イスラエルとシリアが停戦合意 米仲介でスウェイダ衝突に歯止め
イスラエルとシリアが米国の仲介で停戦合意に達しました。南部スウェイダ県で続いていた宗派間の激しい衝突と、それに対するイスラエルの大規模攻撃が、地域全体の緊張を高めていた中での重要な動きです。
米特使が停戦を発表 ネタニヤフ氏と暫定指導者が合意
米国のシリア担当特使トム・バラック氏は、現地時間の土曜日未明に停戦合意が成立したと発表しました。発表によると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と、シリアの暫定指導者アハメド・アル・シャラー氏が、マルコ・ルビオ米国務長官の「後ろ盾」のもとで、戦闘の停止に合意しました。
この停戦は、トルコ(Türkiye)、ヨルダンをはじめとするシリア周辺国も支持しており、国際ニュースとしても中東情勢を左右しかねない重要な一歩と受け止められています。
南部スウェイダでの宗派間衝突が発火点
今回の停戦合意の背景には、シリア南部スウェイダ県で6日間にわたって続いた激しい宗派間の衝突があります。この戦闘では、数百人規模の死者が出たとされ、地域全体がさらなるエスカレーションに向かうのではないかとの懸念が高まっていました。
こうした中で、イスラエルは「介入」として大規模な空爆を実施し、戦闘は国境をまたぐ緊張へと発展していました。また、国連の支援車列が紛争地域への立ち入りを妨げられるなど、スウェイダでは人道状況の悪化も深刻な問題となっていました。
停戦合意の中身 地元武装勢力は解体へ
地元メディアの報道によると、今回の停戦合意には、次のような具体的な項目が含まれているとされています。
- シリア政府の治安部隊および軍が、スウェイダ県の全域に再び展開することを認める
- 県内のすべての地元派閥・武装勢力を解体する
- 重火器などの重武装を当局に引き渡す
- これまで戦闘に参加していた人々を、国家の治安機構に統合する
中央政府の統制を回復する一方で、地元勢力を排除するのではなく公的な治安組織に組み込むことで、武装解除と安定化の両立を目指す内容となっています。
ドゥルーズ指導部は歓迎 「知恵と理性」への回帰呼びかけ
スウェイダに多く住むドゥルーズ共同体の宗教指導部は声明を出し、停戦合意を歓迎するとともに、現在続いている敵対行為を終わらせる用意があると表明しました。声明では、「知恵と理性」に立ち返ることが強調され、住民に対して冷静な対応を呼びかけています。
バラック特使も、ソーシャルメディアへの投稿で、ドゥルーズやベドウィン、スンニ派の人々、そしてその他の少数派に対し、武器を置き、隣国とも平和と繁栄を共有する「新しい、統一されたシリアのアイデンティティ」を共に築くよう訴えました。武装解除だけでなく、宗派や出自を超えた共存のメッセージが前面に出されているのが特徴です。
シリア当局は沈黙 停戦の持続性が焦点に
一方で、現時点ではシリア当局から公式なコメントは出ていません。停戦合意の実施と監視を誰がどのように担うのか、詳細も明らかになっておらず、合意がどこまで現場で守られるかは不透明な部分も残ります。
停戦を後押しする形で、トルコやヨルダンなど周辺国が今後どこまで具体的な役割を果たすのか、人道支援のために国連車列の通行が安定的に確保されるのかも、国際社会が注視するポイントです。
長期的な政治解決に直結するかどうかはまだ見通せませんが、南部スウェイダをめぐる緊張をいったん和らげ、広域的な衝突拡大を防げるかどうか。今回の停戦合意は、中東の不安定な安全保障環境の中で、その試金石となる可能性があります。
Reference(s):
cgtn.com








