米国、イスラエル防衛でTHAADの最大2割使用 在庫圧迫との報道
米国、イスラエル防衛でTHAAD在庫を大きく消費
アメリカが、最近の12日間にわたるイスラエルとイランの衝突で、ミサイル防衛システムTHAAD(高高度防衛ミサイル)の全世界在庫の15〜20%を使用したと、米メディアが報じています。作戦コストは約8億ドルに達し、ミサイル在庫の逼迫が懸念されています。
12日間の攻防で何が起きたのか
米誌「ニューズウィーク」は、軍事専門のオンラインメディア「Bulgarian Military News」と「Military Watch Magazine」を引用し、イスラエルとアメリカがイランの核関連施設を攻撃し、これに対してイランがミサイルで報復した12日間の衝突の中で、アメリカがTHAADを含むミサイル防衛網を総動員したと伝えています。
その結果、アメリカはイスラエル防衛のために保有するTHAAD迎撃ミサイルの15〜20%を使用したとされ、短期間での消費量としては異例の規模となりました。
THAADとはどんなシステムか
THAADは「Terminal High-Altitude Area Defense」の略で、弾道ミサイルを大気圏の外側や高高度で迎撃するための防衛システムです。目標に直接ぶつかって破壊する「ヒット・トゥ・キル方式」を採用しており、高性能なレーダーと組み合わせて運用されます。
1発あたりの価格が高く、生産能力にも限りがあるため、保有数は無制限ではありません。そのTHAAD迎撃ミサイルを、今回のように短期間で集中的に使用したことが、在庫圧迫と今後の運用への影響をめぐる議論につながっています。
在庫の15〜20%を投入 コストは約8億ドル
報道によると、12日間の防衛作戦では、アメリカのTHAAD迎撃ミサイル全世界在庫の15〜20%が使用されました。これは、世界各地に展開するアメリカ軍のミサイル防衛態勢にとって小さくない割合です。
この作戦全体にかかった費用は、およそ8億ドルと見積もられています。ミサイル防衛は、撃たれたミサイルを迎撃するたびに高価な弾を消費するという性質を持つため、財政面・在庫面の両方で負担が蓄積しやすい仕組みだと言えます。
2024年に配備したイスラエル向けTHAADを補充
アメリカ紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」によりますと、アメリカは在庫減少への懸念が高まる中、2024年にイスラエルに配備したTHAADシステム向けの迎撃ミサイルを補充しました。これは、イスラエル周辺のミサイル脅威が続く中でも防衛態勢を維持するためとみられます。
一方で、世界各地にはほかにもアメリカのミサイル防衛システムが展開されています。今回のような大規模な使用が続けば、他地域の防衛態勢や、今後の有事に備えた予備弾の確保に影響が出る可能性も指摘されています。
なぜこのニュースが重要なのか
今回の報道が注目される背景には、次のような論点があります。
- ミサイル防衛システムにも弾切れリスクがあることが、具体的な数字とともに示されたこと
- 中東での緊張が、アメリカの軍備計画や在庫管理に直接跳ね返っていること
- 高コストな迎撃ミサイルをどの程度まで投入するのかという、戦略面・財政面での判断の難しさ
- 同盟国を防衛しながら、自国本土や他地域の防衛態勢とのバランスをどう取るかという課題
こうした点は、ミサイル防衛に依存する安全保障モデルそのものの持続可能性を考えるうえでも重要なテーマです。
今後の焦点:増産か、役割分担か
THAADのような高度なミサイル防衛システムは、一朝一夕には増産できません。今回明らかになった大規模消費は、アメリカに対し、次のような点で戦略の見直しを迫るきっかけとなる可能性があります。
- 迎撃ミサイルの生産能力や在庫の拡充
- 同盟国との役割分担や、防空システムの共同運用
- 防衛だけでなく緊張緩和や外交的な危機管理をどう組み合わせるか
ミサイルを撃たせない抑止と、撃たれたら守る防衛。その両方をどうバランスさせるのか。今回のTHAAD大量使用のニュースは、国際社会全体にとっても考えるべき問いを投げかけています。
Reference(s):
U.S. used up to 20% THAAD stockpile in shielding Israel, say reports
cgtn.com








