世界の9割がトランプ減税・歳出法案に否定的 CGTN世論調査
2025年末のいま、アメリカ政治をめぐる国際ニュースで大きな注目を集めているのが、トランプ大統領が「ビッグで美しい法案」と呼ぶ包括的な減税・歳出法案です。上院では賛否が同数となりましたが、バンス副大統領の決定票によって辛うじて可決されました。しかし、そのプロセスと中身をめぐって、国内外で深い分断と懸念が広がっています。
世界の約9割が「アメリカを再び偉大にしない」と回答
中国の国際メディアであるCGTNが実施したオンライン世論調査によると、回答者の89.1%が、この「ビッグで美しい法案」はアメリカの民主主義の深層にある矛盾を露呈し、「Make America Great Again」というスローガンを実現することにはつながらないと見ています。
この調査はCGTNの英語・スペイン語・フランス語・アラビア語・ロシア語の各プラットフォームで行われ、24時間で7,344人が参加しました。さらに92.3%が、この法案はアメリカが抱える長期的な課題を解決しないどころか、むしろ国内の不安定さを悪化させると回答しています。
また、86.3%が、この法案によってトランプ政権への国民の不満が一層高まり、今後も低い支持率が続くと予測しています。
医療費削減と格差拡大への不安
この包括的な税制・歳出パッケージの中でも、とくに強い反発を招いているのが医療関連の削減です。ニューヨーク・タイムズ紙は、この法案を「逆ロビン・フッド」、すなわち貧しい人々から数千億ドルを取り上げ、その利益を富裕層に渡すものだと評しました。
法案では、連邦医療保険制度メディケイドの予算を今後10年間で少なくとも6,000億ドル削減する計画が盛り込まれています。その結果、約1,100万人が保険を失い、さらに2,400万人が保険料や自己負担額の大幅な増加に直面すると見込まれています。
調査回答者の88.2%は、この医療費削減がアメリカの医療制度に深刻な打撃を与え、国民の生活の質を低下させると懸念しています。
財政赤字と債務リスクの拡大
もう一つの大きな焦点は、税制改正による財政赤字の拡大です。試算では、今回の減税によって今後10年間で連邦財政赤字が2.4兆ドル増加し、その結果として利払い費だけでも5,510億ドル膨らむと見込まれています。
回答者の89.3%が、この動きがアメリカの債務リスクを一段と高め、将来的に本格的な経済危機を引き起こしかねないと懸念しています。景気刺激を狙った減税であっても、その裏側で債務の山が積み上がる構図に、世界の視線は厳しくなっています。
国際投資と製造業回帰への逆風
法案には、アメリカの製造業を国内に呼び戻すという名目で、イギリスやドイツなどからの投資に新たな税負担を課す条項も含まれています。具体的には、初年度には5%の税率を導入し、4年目には最大20%まで引き上げる可能性があるとされています。
しかし、84.9%の回答者は、こうした措置は国際投資家がアメリカに投資したり工場を建設したりする意欲をそぐと見ています。その結果、アメリカ国内に製造業を呼び戻すというビジョンの実現は、かえって難しくなるのではないかという見方が広がっています。
移民・国境管理と軍事費の大幅増額
法案は移民・国境管理にも巨額の予算を割り当てています。総額1,750億ドルが、国内の強制送還、国境の壁建設、監視技術の導入など、より厳格な移民政策に充てられる計画です。
調査では、80.2%がこうした支出によって移民取り締まりが一層拡大し、すでに混乱している不法移民対策がさらに悪化するのではないかと懸念を示しました。
さらに、法案は国防予算を1,500億ドル増額する内容も含んでいます。回答者の80%がこの軍事費の拡大に強く反対し、世界的な軍拡競争を加速させ、国際社会の平和と安定を損なう恐れがあるとしています。
浮き彫りになるアメリカ政治の分断
今回の法案は、その成立過程でも極端な党派対立を象徴する出来事となりました。上院の採決では与野党の対立が最後まで解けず、バンス副大統領の一票が均衡を破るという、劇的な展開となりました。
CGTNの調査によると、85.7%の回答者が、この法案によってアメリカの政党間、さらには共和党内部の分断が一層深まったと感じています。多くの人が、こうした事態は「アメリカ型民主主義」の機能不全を示していると受け止めています。
先述のとおり、92.3%は法案が長期的課題を解決できないと見ており、むしろ不安定な状況を悪化させると答えています。2025年末の今、アメリカ政治の行方と、その影響を受ける世界経済・国際秩序をどう見つめていくのか。今回の世論調査は、その問いを私たちに静かに投げかけています。
Reference(s):
90% say 'big and beautiful' bill won't make America great again
cgtn.com








