イスラエルのガザ掌握計画、国連など国際社会が強く懸念
イスラエルの安全保障閣議が、ガザ市とその周辺地域を軍が掌握する計画を承認したことが報じられ、すでに深刻とされるガザの人道危機が一段と悪化するのではないかと、国連を含む国際社会から強い懸念と批判の声が上がりました。
イスラエル安全保障閣議が承認した計画の概要
報道によると、イスラエルの安全保障閣議は木曜日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が提案した計画を承認しました。この計画では、イスラエル軍がガザ市とその周辺地域を軍事的に掌握することが想定されています。
この動きは、ただちに国際社会から広範な非難を招きました。すでに厳しいとされるガザの人道状況が、さらなる軍事行動と住民の移動によって一層悪化するのではないかという懸念が背景にあります。
ネタニヤフ首相が強調する 占領ではなく解放
安全保障閣議後、ネタニヤフ首相は翌金曜日にSNSのXで初めて公にコメントし、イスラエルはガザを占領するのではなく、ハマスからガザを解放することが目的だと強調しました。
首相は投稿で、ガザを非武装化し、パレスチナ自治政府でもハマスでもない、市民による平和的な行政を樹立する構想に言及しています。そのうえで、この枠組みが人質解放につながり、将来的にガザがイスラエルにとって脅威とならないことを目指すと説明しました。
一方で、どの主体がその行政を担うのか、どのように治安や生活インフラを維持するのかといった具体像は、現時点では明らかではありません。
市民の強制移動と軍事作戦のシナリオ
米メディアAxiosの記者バラク・ラビド氏は、安全保障閣議の決定を最初に報じた一人で、匿名のイスラエル当局者の話として、より具体的な作戦像を伝えました。
それによれば、作戦は次のような要素を含むとされています。
- ガザ市とその周辺から、全てのパレスチナ市民を中央部のキャンプや他地域へと移動させる、事実上の強制移動案
- ガザ市内に残ったハマス戦闘員を包囲するための封鎖(シージ)
- 包囲と同時並行で行われるガザ市内での地上作戦
市民の大規模な移動を伴うシナリオは、ガザですでに続いてきた避難や生活基盤の喪失をさらに加速させるおそれがあるとして、人道面から強い懸念が示されています。国際人道法の観点からも、住民の安全確保や自発性がどこまで担保されるのかが、大きな論点となっています。
国連と国際社会の反応
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は金曜日、イスラエルの動きを危険なエスカレーションだと批判しました。グテーレス事務総長は、ガザはパレスチナ国家を構成する不可欠の一部であり続けなければならないと強調し、イスラエルに対し計画の放棄を求めました。
また、事務総長は、紛争当事者すべてに対し、二国家解決に立脚した交渉に立ち戻るよう呼びかけています。これは、イスラエルとパレスチナがそれぞれ国家として共存するという枠組みを前提に、対立を政治的に解決しようとする構想です。
国連安全保障理事会は、この動きを受けて土曜日に緊急会合を開く予定とされました。国連の人権担当の高官らも、計画された作戦が市民にさらなる苦難をもたらし、将来の和平の可能性を損ないかねないと警鐘を鳴らしています。
問われるのは 安全保障・人道・政治解決の同時追求
今回のガザ掌握計画をめぐる一連の動きは、イスラエルが自国の安全保障をどう確保するのかという問いと同時に、ガザに暮らす人々の命と生活をどう守るのか、さらにパレスチナの将来像をどう描くのかという複数の難題を浮き彫りにしました。
ネタニヤフ首相は、ハマスからの解放とガザの非武装化を前面に掲げていますが、そのプロセスの中で、市民の強制的な移動や長期的な軍事支配が現実にどう位置づけられるのかは、国際社会にとっても重大な関心事です。
一方、国連や各国からは、二国家解決に立ち返るべきだという声が繰り返し挙がっています。ガザがパレスチナ国家の一部としてどのようなガバナンス(統治)を持つのか、誰が治安と復興を担うのか。これらの問いは、ガザの将来だけでなく、中東全体の安定にも直結します。
読者の皆さんは、軍事作戦による短期的な安全保障と、人道・政治的な長期安定をどのように両立させるべきだと考えるでしょうか。国際ニュースとしてのガザ情勢は、遠い地域の話にとどまらず、安全保障と人権、国家と市民の関係をめぐる普遍的な問いを私たちにも投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com







