トランプ政権、再びユネスコ脱退へ 理由と広がる波紋
米国のドナルド・トランプ大統領は火曜日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から米国を再び脱退させると決定したと、ホワイトハウスが発表しました。トランプ氏の1期目でも同様の決定がなされ、その後ジョー・バイデン氏の政権下で復帰していましたが、今回ふたたび方針が転換される形です。教育・科学・文化をめぐる国際協力の枠組みから米国が離脱する動きは、国際ニュースとして大きな関心を集めています。
決定の概要:脱退は2026年末に発効
ホワイトハウスによると、今回のユネスコ脱退は来年末、すなわち2026年の終わりに発効する予定です。それまでは米国は引き続き同機関の一員の立場にありますが、今後どの程度、事業への関与を続けるのかは不透明です。
背景にある「アメリカ・ファースト」外交
今回の決定は、トランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト(米国第一)」の外交方針の一環だとされています。この方針のもとで政権は、国連や世界貿易機関(WTO)、北大西洋条約機構(NATO)など、多国間の枠組みに対して一貫して懐疑的な姿勢を示してきました。ユネスコ離脱は、こうした流れの延長線上にあるといえます。
政権が挙げるユネスコ批判
トランプ政権は、なぜユネスコを離脱するのか。その理由として、ホワイトハウスと米国務省は次のような点を挙げています。
- ユネスコは、米政権側の言い方では、woke(ウォーク)で分断的な文化・社会的な課題を支持しており、米国民が支持した「常識的な政策」とはかけ離れている
- 国際開発をめぐり、アメリカ・ファースト外交と相いれない「グローバルでイデオロギー的な議題」を推進している
- パレスチナを「加盟国」として受け入れた判断は、米国の政策に反する重大な問題であり、反イスラエル的なレトリック(言説)の拡散につながった
wokeとは何を意味するのか
ホワイトハウスの報道官アナ・ケリー氏は、ユネスコがwokeで分断的な文化的・社会的な大義を支持していると批判しました。ここで使われているwokeとは、米国内で差別や社会的正義をめぐる議論のなかで用いられる政治用語で、保守派からはリベラルな社会運動を批判する際の言葉としても使われます。政権側は、ユネスコの活動がこうした価値観に偏っていると見ていることになります。
グローバリスト的な議題への反発
米国務省も声明で、ユネスコが「国際開発に関して、アメリカ・ファースト外交と相反するグローバリストでイデオロギー的な議題を支持している」と指摘しました。教育や文化、科学に関する国際協力の場が、特定の価値観や政治的立場を推し進める場になっているというのが政権側の見立てです。
パレスチナ加盟と対イスラエル論争
さらに国務省は、ユネスコがパレスチナを加盟国として認めたことを「米国の政策に反する重大な問題」と位置づけ、この決定が反イスラエル的な言説の拡大に寄与したと主張しています。パレスチナ問題とイスラエルに対する米国の立場が、今回の脱退判断の重要な背景の一つになっていると考えられます。
ユネスコ、米国、そして私たちへの問い
ユネスコはその名称が示すように、教育・科学・文化を通じて各国が協力するための国連専門機関です。今回、米国が再び離脱に向かうことで、次のような問いがあらためて突きつけられています。
- 国際機関は、どこまで政治的・イデオロギー的な対立から距離を保てるのか
- 大国が気に入らない方向性を理由に離脱を繰り返すことは、国際協調にどんな影響を与えるのか
- 教育や文化、科学といった分野の普遍的な価値を、各国はどのように共有していくべきなのか
トランプ政権は、ユネスコが米国民の「常識的な政策」と合致していないと強調しています。一方で、国境をこえて広がるさまざまな課題に向き合ううえで、教育・科学・文化の協力をどう位置づけるのかという視点も欠かせません。
ユネスコからの脱退が実際に発効する2026年末まで、米国と他の加盟国との対話や駆け引きが続くとみられます。日本を含む各国の政府や市民社会も、国際機関の役割と自国の利益のバランスをどのように考えるのか、あらためて問われています。
Reference(s):
Trump pulls U.S. out of UNESCO for second time. Reasons and reactions
cgtn.com








