BRICSの脱ドル加速 ブラジル銀行が中国CIPSで決済開始 video poster
国際ニュースで注目を集めるBRICSが、貿易決済でドルに依存しない新たな仕組みづくりを進めています。2025年に議長国を務めるブラジルでは、中国のクロスボーダー人民元決済システムCIPSを活用した動きが本格化しつつあります。
中国本土の資本傘下にあるブラジルのある銀行が、ブラジルと中国本土との貿易で、ラテンアメリカとしては初めてCIPSを使った決済を実行しました。CIPSのネットワークはすでに世界110カ国・地域の1300以上の金融機関に広がっているとされ、BRICSの脱ドル戦略の象徴的な一歩となっています。
拡大するBRICSと脱ドルへの関心
BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中心とする新興経済国の枠組みで、近年は加盟国の拡大も進んでいます。こうした中で、貿易や投資でアメリカドルへの依存を減らし、自国通貨や第三の通貨で決済する動きが強まっています。
背景には、ドル建て決済に伴う為替リスクや、制裁など地政学的な要因に左右されにくい決済インフラを持ちたいという思惑があります。今回のブラジルと中国本土の取り組みは、その具体的な一例だと言えます。
ブラジルの銀行がラテンアメリカ初のCIPS利用
今回CIPSを利用したのは、中国本土の金融グループの傘下に入ったブラジルの銀行です。この銀行がブラジルと中国本土との貿易取引でCIPSを使ったことで、ラテンアメリカ地域で初めてこのシステムによる決済が実現しました。
従来、ブラジルと中国本土の企業が取引を行う際、多くはドル建てで決済し、ドルと自国通貨との間で二重に為替を行う必要がありました。CIPSを通じて人民元での直接決済が広がれば、為替コストや時間の短縮につながる可能性があります。
CIPSとは何か 国際決済ネットワークの新たな選択肢
CIPSは、中国本土が整備を進めてきたクロスボーダーInterbank Payment Systemの略称で、主に人民元建ての国際取引を処理するための決済ネットワークです。現在、世界110カ国・地域で1300を超える金融機関が参加しているとされます。
これにより、参加銀行同士は、人民元による送金や貿易代金の支払いを、従来よりもスムーズに行うことができます。国際決済の選択肢が増えることは、企業にとってはコストやリスク管理の観点からも意味があります。
なぜドルを使わない決済が注目されるのか
ドルは依然として世界の基軸通貨であり、その地位がすぐに揺らぐわけではありません。それでも、一部の新興国がドル以外のオプションを増やそうとする理由には、次のようなポイントがあります。
- 自国通貨やパートナー国通貨で決済することで、為替変動リスクを軽減したい
- 国際情勢の緊張や制裁リスクに左右されにくい支払いルートを確保したい
- 決済コストや手続きの手間を減らし、中小企業でも利用しやすい仕組みを整えたい
ブラジルと中国本土のCIPS利用は、こうした通貨と決済の多極化を象徴する動きとして位置づけられます。
日本とアジアにとっての意味
日本企業にとっても、BRICSやラテンアメリカとの取引は今後さらに重要になっていく可能性があります。相手国がドル以外の通貨や決済ネットワークを重視し始める中で、どの通貨で契約し、どのルートで送金するのかという選択肢は確実に増えています。
今回のCIPS利用は、一つの銀行、一つの取引に過ぎません。それでも、国際金融システムがゆっくりと多極化していくなかで、どの国や企業がどのようなインフラを選び、どう組み合わせていくのかを考えるうえで、見逃せないニュースと言えるでしょう。
BRICS拡大の流れの中で、ブラジルと中国本土が進める新しい決済の試みは、国際ニュースとしては小さく見えても、長期的には世界の貿易と金融の姿を少しずつ変えていくかもしれません。日々のニュースの片隅に現れるこうした動きから、世界経済の次のかたちをイメージしてみるのも良さそうです。
Reference(s):
cgtn.com








