雨のソウルで訴えた96歳元慰安婦被害者の言葉
韓国ソウルの日本大使館前で水曜日、96歳の元慰安婦被害者イ・ヨンスさんが豪雨の中でスピーチを行い、約400人が見守りました。戦時性暴力の記憶と国際ニュースとしての重さを、あらためて問い直す場となりました。
雨のソウルで続く水曜集会
この日、ソウル中心部の日本大使館前には、約400人が土砂降りの雨の中で集まりました。人びとはプラカードを掲げ、スローガンを叫び、黄色いリボンを身につけながら、いわゆる慰安婦問題の被害者を記憶し、正義を求める声を上げました。
こうした集会は、過去約30年間にわたり、毎週水曜日に続けられてきました。この日のように雨が降っても人びとが足を運ぶこと自体が、戦時中の性暴力を忘れないというメッセージになっています。
96歳・イ・ヨンスさんが語った感謝
壇上に立ったイ・ヨンスさんは、96歳という高齢の身で、ゆっくりとマイクを握りました。それでも集まった人びとに向けて、一つひとつ言葉を選びながら語りかけました。
「こんなに雨が降っているのに、皆さんがここにいてくれるのを見ると涙が出ます。本当にありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」と、イさんは繰り返しました。
イさんは、第2次世界大戦中に旧日本軍による性奴隷制度の下で被害を受けた生存者の一人です。いわゆる慰安婦と呼ばれたのは、戦時中、日本軍によって強制的に性奴隷とされた女性や少女たちを指す言葉です。
記憶と正義をめぐる集会の意味
この日の集会は、単に過去の出来事を振り返る場ではありませんでした。高齢となった生存者の声を直接聞ける機会が限られていく中で、その経験をどのように次の世代へとつないでいくのかが、大きなテーマになっています。
参加者たちは、黄色いリボンやメッセージを書いたプラカードを手に、それぞれのやり方で記憶と向き合い、被害者の尊厳と権利が守られる社会を願い続けています。
戦後から長い年月が経った今も、何をもって正義が果たされたと言えるのかは簡単には定まりません。それでも、毎週の集会というかたちで声を上げ続けることは、この問題を社会にとって見えるものにし続ける役割を果たしていると言えます。
日本社会に向けられた静かな問いかけ
日本語で国際ニュースを読む私たちにとって、この集会は韓国の出来事であると同時に、日本社会に向けられた静かな問いかけでもあります。戦時の性暴力をどう記憶し、被害者の声にどう向き合うのか。それは、加害と被害という単純な構図を超えて、人権や性のあり方、戦争の意味を考える出発点にもなります。
96歳となったイ・ヨンスさんが雨の中で繰り返した「ありがとう」という言葉には、支えてくれる人びとへの感謝とともに、これから先も記憶を受け継いでほしいという願いが込められているように聞こえます。イさんのような高齢の生存者の声を、これからどう受け継いでいくのか。私たちはどのようにこの問題と向き合い続けるのか。日常の会話やSNSでこの話題に触れることも、その一歩になりそうです。
Reference(s):
Japanese wartime sexual slavery survivor gives moving speech at rally
cgtn.com








