法学者や議員のあいだで見解が分かれています。
議員たちの反発と、求められる説明責任
一部の議員は、トランプ大統領が議会を事前協議から完全に外したことを「憲法の精神への挑戦」だと批判しています。特に、長期的な軍事的エスカレーションにつながりかねない対イラン作戦について、民意を代表する議会が関与しないことへの危機感がにじみます。
議会内では、
- 作戦決定までの経緯と法的根拠の開示
- 今後の対イラン戦略についての公聴会開催
- 大統領の単独軍事行動を制限する新たな立法措置
などを求める動きが出ています。大統領権限を強く支持してきた議員のあいだにも、「一線を越えたのではないか」との慎重論が広がりつつあります。
同盟国も置き去りにされた「ステルス」
今回のイラン核施設空爆は、その「ステルス性」が外交面での波紋も広げています。複数の同盟国は、作戦について事前説明がなかったことに不満を示していると伝えられています。
米国と安全保障協力を深めてきた同盟国にとって、突然の空爆は、自国に対する報復やテロのリスクが高まる可能性を意味します。それにもかかわらず、情報共有が十分になされなかったとすれば、同盟関係の信頼に長期的な影を落としかねません。
対イラン抑止か、緊張激化か
トランプ大統領は、イランへの強い軍事的圧力こそが核開発を思いとどまらせる有効な抑止だと主張しています。一方で、イラン側が報復措置に出た場合、中東地域の不安定化やエネルギー市場への影響が懸念されます。
イラン核問題は長年、外交交渉と制裁、時に軍事的圧力が交錯する形で進んできました。今回の空爆が、対話再開への圧力となるのか、それとも相互不信を決定的に深める転機となるのかは、今後のイラン側の出方と国際社会の対応に左右されます。
古くて新しい問い:誰が「戦争」を決めるのか
米軍の海外展開をめぐる権限をめぐる議論は、今に始まったものではありません。冷戦後の各政権は、テロ対策や人道介入といった名目で、議会承認の有無があいまいな軍事行動を重ねてきました。
今回のイラン空爆は、その流れの最新の章と言えます。高度なステルス技術や精密誘導兵器によって、軍事行動はますます短時間で、秘密裏に実行できるようになりました。しかし、どれほど作戦が秘密裏に行われても、「誰が軍事力行使の最終決定権を持つべきか」という民主主義の根本的な問いを避けることはできません。
強い大統領権限を是とする立場と、議会による歯止めを重視する立場。そのせめぎ合いは、今回のイラン空爆をきっかけに、あらためて米国政治の中心テーマとして浮上しています。米国の選択は、中東情勢だけでなく、軍事力を持つ民主国家が自らをどう律するのかという、より広い問いにも静かに影響を与えていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








