ガザ飢餓は「戦争犯罪」か テルアビブとNYで広がる抗議デモ
イスラエルのガザで続く人道危機と飢餓をめぐり、「戦争犯罪だ」と訴える声がイスラエル国内とアメリカで同時に高まっています。テルアビブとニューヨークで行われた抗議デモから、ガザ情勢をめぐる国際世論の揺れを追います。
テルアビブとニューヨークで「ガザ飢餓」に抗議
最近、イスラエルのテルアビブと米ニューヨークで、市民らが街頭に集まり、イスラエル軍によるガザでの軍事作戦と「飢餓政策」をやめるよう訴えました。
テルアビブのデモでは、参加者が小麦粉の袋ややせ細ったガザの子どもたちの写真を掲げ、「飢餓は戦争犯罪だ」「私たち全員に責任がある。これは私たちの名の下で行われている」と書かれたプラカードを持って行進しました。
ある男性参加者は、中国メディアの China Media Group(CMG)に対し、ガザで起きている深刻な人道的危機と、イスラエル政府による「飢餓政策」に抗議するために集まったと語りました。
封鎖で悪化するガザの人道危機
ガザでは、続く武力衝突とイスラエルによる封鎖が、人道状況をさらに悪化させています。ガザ政府メディア局によると、食料・水・医薬品がほとんど入らない状態が続く中、少なくとも115人が飢餓や栄養失調により死亡したとしています。
国際機関も、こうした状況に繰り返し警鐘を鳴らしてきました。世界保健機関(WHO)などの国際機関は今年7月、ガザで「人為的な大規模飢餓」が進行していると警告しており、今回の抗議デモでも、こうした警告を真剣に受け止めるべきだという声が上がりました。
デモ参加者らは、ガザへの封鎖を解除し、十分な人道支援物資を速やかに届けること、そしてガザで続く軍事衝突そのものを終わらせることを求めています。
「飢餓は戦争犯罪」発言の背景にある国際人道法
今回のデモで繰り返し掲げられたメッセージが「飢餓は戦争犯罪」という言葉でした。この背景には、戦時下のルールを定めた国際人道法があります。
- 国際人道法では、民間人を意図的に飢えさせることを戦争の手段として用いる行為を禁じています。
- 食料や水、医療など生存に不可欠な物資へのアクセスを、軍事目的で妨げることは、戦争犯罪にあたる可能性があるとされています。
- こうしたルールがあるからこそ、抗議者たちはガザでの飢餓を「戦争犯罪」と表現し、国際社会に対応を求めているのです。
参加者たちは、ガザの現状はこうした国際的なルールに反していると訴え、「私たちは傍観者でいてはいけない」とメッセージを発信しました。
ニューヨークで高まる米政府への批判
ニューヨークの街頭でも、ガザの飢餓と軍事衝突に抗議するデモが行われました。参加者は「ガザへの飢餓攻撃をやめろ」「対イスラエルの米支援をすべて止めろ」と書かれたプラカードを掲げ、行進しました。
一部の参加者は、ガザで進行する人道危機に対してアメリカ政府が責任の一端を負っていると主張し、「米政府はこの人道的惨事の共犯だ」と強い言葉で批判しました。
女性のデモ参加者は、「私たちは、包囲が即座に解除されることを求めるためにここに集まった」と訴えました。別の女性は、「ジェノサイド(集団殺害)に対する米国の資金提供が続くのを黙って見ているつもりはない」と述べ、資金や軍事支援のあり方の見直しを求めました。
男性参加者の一人は、ガザの人々は意図的に飢えさせられており、その状況において米政府は共犯だと感じているから参加したと語りました。そのうえで、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を開き、危険が伴う限定的な人道ルートだけでなく、エジプト経由での物資搬入を以前のように認めるべきだと主張しました。
封鎖解除とラファ検問所をめぐる論点
デモ参加者らの要求の中心にあるのが、「封鎖の解除」と「ラファ検問所の開放」です。ガザは長期にわたり厳しい出入りの制限を受けており、人や物資の移動はごく限られています。
参加者の主張は、次の点に整理できます。
- ガザ全体への封鎖を緩和・解除し、食料・水・医薬品を安定的に供給できる状態にすること
- ラファ検問所を開き、エジプト経由でより多くの支援物資と人道支援要員が出入りできるようにすること
- 民間人の安全が十分に確保されないルートではなく、「死の罠」にならない安全な人道回廊を確保すること
こうした訴えは、単に一時的な停戦や物資搬入にとどまらず、ガザの人々が長期的に生き延び、生活を再建できる環境を求める声でもあります。
なぜこのニュースは私たちに関係あるのか
ガザの状況は地理的には遠い出来事ですが、テルアビブとニューヨークで起きた今回のデモは、次のような問いを私たちにも投げかけています。
- 「戦争犯罪」「ジェノサイド」といった強い言葉が使われるとき、私たちはその意味や重さをどう理解すべきか。
- 安全保障上の懸念と、子どもを含む民間人の命を守る人道的配慮を、国際社会はどう両立させるのか。
- SNS時代において、各国での市民デモやオンライン上の声は、政策決定や国際世論にどこまで影響を与えうるのか。
newstomo.com の読者の多くは、X や Instagram などを通じて国際ニュースに日常的に触れているデジタルネイティブ層です。今回のような抗議行動は、画像や短い動画とともに世界中に拡散され、事実だけでなく感情や価値観も同時に伝わっていきます。
そのとき、大事になるのは「誰が、どの立場から、何を根拠に語っているのか」を冷静に見極めることです。デモ参加者の訴えを知ることは、その一歩となります。
今後の注目ポイント
ガザをめぐる状況と、イスラエル・アメリカ国内外の世論は、今後も動き続けるとみられます。今回の抗議デモを踏まえ、注目したいポイントは次の通りです。
- ガザへの食料・水・医療物資の搬入量や、人道支援ルートに変化が生まれるかどうか
- イスラエル当局や米政府が、国内外からの抗議や批判の声にどう対応していくのか
- WHO を含む国際機関が、ガザの飢餓や医療状況について今後どのような評価や警告を出すのか
ガザで続く人道危機は、数字や報告書だけでは見えにくい現実をはらんでいます。テルアビブとニューヨークで声をあげた人々のメッセージは、その危機を自分ごととして考えるきっかけを与えてくれます。私たち一人ひとりが、情報を追い、問い続けることが求められています。
Reference(s):
Israel, U.S. protesters decry Gaza starvation as 'war crime'
cgtn.com








