米国30%関税とEU高級ブランド ウィーン老舗ガラスが余裕の理由 video poster
米国がEUからの一部輸入品に30%の関税を課す中、一部の欧州企業は売上減少を懸念していますが、ウィーンの高級ガラスメーカー・ロブマイヤー(Lobmeyr)は比較的落ち着いた姿勢を見せています。この国際ニュースは、関税の負担を最終的に誰が負うのかという問いを改めて投げかけています。
米国の30%関税、EU企業の受け止め
米国による30%の追加関税は、EUからの輸入品を扱う多くの企業にとって、価格競争力の低下や販売減少につながる可能性があります。そのため、一部の欧州企業は、新たな関税によって売上が大きく落ち込むのではないかと警戒しています。
しかし、すべての企業が同じように不安を抱いているわけではありません。特に高級品市場では、ブランド力や顧客層の違いから、関税の影響が限定的だと見る声もあります。
ウィーン老舗ロブマイヤー「高級品なら影響はそこまで強くない」
オーストリア・ウィーンのプレミアムガラスメーカー、ロブマイヤーは、その代表例です。同社は200年以上にわたりシャンデリアを作り続け、ハプスブルク家ゆかりの宮殿からニューヨークのメトロポリタン歌劇場まで、世界各地の象徴的な建物を照らしてきました。
ロブマイヤーの経営パートナーであるレオニード・ラス氏は、CGTNのインタビューで「もちろん高級品なので、影響はそれほど強くは出ないだろう」と語っています。質の高い商品と、それを購入できるだけの経済的余裕を持つ顧客層への信頼が背景にあります。
売上の5分の1が米国、それでも悲観しない理由
同社のガラス製品のおよそ5分の1は米国の顧客に向けて出荷されています。それでもラス氏は、ワシントンによる関税は自社にとって致命的な打撃にはならず、むしろ米国側の消費者に影響が及ぶと見ています。
ラス氏は「最終的には価格を引き上げる話になる」としたうえで、米国の顧客はこの値上げを受け入れるだろうと確信しています。つまり、関税によるコスト増は販売価格に上乗せされ、それでもなお購入を続けるだけの購買力とブランドへのロイヤルティがあるという前提です。
なぜ高級ブランドは関税に強いのか
ロブマイヤーの姿勢は、高級品市場の特徴を象徴しています。一般に、次のような理由から、高価格帯のブランドは関税や為替変動に対して比較的強いとされています。
- 富裕層の顧客は価格変動に対する感度が比較的低く、一定の値上げがあっても購買を続けやすいこと
- 職人技や歴史、ブランドストーリーといった無形の価値が重視されるため、単純な価格競争になりにくいこと
- 購入頻度が低く、一つ一つの品が特別な意味を持つため、総額としての負担が心理的に受け入れられやすいこと
こうした要素が重なることで、関税によるコスト増があっても、高級ブランドは比較的冷静でいられる場合があります。一方、価格に敏感な消費者を相手にする日常品や中価格帯の商品では、同じ30%の関税が大きな売上減少につながりかねません。
関税の負担は誰が負うのか
ラス氏の発言が示唆するのは、関税のコストが最終的にどこに転嫁されるのかという問題です。一般に、関税は輸入品に対する税金ですが、その負担は輸出企業、輸入業者、そして消費者のあいだで分け合う形で現れます。
ロブマイヤーの場合、値上げによる負担の多くを、米国の購入者が引き受けると見ている点が特徴的です。顧客の購買力が高く、ブランドへの信頼も厚いと判断しているからこそ、同社は価格の引き上げを選択肢として受け入れやすいと言えます。
日本の読者への示唆
今回のEUと米国をめぐる関税の動きは、日本で暮らす私たちにとっても無関係ではありません。輸入ワインやブランド品、電子機器など、日常的に手にする商品の裏側には、各国の通商政策が複雑に絡んでいます。
同じ30%の関税でも、その影響は業界や価格帯、顧客層によって大きく異なります。高級ブランドのように値上げを受け止める顧客がいるケースもあれば、価格上昇によって消費そのものが落ち込むケースもあります。
ロブマイヤーの顧客は値上げを受け入れるという読みは、高級品市場の強さと同時に、関税の負担が最終的に消費者に回りやすい現実を映し出しています。国際ニュースを追うとき、数字としての関税率だけでなく、誰がそのコストを支払うのかという視点を持つことが、これからますます重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








