WHO、ガザに3月以来初の医療支援 「大海の一滴」とさらなる支援訴え
WHO、ガザに3月以来初の医療支援 「大海の一滴」とさらなる支援訴え
世界保健機関(WHO)が、3月の全面封鎖開始以来初めてガザ地区に医療物資を届けました。しかしWHOトップは、この支援は「大海の一滴」にすぎないと危機感を示し、大規模で継続的な支援の必要性を訴えています。
3月の全面封鎖後、初めての医療支援
WHOは木曜日、ガザへの医療物資の搬入が3月2日以来初めて実現したと明らかにしました。6月25日に行われた今回の搬入では、9台のトラックがガザに入りました。
ガザ地区では3月2日にイスラエルによる全面封鎖が始まり、その後およそ2カ月たって一部の食料搬入は認められたものの、医療物資などその他の支援物資はこれまで認められてこなかったとされています。WHOによる今回の医療支援は、その状況が初めて変わった動きです。
9台のトラック、その中身は
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、SNSプラットフォーム「X」への投稿で、今回の支援の詳細を明らかにしました。9台のトラックには、必需の医療物資に加え、2,000単位の血液と1,500単位の血漿(けっしょう)が積まれていたとしています。
トラックはイスラエル側のケレム・シャローム検問所を通ってガザに入りました。テドロス事務局長によると、道中は危険が高い状況だったものの、「略奪行為は起きなかった」としています。
これらの物資は今後数日のうちに、ガザ地区内の優先度の高い病院に振り分けられる予定です。血液と血漿は、まずナセル医療コンプレックスの低温貯蔵施設に運び込まれ、そこから重い不足に直面している各病院へと配分されます。負傷者の流入が増えており、その多くが食料配給所での出来事に関連しているとされています。
テドロス事務局長は、WHOのトラック4台がなおケレム・シャロームで待機しているほか、さらに多くのトラックがガザに向かっていると説明しました。
「大海の一滴」―WHOが訴えること
一方でテドロス事務局長は、この医療支援について「これらの医療物資は大海の一滴にすぎない」と表現し、規模の小ささを強調しました。命を救うためには、「大規模で、妨げられることのない、継続的な医療支援」がガザに届けられることが不可欠だと訴えています。
WHOは、あらゆる可能な経路を通じて、ガザへの医療支援を「即時に、妨害なく、持続的に」届けるよう呼びかけました。
水と衛生の危機が招く疾病の拡大
同じ日、国連の人道支援を調整する機関であるOCHA(国連人道問題調整事務所)は、ガザの公衆衛生状況について深刻なデータを公表しました。直近2週間で、急性の水様性下痢の症例が1万9,000件以上確認されたほか、急性黄疸症候群と血性下痢の症例がそれぞれ200件を超えたとしています。
OCHAは、こうした疾病の集団発生は「ガザにおける清潔な水と衛生設備の不足に直接関連している」と指摘し、燃料、医療物資、水・衛生・衛生用品(いわゆるWASH分野の物資)の緊急の確保が、公衆衛生システムのさらなる崩壊を防ぐうえで不可欠だと強調しました。
人道支援の「流れ」をどう確保するか
OCHAはまた、人道支援ニーズを満たし、略奪を減らしていくためには、ガザに入る人道物資と生活に必要な商業物資の流れを大幅に増やすことが重要だとしています。その際には、単一の検問所に依存せず、複数の検問所やルートを通じて物資を搬入し、ガザ地区全域に安全に配分できる仕組みづくりが求められると指摘しました。
このニュースから考えたいこと
今回のWHOによる医療支援は、封鎖が続くガザにとって重要な一歩である一方、その規模が「大海の一滴」と表現されるほど、現地のニーズがはるかに大きいことを浮き彫りにしました。
医療物資だけでなく、清潔な水や衛生環境、電力や燃料といった基盤がなければ、公衆衛生危機はさらに深刻化します。国際機関が発する数字や呼びかけをどう受け止めるかは、世界や地域の紛争、人道危機に対する私たち自身の向き合い方ともつながっていきます。
ニュースを追うとき、単に「支援が届いたかどうか」だけでなく、「どのくらいの規模で、どれだけ継続されるのか」「その過程で現地の人々の安全と尊厳が守られているか」といった問いも、あわせて持ち続けることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








