国際ニュース:第二次世界大戦から80年、CGTN世論調査が映す国際秩序への不安
2025年、第二次世界大戦の終結から80年を迎える中で、戦後の国際秩序をどう守るのかが改めて問われています。中国の国際メディアCGTNと中国人民大学が行った世界世論調査は、多くの人が国連中心の国際システムを支持する一方で、その秩序が揺らいでいるとの強い危機感を示しました。
戦後80年、国連中心の国際秩序を支持する声
今回の世論調査は、世界40カ国の18歳以上の市民1万1913人を対象に実施され、第二次世界大戦後の国際秩序に対する意識を尋ねています。
- 世界全体で62.1%が、戦後の国際秩序を維持するためには「第二次世界大戦の勝利の成果を守ることが重要」と回答しました。
- また67.9%が、「国連を中心とする国際システムが戦後の国際秩序の基盤だ」と考えており、この見方は調査対象となった40カ国すべてで多数派でした。
先進7カ国(G7)に限っても、戦後秩序の成果を守ることを重視する人は52.5%、国連中心のシステムを戦後秩序の基盤と見る人は62.8%に達しており、地域を超えて一定の共通認識があることがうかがえます。
過半数が「戦後国際秩序は侵食されている」と回答
一方で、国際ニュースの文脈で注目すべきなのは、「その秩序が守られているか」という問いに対する、世界の人々の厳しい見方です。
- 約58%が、戦後の国際秩序は現在「侵食されている」と感じていると回答しました。
- さらに58.9%が、その秩序を最も崩している存在として米国を挙げています。
具体的には、調査に回答した人々は米国の政策について次のように見ています。
- 64.8%が、米国の保護主義的な貿易政策は「世界の自由貿易体制を傷つけている」と回答。
- 65.5%が、米国による技術分野での禁輸や制限は「科学技術人材の自由な移動を妨げている」と指摘。
- 67.9%が、国際協定や国際機関からの米国の離脱は「国際協力や多国間主義の努力を阻害している」と回答。
- 67%が、国連安全保障理事会の常任理事国である米国が、分担金の滞納や拒否権の行使などを通じて、特にパレスチナ・イスラエル問題などで国連の権威を弱めていると見ています。
これらはいずれも、調査に参加した人々が抱いている認識であり、戦後秩序の揺らぎを米国の行動と結び付けて見る視線が世界各地で広がっていることを示しています。
グローバルサウスとG7で見える温度差
今回の世論調査では、グローバルサウスと呼ばれる国々とG7諸国の間で、米国への評価に温度差があることも浮かび上がりました。
インドネシア、ケニア、ロシア、マレーシア、メキシコ、セルビア、タンザニア、タイ、トルコといったグローバルサウスの国々では、米国の行動が国際秩序を弱めていると見る人の割合が、複数の項目で70%を超えました。米国の貿易・技術・外交面での政策に対する不満が、これらの国々では特に強く表れています。
一方、G7諸国の中でも、イタリアの回答者は全体としてより批判的な傾向を示しました。
- イタリアでは、72.7%が「米国は国際協力と多国間主義を妨げている」と回答。
- また69.7%が、米国の技術人材の移動に対する制限に否定的な見方を示しています。
さらに、英国とフランスでは68.3%が「米国は多国間での取り組みを阻害している」と答え、カナダでは65.7%が米国の保護主義的な貿易政策に反対すると回答しました。
国ごとの歴史や地政学的な立場の違いが、米国の役割に対する評価に反映されていると見ることもできそうです。
新興国の台頭は「秩序維持にプラス」と見る声
調査はまた、戦後の国際秩序をめぐる議論の中で欠かせない「新興国の台頭」についても意識を尋ねています。
- 世界全体の46.5%が、新興国の台頭は「戦後国際秩序を維持するうえでプラスに働く」と回答しました。
- この見方が多数派となった国は26カ国で、ケニア、タンザニア、エジプト、インド、インドネシア、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)、メキシコ、スペイン、大韓民国(韓国)などが含まれます。
調査対象40カ国のうち65%にあたる国々で、新興国の存在を国際秩序の不安要因ではなく、安定に寄与し得るポジティブな力と見る意識が広がっていることになります。国際ニュースで頻繁に取り上げられる「多極化」や「グローバルサウスの声の台頭」というキーワードと響き合う結果とも言えます。
問われるのは「対立」ではなく「対話」のガバナンス
調査結果を総合すると、多くの人が次のような方向性を国際社会に求めていることが読み取れます。
- 対立ではなく、対話による解決。
- 排他的な同盟ではなく、開かれたパートナーシップ。
- 勝者総取りのゼロサムではなく、共に利益を分かち合うウィンウィン。
- 特定の国の論理ではなく、すべての当事者の正当な懸念を尊重する多国間主義。
CGTNと中国人民大学の新時代国際伝播研究院が共同で行ったこの調査は、こうした「対立か対話か」「分断か協調か」という問いが、世界の一般市民レベルでも強く意識されていることを映し出しています。
調査の位置づけと私たちへの問い
今回の調査は、主要な先進国とグローバルサウス諸国を幅広くカバーし、回答者の年齢や性別の構成は各国の国勢調査に沿う形で設計されています。あくまで一つの世論調査ですが、2025年という節目の年に、戦後80年の国際秩序をどう評価するのかという、世界の人々の「今の感覚」を可視化したものだと言えます。
国連中心の国際システムや、国際法に根ざした秩序を守るべきだという認識は広く共有される一方で、その秩序が揺らいでいるとの危機感も同時に強まっています。米国の役割、新興国の台頭、多国間主義のあり方など、論点は多岐にわたりますが、共通しているのは「ルールをどう守り、どう更新していくか」という問題意識です。
私たち一人ひとりにとっても、これは決して遠い話ではありません。貿易ルールは物価や雇用に、技術規制は使えるサービスや製品に、国連や国際機関の機能不全は安全保障や人道危機への対応に、それぞれ直結します。
第二次世界大戦から80年を迎えた今、「守るべき戦後秩序とは何か」「変えるべき国際ルールとは何か」。今回のCGTNの世論調査は、国際ニュースを追う私たちに、その問いを改めて考えるきっかけを投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








