イラン高濃縮ウラン移送巡り米国防長官が専門家見解を否定
イラン高濃縮ウラン移送「把握せず」と米国防長官
米国のピート・ヘグセット国防長官は木曜日の記者会見で、週末に実施されたイランの核計画への米軍の攻撃に先立ち、イランが高濃縮ウランを移送したと示す情報は把握していないと述べました。本記事では、この発言と専門家の見方の食い違いを整理します。
背景:米軍によるイラン核関連施設への攻撃
週末、米軍はイランの核計画を標的とする攻撃を実施しました。その後、国防総省情報局(DIA)からの予備的な評価が報道され、攻撃による影響はイランの核計画を「数か月」程度しか後退させていない可能性があると伝えられました。
これと並行して、複数の専門家は、イランが攻撃前に「ほぼ兵器級」とされる高濃縮ウランを主要施設から移し替えていた可能性を指摘しました。特に、フォルドゥ核施設では、民間企業マクサー・テクノロジーズの衛星画像から、木曜日と金曜日に「異常な動き」があったとされ、施設の入口付近に車両の長い列が確認されていたといいます。
さらに、イランの高官筋とされる人物が日曜日にロイター通信に語ったところによると、濃度60%の「ほぼ兵器級」に近い高濃縮ウランの大部分は、米軍の攻撃前に非公開の場所へ移送されていたとされています。
ヘグセット国防長官の否定
こうした見方に対し、ヘグセット国防長官は記者会見で、イランが高濃縮ウランを移送したことを示す情報は確認していないと明言しました。
長官は「私が確認したどの情報にも、物質があるべき場所になかったとか、移されていたといった内容は含まれていない」と述べ、専門家による指摘や報道を事実上否定しました。
また長官は、米軍の攻撃効果を過小評価しているとしてメディアを批判。流出したとされるDIAの予備的評価については「信頼度が低い」としたうえで、中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官の発言を引き合いに出し、より新しい情報では、イランの核計画は最近の米軍の攻撃で「深刻な打撃」を受けており、再建には「数年」を要するとの見方が示されていると強調しました。
評価が分かれるイラン核計画への打撃
今回のやり取りは、イランの核計画に対する米軍の攻撃が、どの程度の実質的な打撃になったのかをめぐり、評価が割れていることを浮き彫りにしています。
- 専門家や一部報道:イランは事前に高濃縮ウランなど重要な物質を移送し、核計画の中核部分は温存された可能性がある。
- ヘグセット国防長官や米国防当局:攻撃はイランの核計画に深刻な損害を与え、再建には数年かかるレベルの成功だった。
どちらの評価がより実情に近いのかは、今後の追加情報や国際機関による検証などを踏まえて見極められていくとみられます。
なぜこのニュースが重要なのか
イランの核問題は、中東情勢だけでなく世界の安全保障に直結するテーマです。高濃縮ウランの所在や量をめぐる不透明さは、周辺国や国際社会の不信感を一層高める可能性があります。
同時に、米政府内の評価やメディア報道の食い違いは、情報の透明性や信頼性という別の課題も投げかけます。読者としては、単一の評価や見出しだけで結論づけるのではなく、複数の情報源と視点を意識しながら、この問題の行方を冷静に見ていくことが重要になりそうです。
Reference(s):
No known intelligence that Iran moved uranium, U.S. defense chief says
cgtn.com








