フロリダ湿地に新設「アリゲーター・アルカトラズ」移民収容施設に批判
米南部フロリダ州の広大な湿地帯エバーグレーズに、新たな移民収容センターが完成し、地元メディアは「アリゲーター・アルカトラズ」と呼んでいます。トランプ米大統領が進める不法移民の大規模な強制送還政策の一環として、最初の被収容者の受け入れが始まりました。
木曜日から被収容者の受け入れ開始
コロンビア放送(Columbia Broadcasting Corporation)によると、米国土安全保障省のトリシア・マクロークリン次官補は声明で「被収容者は昨夜から到着し始めている」と明らかにしました。
マクロークリン氏はさらに、アメリカ国民が求める「犯罪歴のある不法移民」の大量送還を実現するため、「コスト効率が高く革新的な方法」を高速で進めていると説明し、フロリダ州との連携によって「数日のうちに施設と収容ベッドを拡大できる」と述べています。
わずか8日で建設された巨大施設
この新施設は、わずか8日間で建設されたとされています。フロリダ州のロン・デサンティス知事によると、センターには200台を超える監視カメラが設置され、約2万8,000フィート(約8.5キロメートル)におよぶ有刺鉄線が張り巡らされています。
- 監視カメラ:200台以上
- 有刺鉄線:総延長約2万8,000フィート
- 警備要員:約400人
- 最大収容人数:約3,000人(完全稼働時)
厳重な警備体制と短期間での建設は、トランプ政権が掲げる「迅速な大量送還」を象徴する取り組みともいえます。一方で、急ピッチの整備がもたらす副作用を懸念する声も高まっています。
環境団体は「規制が無視された」と提訴
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、環境保護団体は施設建設の差し止めを求めて訴訟を起こしています。訴えでは、フロリダ州当局と連邦政府が、施設建設を急ぐあまり環境関連の規制を踏みにじったと主張しています。
エバーグレーズは、湿地ならではの多様な生態系をもつ繊細な環境として知られています。環境団体は、大規模な収容施設とその周辺インフラが、こうした生態系に長期的な影響を与えかねないと警告しています。
人権擁護団体と先住民が懸念する3つのポイント
人権擁護団体や先住民の部族も、この新施設に強く反発しています。彼らが挙げる懸念は大きく三つに整理できます。
- 繊細なエコシステムへの影響
施設建設と運営によって、エバーグレーズの生態系が損なわれる可能性があると指摘しています。 - 収容環境の過酷さ
極端な暑さや大量の蚊が発生する地域に大量の人を閉じ込めることは、被収容者の健康と人権を脅かすと批判しています。 - 先住民にとっての聖地の喪失
施設が建てられた土地は、一部の先住民部族にとって精神的・文化的に重要な意味を持つ場所だとされ、その「聖地」が奪われたと訴えています。
移民政策と環境・人権をどう両立させるか
「アリゲーター・アルカトラズ」という呼び名は、ワニが生息する湿地のど真ん中に、厳重な収容施設がそびえ立つ姿を象徴的に表しています。トランプ政権は、安全保障と移民管理の強化を掲げ、その象徴としてこの施設を位置づけています。
一方で、環境保護や人権、先住民の権利といった価値とのバランスをどう取るのかは、2025年現在、多くの国が直面している共通の課題でもあります。短期間で大規模な施設を整備するアプローチが、どこまで社会の支持を得られるのか。今後の訴訟の行方と現場の実態が、国際的な議論の焦点になっていきそうです。
Reference(s):
First immigrant detainees arrive at 'Alligator Alcatraz': reports
cgtn.com








