国連がガザで「飢きん」を宣言 中東で初、50万人が壊滅的な飢餓
国連は金曜日、ガザ地区で「飢きん(ききん)」が発生していると公式に宣言しました。中東で「飢きん」が国連により認定されるのは初めてで、国際社会にとって重大なニュースです。
ガザで何が起きているのか:国連が「飢きん」を宣言
今回の発表は、食料危機を評価する国際指標「統合食料安全保障段階分類(IPC)」の最新分析に基づくものです。報告書によると、ガザでは50万人以上が「壊滅的(カタストロフィ)」な飢餓に直面しており、飢きんの基準を満たしたとされています。
IPCが設けられて以来、中東で飢きんが公式に宣言されるのは初めてです。分析は、国連食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)などが共同で実施しました。
報告書は、ガザ市で始まった飢きんが南部のデイル・アル・バラフやハーン・ユニスへと広がっていると指摘しています。9月末までに、およそ64万人が「壊滅的」な食料不安に陥り、さらに約114万人が「緊急」、約40万人が「危機」レベルに達すると予測されました。
数字でみるガザの飢餓危機
基準を超えた「極度の食料不足」と餓死
IPCの枠組みでは、「飢きん」と認定されるには、
- 極端な食料不足
- 急性の栄養失調
- 飢餓に関連する死亡
といった複数の指標が一定の水準を超える必要があります。今回の評価では、これらの閾値がすでに「突破された」と確認されました。
子どもと妊産婦に集中するリスク
分析によると、子どもの急性栄養失調は記録的な水準に達しています。今年7月だけで1万2,000人以上の子どもが重度の栄養失調と特定され、1月からわずか数カ月で6倍に増えたとされています。
さらに、2026年半ばまでに約4万3,400人の子どもと5万5,000人の妊娠中・授乳中の女性が、命に関わるレベルの栄養失調に直面する恐れがあると見積もられています。飢きんは、社会の中でも特に弱い立場にある人々に集中して影響が出ていることが分かります。
崩壊する生活基盤:農地と医療と支援物資
報告書は、ガザのほぼすべての農地が破壊されたか、住民が近づけない状態になっていると指摘します。その一方で、食料支援は途切れがちで量も足りず、人々が自力で食料を確保する道も、外部からの支援に頼る道も、どちらも細っています。
ガザの医療体制も事実上「崩壊」しているとされます。食料だけでなく、燃料、水、医薬品が深刻に不足するなかで、感染症が急増し、命に関わる症状を抱えながら治療を受けられない人が増えています。
国連機関の警告:軍事行動の激化でさらに悪化の懸念
国連機関は、軍事作戦の激化と人道支援の継続的な制限が、飢きんをさらに深刻化させると警告しています。特に、子どもや高齢者、障がいのある人々が極度のリスクにさらされていると強調しました。
人道問題を担当する国連事務次長のトム・フレッチャー氏は、ジュネーブでの記者会見で、ガザで進行している飢きんは「防ぐことができた」と述べました。フレッチャー氏は、食料の供給自体は国境の外側に積み上がっているにもかかわらず、「イスラエルによる体系的な妨害」によって搬入が阻まれていると指摘し、即時停戦とすべての補給ルートの開放を求めました。
また、国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルク氏も声明を発表し、ガザの飢きんは、イスラエル政府が人道支援や必需品の搬入・配分を不法に制限したことの「直接の結果」だと批判しました。
なぜ「飢きん宣言」がニュースになるのか
国連が「飢きん」を公式に宣言するのは、単に状況の深刻さを示すだけではありません。各国政府や国際機関が追加の資金や人員を動員する際の重要な根拠となり、政治的な注目も集めやすくなります。
特に今回は、IPC創設以降、中東で初めての飢きん宣言となりました。これは、ガザの危機が地域全体の歴史の中でも際立って深刻であることを示しています。
私たちが考えたいこと
今回の国際ニュースは、遠い地域の出来事に見えるかもしれませんが、飢きんは「政治」と「人道」がどのように結びついているかを考えさせます。食料や医療といった最低限の生活基盤を守ることは、どの立場に立つにしても共有できる価値ではないでしょうか。
軍事的な安全保障と、人々の生存を守る人道的な安全保障をどう両立させるのか。ガザで起きていることは、その問いを私たち一人ひとりに投げかけています。今後も国連や関係機関からの発表を追いながら、事態の推移と国際社会の対応を冷静に見ていく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








