トランプ・ゼレンスキーと欧州首脳がホワイトハウス会談 何が協議されたのか
ホワイトハウスに各国首脳が集結、何が話し合われたのか
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と欧州の7人の首脳が月曜日、ワシントンのホワイトハウスを訪れ、ドナルド・トランプ米大統領とロシア・ウクライナ紛争について協議しました。これだけ多くの外国要人が同時にホワイトハウスに集うのはまれで、ウクライナ情勢と国際安全保障をめぐる重要な局面となりました。
今回の会談は、米露両首脳がアラスカで会談してから3日後に行われました。アラスカ会談では一定の前進があったと報じられたものの、具体的な合意には至っておらず、その流れを受けた形でホワイトハウスの協議が開かれています。
参加した欧州の首脳たち
ホワイトハウスでの協議には、ゼレンスキー大統領のほか、次の欧州首脳らが参加しました。
- NATO事務総長 マルク・ルッテ氏
- 欧州委員会委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏
- ドイツのフリードリヒ・メルツ首相
- イタリアのジョルジャ・メローニ首相
- フランスのエマニュエル・マクロン大統領
- 英国のキア・スターマー首相
- フィンランドのアレクサンデル・スタッブ大統領
こうした顔ぶれからも、今回の協議がNATOや欧州連合(EU)を含む幅広い欧州側の立場を反映したものとなっていることがうかがえます。
最大のテーマは「ウクライナへの安全保障の保証」
月曜日のホワイトハウス会談の中心的な議題は、ウクライナへの「安全保障の保証」と、米国・ロシア・ウクライナによる三者会談の可能性でした。
トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領との個別会談後、記者団から「ウクライナへの安全保障の保証に米軍の関与を含めるのか」と問われましたが、具体的な答えは避け、「この問題については後ほど欧州の首脳たちと協議する」と述べるにとどまりました。
その一方でトランプ大統領は、欧州諸国が安全保障の枠組みに深く関わるべきだと強調しました。欧州諸国は地理的に「第一線の防衛」にあるとしたうえで、「米国も支援し、関与していく」と述べました。ただし、どのような形で関与するのかについては明らかにしていません。
その後に行われた米国・ウクライナ・欧州の多国間会合では、「安全保障の保証」という言葉が約20回も言及されたとされ、出席者の関心がこの問題に集中していたことが分かります。
ゼレンスキー大統領は、協議後の記者団に対し、「安全保障の保証について、今後も議論を続ける」と述べ、「米国が強いシグナルを出し、安全保障の保証を行う用意があることは非常に重要だ」と強調しました。
NATO第5条をモデルに? 欧州側の構想
複数の欧州首脳は、NATO条約第5条を引き合いに出しました。第5条は、「加盟国の一国が武力攻撃を受けた場合、それは全加盟国に対する攻撃とみなされる」と定めた集団防衛の原則です。
欧州側は、この第5条を一つのモデルとして、ウクライナへの安全保障の保証を強化するための仕組みを模索しているとされています。NATO加盟国ではないウクライナに対し、どこまで集団的な防衛コミットメントに近い保証を提供できるのかが、今後の大きな焦点となりそうです。
トランプ大統領も、会談後に自身のSNSで「ウクライナおよび欧州の指導者たちと『とても良い会合』を持った」と投稿し、「ウクライナの安全保障の保証について議論した。保証は欧州各国が提供し、米国が調整に関与することになる」と説明しました。
ロシア・ウクライナ・米国の三者会談構想と停戦条件
ホワイトハウスでの協議では、ロシア・ウクライナ・米国による三者会談の可能性も議題となりました。ただし、どのような形式やタイミングで三者会談を行うのか、詳細は示されていません。
交渉の前提条件をめぐっては、依然として立場の違いが残っています。特に、「停戦を先行させるべきか、それとも停戦前から政治的な交渉を本格化させるべきか」という点で、意見が分かれているとされています。
アラスカでの米露首脳会談で一定の進展があったと伝えられる一方、具体的な合意が発表されていないことからも、停戦と政治交渉の順序付けは、今後の外交プロセスの難所になっていく可能性があります。
ウクライナの武器購入提案と費用負担
安全保障の保証と並んで注目されたのが、ウクライナによる大規模な武器購入の提案です。
- ゼレンスキー大統領は、米国製の武器を約900億ドル相当購入する構想を米側に提示したと説明しました。
- 一方で、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、ウクライナが米国製武器を1000億ドル規模で購入する提案を米国に提出していると報じました。
- その資金は、キエフの欧州側パートナーが負担する案が検討されているとされています。
いずれの数字をとっても、ウクライナへの軍事支援が今後も長期的かつ大規模なものになる可能性を示しています。同時に、欧州が費用負担と安全保障上のリスクの「第一線」に立ち、米国が調整役と後ろ盾を担う構図が浮かび上がります。
10日以内に詳細取りまとめへ、今後の論点
ゼレンスキー大統領は、ホワイトハウスでの会談後、「安全保障の保証の詳細は10日以内に最終的にまとめられる」と述べました。今後、具体化に向けて次のような論点が詰められていくとみられます。
- ウクライナへの攻撃発生時に、欧州各国と米国がどこまで自動的に支援・防衛措置を取るのか。
- 軍事支援の内容(武器供与、訓練、情報共有など)と、その法的枠組み。
- ウクライナによる武器購入と、その財政負担をどの国・地域がどのように分担するのか。
- 三者会談の開催条件として、停戦を前提とするのか、それとも紛争が続く中で交渉を進めるのか。
「読みやすいけれど考えさせられる」視点
今回のホワイトハウス会談は、直ちに停戦や最終的な和平合意につながるものではありませんでした。しかし、欧州諸国と米国が、ウクライナの安全保障にどのような「長期的な約束」を与えるのか、その骨格を描き始めた場だったとも言えます。
ウクライナ情勢をめぐる国際ニュースは、軍事支援や制裁の数字に注目が集まりがちです。ただ、その背後には、「誰がどこまでリスクを引き受けるのか」「紛争を終わらせるための現実的な条件は何か」という、各国の計算と立場の違いがあります。
ホワイトハウスで繰り返し口にされた「安全保障の保証」という言葉。その中身がどのような形で文書化され、実際の行動に落とし込まれていくのかが、これから10日、そしてその先の国際秩序を左右する重要なポイントになっていきます。
Reference(s):
What did Trump, Zelenskyy and European leaders discuss at White House?
cgtn.com








