イラン「欧州は核合意を守っていない」 E3の制裁警告に反発
2015年のイラン核合意をめぐり、イランが英国・フランス・ドイツのいわゆる「E3」欧州3カ国は合意を順守していないと強く批判しました。E3側は、協議が進まなければ国連制裁を復活させる「スナップバック」の発動も辞さない構えを見せており、合意の行方と中東情勢への影響が改めて注目されています。
- イラン外務省報道官が、E3は核合意の義務履行で「過ちと怠慢」があったと非難
- E3は、核協議が進まなければ8月末までに国連制裁を復活させる可能性を示唆
- イランとE3は、今週イスタンブールで外務次官級の核協議を実施予定
- イスラエルと米国によるイラン核施設への攻撃から1カ月後、緊張が一段と高まる
イラン「欧州は核合意を順守していない」と批判
テヘランの外務省は月曜日、英国・フランス・ドイツの3カ国が2015年のイラン核合意を十分に履行していないと批判しました。外務省報道官のエスマイル・バガイー氏は記者会見で「欧州側は核合意の履行において過ちを犯し、怠慢だった」と述べ、責任は欧州側にあると強調しました。
バガイー氏によれば、E3はイランの核計画をめぐる交渉が進展しない場合には、イランへの制裁を再び科す可能性があると警告しています。イラン側は、こうした「脅しと圧力」によるアプローチは受け入れられないとして、欧州側こそ合意順守に向けて責任ある行動をとるべきだと主張しています。
イスタンブールで今週、次の核協議へ
バガイー報道官によりますと、イランとE3は今週金曜日、トルコのイスタンブールで外務次官級の核協議を行う予定です。緊張が高まるなかでの対面協議となり、合意維持に向けた重要な場となりそうです。
この協議に先立ち、E3の外相と欧州連合(EU)の外交政策担当上級代表は木曜日、イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相と初めての電話会談を行いました。この電話会談は、イスラエルと米国がイランの核施設を攻撃してから1カ月後に実施されたもので、緊張が続く中での貴重な対話となりました。
2015年核合意と「スナップバック」とは
2015年のイラン核合意は、イランと英国、フランス、ドイツ、中国、ロシア、そして当時の米国との間で結ばれた取り決めです。イランが核計画を制限し、その見返りとして国際社会が経済制裁を解除するという「制裁解除と核制限の交換」が柱となっていました。合意から10年がたった今も、この枠組みは国際外交の大きな焦点であり続けています。
米国は2018年に核合意から離脱しましたが、欧州3カ国と中国、ロシアは合意の当事国として残り、その維持を試みてきました。とはいえ、米国不在のまま合意をどこまで機能させられるのかという課題は解消されていません。
E3は、国連安全保障理事会の決議に盛り込まれた「スナップバック」メカニズムの発動も視野に入れているとしています。この仕組みが使われれば、イランへの国連制裁を合意前の状態に戻すことができます。スナップバックは、核合意を裏付ける安保理決議の期限が10月18日に切れる前であれば発動できるとされています。
イランのアラグチ外相は今週初め、「EUとE3が役割を果たしたいのであれば、脅しや圧力といった古い手法、特に『スナップバック』のような手段をやめるべきだ」と述べ、欧州側には道義的にも法的にもその根拠がないと強く反発しました。
背景:停滞する核協議とウラン濃縮問題
イスラエルとイランの間で空爆を伴う軍事衝突が起きる前、イランと米国はオマーンの仲介で5回にわたる核協議を行っていました。しかし、イラン国内でのウラン濃縮をめぐる深い溝など、いくつもの「越えられない壁」が残っていたとされています。
西側諸国は、核兵器転用のリスクを最小限に抑えるため、イランのウラン濃縮活動をゼロに近い水準まで引き下げることを求めています。一方、テヘランは、自国の核計画はあくまで発電や医療など民生目的に限られていると主張し、軍事利用を否定しています。こうした根本的な認識の違いが、現在の緊張と交渉の難しさにつながっています。
今後の焦点:対話は制裁回避につながるか
今週予定されるイスタンブールでの協議は、2015年核合意を立て直すための貴重な機会となります。E3が示す「スナップバック」の圧力と、イラン側の強い反発との間で、双方がどこまで妥協点を探れるかが注目されます。
もし核協議が再開されず、具体的な成果も得られない場合、E3が8月末までに国連制裁の復活に踏み切る可能性があります。その場合、イランと欧州の関係悪化にとどまらず、核不拡散体制や中東の安全保障にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
一方で、イランと欧州、さらには米国との間で対話のチャンネルを維持できれば、緊張のエスカレーションを抑えつつ、核合意の枠組みを何らかの形で延命させる余地も残されています。圧力と関与のバランスをどう取るのか――イラン核合意をめぐる駆け引きは、今後も国際社会からの厳しい視線にさらされることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







