同一興行で日本人ボクサー2人が脳損傷死 OPBF戦は12回から10回制に
東京・後楽園ホールで行われた同じボクシング興行で、日本人選手2人が相次いで脳の損傷により亡くなりました。日本のボクシングニュースとしてだけでなく、国際ニュースとしても、安全対策の在り方があらためて問われています。
同じイベントで2人が硬膜下血腫 東京・後楽園ホールで何が起きたか
2025年8月2日、東京の後楽園ホールで行われたオリエンタル・パシフィック・ボクシング連盟(OPBF)のタイトル戦の興行で、28歳のShigetoshi KotariさんがOPBFジュニアライト級王者のYamato Hata選手と12ラウンドを戦い、結果は引き分けとなりました。
しかし、試合を終えてリングを降りた直後にKotariさんは倒れ、救急搬送されました。診断は硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)でした。これは、脳と頭蓋骨の間に血液がたまり、脳を圧迫してしまう重い状態です。Kotariさんには緊急の脳外科手術が行われましたが、その後亡くなりました。
同じ興行の別の試合では、28歳のHiromasa UrakawaさんがYoji Saito選手との対戦でKO負けを喫し、やはり硬膜下血腫を負いました。こちらも開頭手術がおこなわれましたが、Urakawaさんも命を落としています。2人とも同じ興行で負傷し、同じタイプの脳の損傷によって亡くなったことになります。
世界ボクシング界も哀悼 WBOがSNSでメッセージ
世界ボクシング機構(WBO)はSNSで、Shigetoshi Kotariさんの訃報に触れ、「ボクシング界全体が日本のファイターの死を悼んでいる」といった内容のメッセージを投稿しました。
さらに、その数日後にはHiromasa Urakawaさんの死についても投稿し、「家族、友人、日本のボクシングコミュニティに深い哀悼の意を表する」と伝えています。海外の主要団体も取り上げるほど、この出来事は国際的にも大きな衝撃を与えています。
JBCが即応 OPBFタイトル戦を12回から10回に短縮
今回の連続した死亡事故を受け、日本ボクシングコミッション(JBC)は、OPBFタイトルマッチのラウンド数をすべて12回戦から10回戦に短縮すると発表しました。
ラウンド数が減ることで、試合全体を通じて選手が受ける打撃の総量をある程度抑えられる可能性があります。また、終盤ラウンドで起こりがちな被弾の蓄積や、疲労による防御能力の低下を軽減できるという狙いもあります。
一方で、ラウンド数の見直しだけで重大な事故がなくなるわけではない、という指摘もあります。JBCの決定は一つのステップであり、今後も安全性をめぐる議論や改善の余地は残されていると言えます。
硬膜下血腫とは ボクシングと脳損傷リスク
今回2人の選手の命を奪った硬膜下血腫は、頭部への強い衝撃などで血管が切れ、脳と頭蓋骨の間に血液がたまる状態です。症状は、頭痛、吐き気、意識障害などですが、すぐに現れない場合もあり、試合直後はいったん落ち着いて見えても、時間がたってから急激に悪化することもあります。
ボクシングのように頭部への打撃が避けられない競技では、この種の脳損傷のリスクが常に存在します。そのため、試合前後のメディカルチェックや、セコンドやレフェリーによる選手の状態確認、ドクターストップ(医師による試合中止判断)などが重要な役割を果たします。
今後の安全対策に何が求められるのか
今回のような痛ましい事故を受けて、日本のボクシング界では次のような点があらためて問われています。
- ラウンド数や試合形式の見直しをどこまで進めるか
- リングドクターや医療体制を、地方会場も含めどう充実させるか
- 選手・ジム・プロモーターが、脳損傷リスクをどの程度共有できているか
- 危険な状態の選手を早めに止めるための判断基準をどう明確にするか
今回、JBCがOPBFタイトルマッチを12回制から10回制に短縮したのは、リスクを少しでも減らすための一歩です。ただし、それだけで十分とは言えず、選手の安全を最優先にした仕組みづくりが、引き続き求められます。
リングの外にいる私たちが考えたいこと
ボクシングは、多くのファンを惹きつける一方で、選手が身体と命をかけてリングに上がる競技でもあります。今回の2つの死は、その現実をあらためて突きつける形になりました。
観客や視聴者としての私たちも、「ギリギリまで戦う姿」を求めるだけでなく、「危険な状態なら早めに止める」という価値観を共有できるかどうかが問われています。スポーツとしての魅力と、人の命と健康をどう両立させるのか——日本語で国際ニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、考えるべきテーマになっています。
Reference(s):
Two Japanese boxers die from brain injuries in separate bouts
cgtn.com








