イラン大統領がIAEA協力停止を指示 核施設攻撃を理由に
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が、国際原子力機関(IAEA)との協力を一時停止する法律の施行を命じました。米国とイスラエルによる主権侵害や核施設への攻撃への対応とされ、イラン核問題をめぐる緊張が一段と高まる可能性があります。
イラン大統領がIAEAとの協力停止を指示
イランのタスニム通信によりますと、ペゼシュキアン大統領は火曜日、イラン原子力庁、外務省、最高国家安全保障評議会あての書簡で、IAEAとの協力停止を定めた法律の施行を命じました。
この法律は、水曜日にタスニム通信が伝えたもので、憲法監督評議会の報道官ハディ・ターハン・ナジフ氏によれば、イランの主権、領土保全、そして核施設と科学者の安全が完全に保障されるまで、IAEAとの協力を停止する内容です。
法律には例えば次のような点が盛り込まれています。
- IAEAとの協力を、一定の条件が満たされるまで停止すること
- 条件として、イランの主権と領土の一体性、核施設および核科学者の安全が完全に保証されること
- 今後、IAEAによるイランの核施設への査察は、テヘランの最高国家安全保障評議会の承認を必要とすること
主権侵害と核施設攻撃を理由にした新法
ナジフ氏は、この法律が、米国とイスラエルによるイランの国家主権の侵害、領土の一体性への攻撃、そして平和的な核施設に対する攻撃を受けて制定されたと説明しています。
法律は、先週水曜日にイラン議会で可決され、翌日に憲法監督評議会が承認しました。その後、大統領が施行命令を出したことで、正式に発効した形です。
IAEAとアメリカの反応
国際原子力機関(IAEA)は声明で、こうした報道を認識しており、イランからのさらなる公式情報を待っていると述べました。現時点では、具体的な対応方針は明らかにしていません。
一方、米国務省のタミー・ブルース報道官は定例会見で、イランは国連機関であるIAEAに対し、これ以上遅滞することなく完全に協力しなければならないと述べました。ブルース氏は、イランがIAEAとの協力を停止することを選んだのは受け入れられないとし、本来ならば進路を転換し、平和と繁栄の道を選ぶ機会が開かれている時期だと強調しました。
フォルドウ核施設への攻撃被害を訴えるイラン
これとは別に、イランのアッバス・アラーグチ外相は、米軍によるイランの主要核施設フォルドウへの爆撃が、施設に深刻で大きな損傷を与えたと述べています。
イラン側は、フォルドウへの攻撃も含め、国家主権や核施設への攻撃が今回の法律の背景にあると位置づけています。主権と安全保障の問題と、IAEAとの協力の在り方が強く結びついている形です。
国際社会と地域情勢への含意
IAEAとの協力停止は、イランの核活動の透明性をどこまで維持できるかという点で、イランと国際社会の関係に影響を与える可能性があります。査察ごとに最高国家安全保障評議会の承認が必要となれば、査察の頻度や範囲が制限される懸念も出てきます。
同時に、イランは自国の主権と安全保障を守るための措置だと主張しており、米国やイスラエルとの対立、さらには中東地域の緊張とも密接に結びついています。
今後の焦点としては、次のような点が挙げられます。
- イランが実際にどの程度までIAEAとの協力を絞り込むのか
- IAEAがイランからの公式説明を受けた後、どのような対応を取るのか
- 米国をはじめとする各国が、追加制裁や外交的圧力ではなく、どのような対話のチャンネルを模索するのか
- フォルドウ核施設の損傷が、イランの核計画や地域の安全保障にどのような影響を及ぼすのか
日本やアジアの読者にとっても、核問題と中東情勢の不安定化はエネルギー安全保障や国際秩序に直結するテーマです。短期的な対立の激化だけでなく、中長期的にどのような枠組みで緊張緩和と信頼構築を進めていけるのか、引き続き注視する必要があります。
Reference(s):
Iran's president issues order to suspend cooperation with IAEA
cgtn.com








