イラン副大統領「条件整えば米国と直接協議も」核交渉と6月衝突の余波
イランのモハンマド=レザ・アーレフ第1副大統領は、条件が整えば米国との核問題をめぐる直接協議に応じる用意があると表明しました。今年6月に起きたイラン・イスラエル間の軍事衝突と米軍によるイラン核施設空爆から約半年、緊張と対話の行方があらためて注目されています。
イラン「対等な条件なら直接協議も」
イラン公式通信IRNAによりますと、アーレフ第1副大統領は火曜日、首都テヘランで記者団に対し、イランは米国との核交渉について「対等な条件」で臨む用意があると強調しました。
同氏は、交渉は双方の利益を守るためのものであり、「条件が適切であれば、協議は直接でも行うことができる」と述べました。一方で、イランは交渉そのものに反対しているわけではないものの、「米国の意図だけを押しつけるような協議には応じない」として、一方的な圧力には屈しない姿勢を示しました。
アーレフ氏はまた、イランは米国に対し信頼醸成の用意があると伝えてきたが、「米国側はあたかも寝たふりをしているようだ」と述べ、ワシントンがイラン側のメッセージに十分応えていないとの見方を示しました。
「ゼロ濃縮案は大きな冗談」 米側の要求を一蹴
アーレフ氏は、一部の西側諸国がイランの核問題を「政治的なプロジェクト」に変えてしまったと批判しました。そのうえで、イランにウラン濃縮の完全停止を求めるいわゆる「ゼロ濃縮」構想について、「大きな冗談だ」と強い言葉で退けました。
最近、ワシントンはイランに対し、ウラン濃縮活動を完全にやめるよう繰り返し要求しています。しかしテヘランは、これを断固として拒否しており、核問題をめぐる溝は依然として深いままです。
6月の軍事衝突:核交渉の裏側で何が起きていたか
今回の発言の背景には、2025年6月に起きた一連の軍事行動があります。核問題をめぐる間接交渉の合間に、イラン、イスラエル、米国の軍事的緊張が一気に高まりました。
- 6月13日:イランと米国の間接核協議第6ラウンド開始の2日前、イスラエルがイラン各地に大規模な空爆を実施。核関連施設や軍事拠点が攻撃され、イランの高級指揮官や核科学者、多数の民間人が死亡しました。
- その後、イランはイスラエルに対し、複数回にわたってミサイルと無人機による報復攻撃を行いました。
- 6月22日:米軍がナタンズ、フォルドウ、イスファハンの3つのイラン核施設を空爆しました。
- これに対しイランは、カタールにある米軍アルウデイド空軍基地を標的に報復攻撃を実施しました。
- 12日間に及ぶ緊張の後、6月24日にはイランとイスラエルの間で停戦が成立しました。
わずか12日間で空爆と報復攻撃が繰り返されたこの軍事衝突は、核問題をめぐる協議環境を一段と複雑にし、軍事行動と外交交渉が密接に結びついている現実を浮き彫りにしました。
なぜいま「直接協議」なのか
これまでイランと米国の核協議は、仲介役を通じて行う「間接交渉」という形式が続いてきました。その中でアーレフ氏が「条件が整えば直接協議もあり得る」と踏み込んだ背景には、いくつかの思惑があるとみられます。
- 対米メッセージ:イランは対話の扉を開いたままにしつつ、「対等な条件」と「相互の利益」を重視する姿勢を明確にすることで、米国側に交渉条件の見直しを促している可能性があります。
- 国内・地域向けアピール:6月の軍事衝突を経て、イラン指導部は「圧力には屈しないが、外交も放棄しない」という姿勢を国内世論や周辺地域に示す必要に迫られています。
- 交渉プロセスの再構築:激しい軍事衝突と停戦を経験したことで、従来の間接交渉だけでは問題解決が進みにくいとの認識が双方に広がれば、直接協議の必要性が高まる可能性もあります。
一方で、イランが強く拒んでいる「ウラン濃縮の完全停止」要求を米国がどこまで修正できるのかは不透明です。直接協議の可能性が語られる一方で、その前提条件をめぐる駆け引きはむしろ激しくなっているようにも見えます。
これからの焦点:緊張と対話の行方
今後、中東情勢と核交渉の行方を考えるうえで、次の点が焦点になりそうです。
- 米国の要求は変わるのか:ワシントンが「ウラン濃縮の完全停止」一辺倒の姿勢を維持するのか、それとも信頼醸成措置など別の形を探るのか。
- 停戦の持続性:6月に成立したイランとイスラエルの停戦がどこまで維持されるのか。新たな軍事的緊張が再び核交渉を揺さぶる可能性もあります。
- 仲介役の存在:間接交渉を支えてきた仲介国や地域のプレーヤーが、今後どのように停戦維持と交渉再開を後押ししていくのか。
軍事衝突から約半年、対立と対話が同時進行する中で、各国がどのように緊張緩和と核問題の解決を模索していくのか。ニュースの背後にある力関係や思惑も意識しながら、今後の動きを注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Iran says direct talks with U.S. possible under favorable conditions
cgtn.com








