イスラエル軍、ガザ市で地上攻勢拡大 住宅地に戦車進入と飢餓懸念
イスラエル軍がガザ市内と周辺で地上攻勢を拡大し、戦車が住宅街に進入しました。空爆と砲撃が続くなか、民間人の被害と飢餓の深刻化への懸念が一段と高まっています。
ガザ市で地上作戦が拡大
現地の住民によると、イスラエル軍の装甲車両や戦車は、ガザ市南部のザイトゥーン地区やサブラ地区、北部のジャバリア地区に進入しました。上空からは戦闘機による空爆が行われ、住宅や建物が激しく攻撃されたと伝えられています。
地上部隊の進撃に合わせて、焼夷弾などで地上を帯状に焼き払うとされる「火の帯」のような攻撃も報告され、多くの家族がより西側や南側へと避難を余儀なくされました。
民間人とインフラへの被害が拡大
ガザの民間防衛当局の報道担当、マフムード・バサル氏は、空爆や無人機による攻撃が住宅、集合住宅、学校、さらには避難民用のテントにまで及んでいると述べました。また、ガザ地区中部と南部の二つの援助拠点周辺で、支援物資を求めて集まった人びとに対して発砲があったともしています。
同氏によれば、現地時間の未明以降、少なくとも25人が死亡し、数十人が負傷しました。ザイトゥーン、サブラ、ジャバリアでは高層建築物も攻撃を受け、多くの家族が瓦礫の下に取り残されているとみられています。
すでに損傷が激しく、医薬品や燃料が不足している病院は、急増する負傷者に対応しきれない状況に陥っています。バサル氏は「避難民はどこへ行けばいいのか分からない。安全な場所はもう残っていない」と危機感を訴えました。
ガザ側は「重大な戦争犯罪」と非難
ハマスが統治するガザの政府メディア事務所は、ガザ市への本格的な侵攻の可能性を強く非難しました。人口が100万人を超えるとされるガザ市への全面攻撃は、崩壊しかけた医療体制を踏まえると「危険なエスカレーション」であり、「重大な戦争犯罪に当たる」と警告しています。
パレスチナ外務省も、国際社会に対し「決定的な行動」を呼びかけ、イスラエルが意図的に飢餓を引き起こしていると非難しました。同省は、ガザの飢餓は資源の不足ではなく、封鎖と継続的な攻撃によるものだと主張し、外交面と法的な場の双方で問題提起を続ける考えを示しました。
イスラエル軍は「ハマスの軍事能力低下」と説明
一方、イスラエル軍は声明で、北部のジャバリア地区に再び進軍し、ハマスの軍事能力をさらに低下させることが目的だと説明しました。地上と地下のインフラを破壊し、戦闘員が再び戻ることを防ぐ狙いがあるとしています。
軍は「部隊の活動により、戦闘地域を他の地域にも拡大することが可能になった」としており、今後さらに作戦範囲が広がることを示唆しました。
飢餓と医療危機が深刻化
ガザの保健当局によると、イスラエルが3月18日以降、攻勢を強めてから少なくとも1万842人が死亡し、4万5910人が負傷したとされています。2023年10月に始まったとされる今回の戦争全体では、死者は6万2686人、負傷者は15万7951人に達しました。
さらに、栄養失調や飢餓が原因で死亡した人は少なくとも289人に上り、そのうち子どもが115人を占めています。過去24時間だけでも8人が飢餓関連で死亡したとされ、封鎖と攻撃が続くなか、ガザの人道状況は一段と悪化しています。
捕虜交換と停戦をめぐる駆け引き
こうした中、ハマスは一部の捕虜交換に合意していると主張し、全面的な停戦に応じる用意があるとしています。同組織は、エジプトとカタールの仲介にもかかわらず、イスラエルのネタニヤフ首相が合意を妨げていると非難しました。
ハマス側は、すべてのイスラエル人拘束者の解放を実現する唯一の道は停戦であると強調し、その行方についてネタニヤフ首相に責任があるとしています。捕虜交換と停戦をめぐる駆け引きは、軍事作戦と並行して続いており、今後の情勢を左右する重要な焦点となっています。
続く戦闘と問われる国際社会の対応
ガザ市とその周辺では、地上戦、空爆、砲撃が重なり合い、避難先の不足、医療体制の崩壊、飢餓の拡大という複合的な危機が進行しています。現地からは「安全な場所はない」という声が繰り返し上がり、状況は一層深刻化しています。
一方で、イスラエル側はハマスの軍事能力の無力化を目指す作戦だと強調しており、軍事的な目的と民間人保護、人道支援の確保をどう両立させるのかが大きな課題となっています。
ガザの人道危機と停戦交渉の行方をめぐって、今後、国際社会がどのような外交的・人道的な対応を取るのか、日本を含む各国の議論が一段と注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








