シリア南部スウェイダで停戦揺らぐ イスラエル空爆と治安部隊再配備
シリア南部スウェイダで、政府軍と地元部族勢力の衝突が再燃し、シリア治安部隊が再配備の準備を進める一方、イスラエルは空爆と警告で介入し、アメリカはイスラエルの攻撃を支持しない姿勢を示しています。
スウェイダで続くドゥルーズとベドウィンの衝突
シリア内務省の報道官は金曜日、南部のドゥルーズ教徒が多数を占める都市スウェイダに、治安部隊を再配備する準備を進めていると明らかにしました。目的は、ドゥルーズ勢力とベドウィン部族との戦闘を抑え込むことですが、南部でかろうじて成り立っている停戦をさらに揺るがしかねない動きです。
水曜日に発表された停戦は、それまで数日間続いていた激しい戦闘をいったん終わらせました。戦闘は、スウェイダ県内でドゥルーズ戦闘員とベドウィン部族戦闘員が衝突したことから始まり、シリア政府が軍を投入したことで、暴力は一段と激化しました。
停戦の成立後、政府軍部隊はいったんスウェイダから撤収しましたが、木曜日の深夜には、ベドウィン部族戦闘員とドゥルーズ側の間で再び衝突が発生しました。ドゥルーズはレバノンやイスラエルにも信徒がいる宗教的少数派であり、地域全体への波及が懸念される構図です。
イスラエルの空爆と「ドゥルーズ保護」の名目
こうした中、イスラエルはシリア情勢に直接介入しています。イスラエル側は、イスラム主義勢力が主導するシリア政府による南部への部隊展開を許容しないと表明し、スウェイダのシリア軍部隊に加え、国防省やダマスカスの大統領宮殿近くも攻撃しました。
その後もイスラエル軍は、スウェイダ県内で夜間の新たな空爆を実施しました。軍事行動は停戦の行方を一層不透明にし、現地の緊張を高めています。
イスラエルは、シリアの新たな支配層について「ほとんど偽装のないジハード主義者」だと批判し、イスラム主義勢力が主導するシリア政権への深い不信感を隠していません。そのうえで、自らの介入はスウェイダのドゥルーズ共同体を攻撃から守るためだと主張しています。
アメリカとの温度差:停戦仲介と空爆への距離
一方、アメリカはイスラエルの最近のシリア空爆を支持しない立場を明確にしています。イスラエルの強い不信と軍事行動は、同盟国であるアメリカの姿勢とはずれを見せています。
アメリカは、シリア政府軍とドゥルーズ戦闘員の間で行われた先の停戦の成立に関与しました。ホワイトハウスは木曜日の時点で、この停戦は維持されているようだと説明していました。
しかしその後に衝突と空爆が再燃しており、南部情勢がいかに不安定であるかが浮き彫りになっています。停戦仲介に動くアメリカ、軍事力で影響力を行使するイスラエル、南部を掌握しようとするシリア新政権――三者の思惑の違いが、今後の展開を左右しそうです。
シリア新指導部はイスラエルを批判し、少数派保護を約束
シリアの指導者アフメド・アル・シャラーは、アメリカとの関係をこれまでより温かいものにしようと努めてきた人物とされています。そのシャラー氏は今回、イスラエルがシリアを分断しようとしていると非難しました。
同時にシャラー氏は、国内のドゥルーズ少数派を守ると約束しています。少数派の保護を掲げて介入するイスラエルに対し、自国政府こそが安全を保障すると訴えることで、正統性をアピールしようとしているとも受け取れます。
南部情勢が投げかける問い
スウェイダをめぐる事態は、内戦下の国内対立と、周辺国の安全保障不安、少数派保護というテーマが複雑に重なり合う局面となっています。短時間で状況が変化する中で、いくつかの問いが浮かび上がります。
- 治安部隊の再配備は秩序回復につながるのか、それとも衝突拡大の火種となるのか。
- 少数派保護を掲げた域外勢力の軍事介入は、現地の人々の安全をどこまで高めるのか。
- アメリカ、イスラエル、シリア新政権の思惑の違いは、今後の南部情勢をどの方向へ導くのか。
ドゥルーズとベドウィン部族、シリア政府、イスラエル、そして停戦を仲介したアメリカ――複数のアクターがそれぞれ「安定」や「保護」を語っています。誰の視点から語られた安全保障なのかを意識することが、これからのシリア南部のニュースを読み解くうえでの鍵になりそうです。
Reference(s):
Syrian forces prepare to redeploy to Sweida despite Israeli warnings
cgtn.com








