米国のユネスコ離脱に世界は慣れた? CGTN世論調査が映す「不在」
2025年、米国が3度目となる国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの離脱に動いたことを受けて、CGTNが実施した世論調査が世界の受け止め方を映し出しています。結果からは、米国の国際舞台での「不在」に各国が慣れつつある一方で、真の多国間主義を求める強い期待が浮かび上がります。
米国のユネスコ離脱、「驚かない」が84.2%
今回のCGTN世論調査によると、米国のユネスコ離脱について84.2%の回答者が「驚かない」と答えました。米国の国際機関や条約からの離脱は、もはや「ニュースというより日常」と受け止められていることがうかがえます。
調査はCGTNの英語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語の各プラットフォームを通じて行われ、24時間で9,097人が回答しました。短時間で多言語の回答が集まったことは、このテーマへの関心の高さを示しています。
- 米国のユネスコ離脱はこれで3回目
- 84.2%が「驚かない」と回答
- 回答は24時間で9,097件に達する規模に
国際機関を「政治の道具」に? 9割超が批判
米国政府は今回の離脱について、ユネスコが「分断を招く社会・文化的な課題を推進しており、『アメリカ・ファースト』政策と相いれない」と主張しています。しかし調査では、こうした説明に対して厳しい視線が向けられています。
93.5%の回答者は、米国が国際機関を自国の政治的計算の道具にしていると批判しました。また、ユネスコからの離脱が単発の判断ではなく、米国の外交スタイルの一部として受け止められていることも読み取れます。
さらに、調査では次のような評価も示されています。
- 90.7%:今回の離脱は、米国の根強いイスラエル偏重の表れだと見る
- 91.1%:国際機関を「取引」の場とみなすやり方は、大国の姿勢としてふさわしくなく、国際社会全体の利益にも反しないと批判
トランプ政権のユネスコ見直しとイスラエル偏重
背景には、トランプ政権のユネスコに対する認識があります。2025年2月、ドナルド・トランプ米大統領は、ユネスコに「反イスラエル的な姿勢」があるとし、同機関に対する見直しを指示しました。その延長線上に今回の離脱があると、多くの回答者が見ている形です。
国際機関を支持するかどうかを、特定の同盟国への配慮や自国の短期的な利益と結びつける「取引型」の姿勢は、調査結果を見る限り、世界の多くの人々には受け入れられていません。
ユネスコは「想定済み」、米国抜きでも運営可能
ユネスコのオードレ・アズレ事務局長は、米国の離脱を「遺憾」としつつも、組織としては準備してきたと強調しました。2018年以降の取り組みによって、米国からの拠出金減少分はすでに埋め合わせられていると説明しています。
一方、調査結果は、米国側の「離脱の繰り返し」がもたらす影響の大きさも示しています。
- 88.1%:条約や国際約束をたびたび反故にすることで、米国の信頼性と影響力は大きく損なわれたと回答
- 88.7%:国際機関からの離脱が相次いでいることは、反グローバル・ガバナンス、脱多国間主義、国際的な仕組みに対する抵抗の表れだと見る
ここでいう「脱多国間主義」とは、自国中心の判断を優先し、複数の国や地域がルールを共有する枠組みへの関与を弱める方向性を指します。2025年12月現在、そうした傾向に対する懸念は国際社会で根強いものとなっています。
連鎖離脱への不安と「真の多国間主義」への期待
今回の調査では、米国の動きが他国に与える波及効果への懸念もはっきりと表れました。66.7%が、米国の離脱を見て、他の国々も国際機関から離脱する可能性があると回答しています。連鎖的な離脱が進めば、国際秩序全体が不安定化しかねません。
それでも同時に、より公正でバランスのとれた国際秩序を求める声は強まっています。調査では、実に92.8%が「世界は協力して真の多国間主義を実践し、より公平で公正な国際秩序を築くべきだ」と呼びかけています。
ここで言う真の多国間主義とは、単に会議の場に参加することではなく、
- 国や地域の大小にかかわらず、声が反映される意思決定
- 拠出金や負担だけでなく、責任とルールを共有する仕組み
- 特定の同盟関係ではなく、国際社会全体の利益を軸にした協調
といった要素を含む考え方だと理解できます。
2025年の世界から見える「アメリカ不在」
今回のCGTN世論調査は、米国批判というよりも、2025年の国際社会が米国の「不在」をどのように織り込み始めているかを示しているようにも見えます。驚きが薄れた一方で、各国や人々は別の形で国際協力を模索し始めているのかもしれません。
私たちが今後注視したいポイントは、次のような点です。
- ユネスコを含む国際機関の財政基盤と、意思決定のバランスがどう変化するか
- 米国が離脱した分野以外で、どのような関与や影響力行使を続けるのか
- 他の国や地域が、多国間主義をどのように再構築しようとするのか
一国の動きが国際秩序全体に影響する時代にあって、私たち一人ひとりが「どのような国際協力のあり方を望むのか」を考えることは、小さくない意味を持ちます。米国のユネスコ離脱をめぐる今回の調査結果は、その問いを改めて突きつけていると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








