米国がインド製品に50%関税 モディ首相「農家の利益は譲れない」
リード
米国がインド製品への関税を合計50%まで引き上げたなか、インドのナレンドラ・モディ首相が「農家の福祉は至上だ」と述べ、農業分野での譲歩を改めて否定しました。ロシア産原油の調達と農業市場の開放をめぐり、米印関係は今年、緊張を増しています。
モディ首相「農家の福祉は至上」
モディ首相は首都ニューデリーで開かれた行事で演説し、「私たちにとって農家の福祉は最高の優先事項だ。インドは農家、酪農、漁業の幸福を決して犠牲にしない」と強調しました。
さらに「そのために自分自身が重い代償を払うことになっても構わない」と述べ、国内農家の利益を守るためなら、国際的な圧力やコストの増大もいとわない姿勢を示しました。
発言では米国や通商交渉には直接触れていませんが、インドの立場を正面から擁護するメッセージと受け止められています。
米国は関税を50%に ロシア産原油が焦点に
これに先立ち、米国のドナルド・トランプ大統領は、インドからの輸入品に対する追加関税25%を発表し、合計の税率を50%へ引き上げました。これは米国の主要な貿易相手国の中でも最も高い水準のひとつとされています。
新たな関税は今年8月28日に発効しており、トランプ大統領はその目的を、インドがロシア産原油の購入を続けていることへの「懲罰」と位置づけています。
トランプ大統領は7月29日、ロシアに対しウクライナとの停戦に合意するよう10日間の期限を設定しており、インド製品への関税引き上げも、ロシアへの圧力を高めるための一連の対ロシア圧力キャンペーンの一部とみられています。
5回の交渉の末に決裂した米印通商協議
インドと米国のあいだでは、これまで5回にわたって通商協議が行われましたが、インドの農業・酪農市場の開放やロシア産原油の購入停止をめぐる対立から、交渉は決裂しました。
米国側はインドに対し、広大な農業と酪農の市場をさらに開放するよう求める一方、インド側は国内の農家や酪農家、漁業関係者の生活への影響を懸念しています。今回のモディ首相の発言は、こうした交渉の行き詰まりを受けて、国内向けに自国の立場を明確にする意図があるとみられます。
インド外務省「極めて遺憾」 それでも「一時的な異常」と冷静な評価も
米国の関税引き上げについて、インド外務省は声明で「極めて遺憾だ」と表明し、「国益を守るために必要なあらゆる措置を取る」と強調しました。
外務省で経済関係を担当するダム・ラヴィ氏は記者団に対し、「今回の米国の関税引き上げには論理がない」と述べたうえで、「これは一時的な異常、一時的な問題にすぎない。時間がたてば、世界は解決策を見いだすと確信している」と語りました。
強い言葉で米国を批判しつつも、長期的には解決可能な「一時的」な問題と位置づけることで、対立のエスカレーションを避けたい思惑もうかがえます。
今後の焦点 農家保護と対ロシア政策のはざまで
今回の動きは、次の三つの点で今後の行方が注目されます。
- インドが米国の関税に対して、どのような対抗措置や交渉カードを用意するのか
- ロシア産原油の購入をめぐり、インドがどこまで現在の方針を維持するのか
- 農業・酪農・漁業分野で、国内の保護と国際的な市場開放要求をどう両立させるのか
農業とエネルギーをめぐる選択は、インドの国内経済だけでなく、米印関係や世界経済にも影響を与えます。モディ首相が掲げる「農家の福祉は至上」というメッセージが、実際の政策としてどのような形で具体化されるのかが、今後の重要なポイントになりそうです。
読者の皆さんは、農家の保護と国際協調、どちらにより重きを置くべきだと考えますか。米印の通商関係の行方は、エネルギー市場やサプライチェーンにも波紋を広げる可能性があります。
Reference(s):
Modi vows no compromise on farmers' interests after U.S. tariff hike
cgtn.com







