米軍がウクライナへの武器供与を一部再開 砲弾とロケット弾に焦点
米軍が一時停止していたウクライナへの武器供与の一部を再開しました。砲弾とロケット弾に絞った今回の決定は、ロシアによる空からの攻撃が激しさを増す中、戦況と米軍の備蓄リスクの両方をどう管理するかという難しいバランスを映し出しています。
米軍が武器供与を再開 何が送られているのか
米政府当局者2人が明らかにしたところによると、アメリカはウクライナに対し、155ミリ砲弾とGMLRSと呼ばれる機動ロケット砲用ミサイルの供与を再開しました。いずれもウクライナ軍の地上戦を支える重要な火力とされています。
これらの当局者は匿名を条件に証言しており、具体的な弾薬の数量や、今回の輸送がすでに完了しているのかどうかまでは明らかにしていません。
なぜ一時停止されていたのか
ウクライナ向けの武器供与は先週、一部が一時停止されていました。背景には、米軍の保有する弾薬の在庫が「少なすぎる」水準に近づいているのではないかという懸念があったとされています。
今回再開されたのは、あくまで155ミリ砲弾とGMLRSミサイルに限られています。他の兵器の供与について、アメリカ側がどのような判断をしたのかは現時点では不透明です。
まだ止まったままの兵器も
先週停止された輸送には、次のような兵器が含まれていました。
- パトリオット地対空ミサイル 30発
- 155ミリ砲弾 8,500発
- 高精度のGMLRSミサイル 250発超
- ヘルファイア対地ミサイル 142発
今回再開が確認されたのは、このうち砲弾とGMLRSミサイルの一部にとどまっています。パトリオットやヘルファイアなど、他の兵器の輸送がいつ、どのような形で再開されるのかは、まだ見えていません。
トランプ政権の対応とパトリオット供与の行方
ドナルド・トランプ米大統領の政権は、先週、一部の重要な兵器のウクライナ向け輸送を停止していました。トランプ氏は、パトリオット地対空ミサイルをウクライナに送ることを検討すると発言していますが、実際にいつ供与されるのかは明らかになっていません。
ウクライナ側が最も重視しているのは、このパトリオットを含む対空防衛能力の強化です。砲弾やロケット弾の供与再開は重要な一歩である一方で、空からの脅威にどう対応していくのかという根本的な課題は残されたままです。
ゼレンスキー大統領「対空防衛が最優先」
ウクライナのゼレンスキー大統領は、重要な軍事支援、とくに防空システムの供与を確保するため、アメリカとの協議や働きかけを拡大するよう指示したと明らかにしています。
ロシアは2022年の侵攻開始以降、ウクライナ各地に無人機やミサイルによる攻撃を続けてきました。直近の夜間攻撃では、過去最多となる728機の無人機がウクライナに向けて発射されたとされています。
ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」で、こうした攻撃の激化は、ロシアが戦争資金を得ている収入源に対し「噛みつく」ような強い制裁が必要であることを示していると述べました。とくにロシア産の原油を購入する主体に対する圧力の強化を訴えています。
ウクライナの防衛と米軍備蓄、二つのバランス
今回の一時停止と再開は、ウクライナ支援とアメリカ自身の軍事備蓄をどう両立させるかという課題を浮き彫りにしました。ウクライナにとっては、砲弾やロケット弾の供給が戦場での継戦能力を左右します。一方、アメリカ側にとっても、自国の抑止力を維持できる水準の在庫を確保することは安全保障上の重要なテーマです。
今後も、どの種類の兵器を、どのタイミングで、どれだけウクライナに提供するのかという判断は、戦況だけでなく、米軍の備蓄状況や同盟国との役割分担を見ながら、細かく調整が続くとみられます。
これから注目したい3つのポイント
今回のニュースをフォローするうえで、今後の焦点となりそうなポイントを整理します。
- パトリオット供与のタイミングと規模:ロシアのミサイル・無人機攻撃が続く中で、高性能な防空システムがいつ届くのか。
- 他の兵器供与の行方:砲弾・ロケット弾以外の兵器が再び送られるのか、それとも当面は絞った供与が続くのか。
- 制裁強化の広がり:ロシア産原油の購入者など、戦争資金の流れをどう断ち切るのか。各国の対応によって、戦況やエネルギー市場への影響も変わってきます。
ウクライナ情勢をめぐる国際ニュースは、武器供与や制裁のような一見細かな決定が、戦場の現実やエネルギー価格、各国の安全保障政策にまで波及していきます。日々のニュースを追いながら、その背後にある選択とリスクのバランスにも目を向けておくことが求められています。
Reference(s):
U.S. military resumes shipments of certain weapons to Ukraine
cgtn.com








