イスラエル財務相がE1入植計画を支持 二国家解決に国際社会が危機感
イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相が、エルサレム東方のE1地区で約3400戸の住宅を建設する入植計画を支持し、ヨルダン川西岸の一部併合を求めました。二国家解決の行方を左右しかねない動きに、国連や欧州各国など国際社会から強い懸念の声が上がっています。
何が決まろうとしているのか
今回の計画は、占領下とされるヨルダン川西岸の中でも特に「政治的に敏感」とされてきたE1地区に、約12平方キロメートルにわたって3400戸の住宅を建設するというものです。イスラエルは長年、この土地の開発を目指してきましたが、国際的な反対を受けて計画は数十年にわたり凍結されてきました。
スモトリッチ財務相は木曜日、入植推進派のイベントで演説し、パレスチナ国家を承認しようとする各国への「現場での回答」として、この計画と併合を後押しすると表明しました。彼は「パレスチナ国家を認めたいと望む者には、私たちは現場で応える。具体的な行動、すなわち住宅、地域、道路、そして生活を築くユダヤ人家族によって」と語りました。
イギリスやフランスなど複数の国は、二国家解決を生かし続けることを目的に、今年後半にもパレスチナ国家を承認する意向を相次いで表明しています。こうした動きに対し、スモトリッチ氏は入植拡大と併合論で応じる構えを見せた形です。
E1地区とは:将来のパレスチナ国家を分断する懸念
E1地区は、古都エルサレムと、近郊のイスラエル入植地マアレ・アドミムの間に位置し、パレスチナ側の北部と南部を結ぶ幹線道路にも近接しています。ここに大規模なイスラエル人住宅が建設されれば、将来のパレスチナ国家の領土が事実上分断されるとの懸念が根強くあります。
国際社会や批判的な専門家は、E1開発が「東エルサレムを首都とする一体的なパレスチナ国家」の可能性を損ない、地理的に分断された飛び地のような形しか残らなくなると警告してきました。ヨルダン川西岸のイスラエル入植地は、国際法上は違法と見なされています。
E1地区を囲い込むように分離壁(セパレーションバリア)を延伸する計画も、別途存在してきましたが、こちらも同様に凍結されています。仮に壁の延伸と入植地建設が同時に進めば、パレスチナ側の移動や経済活動は一段と制約されるとの見方があります。
国連「二国家解決に終止符」 国際社会の強い懸念
国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官ステファン・ドゥジャリック氏は、E1計画が進めば「ヨルダン川西岸の北部と南部を断ち切ることになる」と指摘し、イスラエル政府に対し実施しないよう呼びかけました。また、この計画は二国家解決の展望に「終止符を打つ」ことになると強い危機感を示しました。
欧州連合(EU)の外交トップであるカヤ・カラス氏は、この計画が「国際法に違反し、二国家解決をさらに損なう」として、イスラエルに撤回を求めました。ドイツも計画に「強く異議を唱える」と表明し、入植地建設の停止を要請しています。サウジアラビアも「最も強い言葉」で非難しました。
- 国連:計画が実行されれば二国家解決の「終わり」になると警告
- EU:国際法違反と指摘し、計画の中止を要求
- ドイツ・サウジアラビア:強い表現で反対を表明
- イギリス・フランス:パレスチナ国家承認の動きで二国家解決の維持を模索
パレスチナ側とイスラエル市民社会からの反発
パレスチナ外務省は、E1計画を強く非難し、「真に実効性のある国際的な介入」と制裁を通じて、イスラエルに計画の実施をやめさせるよう求めました。同省は声明で、E1での「植民地的建設」は、パレスチナ国家樹立の機会を破壊しようとする占領の計画の延長線上にあると非難しています。
イスラエルの市民団体「ピース・ナウ」は、ヨルダン川西岸での入植活動を監視している団体で、今回のE1計画を「イスラエルの将来と、平和的な二国家解決の可能性にとって致命的だ」と批判しました。団体によれば、国防省の下にある技術委員会が来週水曜日に最終承認の審理を行う予定で、すでにすべての異議申し立てを退けたといいます。
同団体は、残された事務手続きが完了すれば、数カ月以内にインフラ整備が始まり、およそ1年で住宅建設が可能になるとの見通しを示しています。ヨルダン川西岸には現在、約300万人のパレスチナ人と約50万人のイスラエル入植者が暮らしており、E1開発は現地の人口構造と政治環境に長期的な影響を与えかねません。
今後の焦点:地図が固定される前に何ができるのか
E1計画をめぐっては、長年にわたり国際社会の圧力によって凍結と再浮上を繰り返してきました。今回、スモトリッチ財務相が公然と支持を打ち出したことで、イスラエル政府がどこまで推し進めるのか、そして各国がどこまで具体的な対応に踏み込むのかが焦点になります。
とくに注目されるのは、パレスチナ国家の承認に動く各国の行方と、国連や周辺アラブ諸国を含む国際社会が、どの程度まで政治的・外交的圧力をかけるのかという点です。E1での建設が本格的に始まれば、後から交渉で地図を描き直すハードルは一段と高くなります。
ヨルダン川西岸の将来と二国家解決の可能性をめぐり、今後数カ月から1年の動きが、長期的な和平プロセスの行方を大きく左右する局面に入りつつあります。読者としては、次のようなポイントに注目してニュースを追うと状況が見えやすくなります。
- イスラエル政府がE1計画を最終的に承認するかどうか
- パレスチナ国家承認をめぐる各国の動きが加速するか
- 国連や地域諸国がどの程度まで実効性のある圧力や仲介策を取るか
「読みやすいけれど考えさせられる」国際ニュースとして、E1入植計画は、地図の線をどのように引くのかだけでなく、「二国家解決」という枠組みそのものをどう捉え直すのかを私たちに問いかけています。
Reference(s):
Israeli far-right minister backs contentious West Bank settlement plan
cgtn.com








