ウクライナ高官がトランプ政権と会合へ 和平と軍事支援の行方は
ウクライナとロシアの紛争収束に向けた外交が加速する中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、今週金曜日にニューヨークでトランプ米大統領のチームとウクライナ高官が会合すると明らかにしました。同じタイミングで、ドイツは大規模な弾薬工場を稼働させており、和平への模索と軍事支援の強化という二つの動きが同時進行しています。
ニューヨークでのウクライナ・トランプ政権会合とは
ゼレンスキー大統領は水曜日、高官らが金曜日にニューヨークで米側と協議すると述べました。出席するのは、トランプ米大統領のチームを代表する当局者と、ウクライナ大統領府の幹部らです。
トランプ氏の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏も、今週中にウクライナ側と会談する意向を米メディアで示しており、ニューヨークでの会合はその一環とみられます。
今回の協議は単独のイベントではなく、すでに進んでいる一連の仲介外交の「次のステージ」と位置づけられています。ゼレンスキー氏によると、
- 大統領府長官のアンドリー・イェルマーク氏
- 前国防相のルステム・ウメロウ氏
らはすでにカタールでの仲介協議に参加しており、その後、サウジアラビアで水曜日、スイスで木曜日に話し合いが続けられる予定だといいます。
背景にある米ロ首脳外交と和平模索
ここ数週間で外交の動きが一気に活発化している背景には、アラスカで行われたトランプ米大統領とプーチン露大統領の首脳会談があります。その後、ワシントンでは、トランプ氏、ゼレンスキー氏、欧州各国の首脳らによる協議も開かれました。
トランプ氏は、ロシアとウクライナの両首脳による直接会談を実現させたい意向を示していますが、具体的な前進はこれまでのところ限定的です。ウクライナ側は、どのような和平案であっても、今後のロシアからの攻撃を防ぐための「西側による安全保障上の保証」が不可欠だと主張しています。
こうした中でのニューヨーク会合は、
- 米国が今後どの程度ウクライナの安全保障に関与するのか
- ロシアとの交渉をどこまで進めるのか
を探る場になる可能性があります。
ワシントンとの関係を再起動する新駐米大使
同じ水曜日、ゼレンスキー大統領は、オルハ・ステファニシナ氏を新たな駐米ウクライナ大使に任命しました。ステファニシナ氏は、これまで欧州・欧大西洋統合を担当する副首相を務めてきた人物で、対欧米外交の経験が豊富です。
ゼレンスキー氏は、大使館の仕事を「再活性化」することを新大使の主要な任務に挙げた上で、特に次の二つの合意が重要だと強調しました。
- ウクライナ向けの武器供与に関する合意
- 米国向けドローン供給に関する合意
同氏は、ワシントンでトランプ大統領と交わした合意、特に防衛分野の取り決めを「完全に実行に移すこと」が最重要だと述べています。ゼレンスキー氏は、ウクライナの長期的な安全保障の大部分は、米国との関係にかかっていると指摘しました。
新大使の役割は、
- 軍事支援や防空能力の強化に向けた交渉
- ドローン技術など防衛産業分野での協力の具体化
- 米議会やシンクタンクとの対話を通じた対ウクライナ支援の維持
など、多岐にわたるとみられます。
ドイツは弾薬生産拡大で支援を後押し
ウクライナとロシアの紛争が長期化する中、欧州側は軍事支援の「持久力」を高めようとしています。その象徴的な動きが、ドイツの防衛大手ラインメタルによる新たな弾薬工場の稼働です。
同社は、水曜日にドイツ北西部ニーダーザクセン州で新工場の開所式を行いました。式典には、
- ドイツのクリングバイル副首相兼財務相
- ピストリウス国防相
- NATOのマルク・ルッテ事務総長
が出席し、NATO全体として弾薬生産能力を引き上げる重要な一歩と位置づけられました。
ラインメタルによると、この工場は155ミリ砲弾を
- 2025年に2万5000発
- 2026年に14万発
- 2027年以降は年間35万発
生産する計画で、欧州最大規模の弾薬生産拠点になる見通しです。生産される弾薬は、ドイツ連邦軍だけでなく、NATO加盟国やウクライナへの供給にも充てられるとしています。
ドイツ政府は、今年7月にウクライナへの90億ユーロ規模の支援を約束しており、今月に入ってからも、すでに供与済みの3基に加えて、さらに2基のパトリオット地対空ミサイルシステムを提供する方針を発表しました。
和平外交と軍事支援、二つのレールはどこへ向かうか
今回の動きを整理すると、ウクライナ情勢は「外交」と「軍事支援」という二つのレールの上を同時に走っていることが見えてきます。
一つは、ニューヨークでの会合やカタール、サウジアラビア、スイスでの仲介協議、そしてトランプ・プーチン会談やワシントンでの多国間協議に象徴される「和平を探る外交トラック」です。ここでは、
- ロシアとウクライナの直接対話をどう実現するか
- 停戦や和平の条件にどのような安全保障の枠組みを組み込むか
が問われています。
もう一つは、ドイツの弾薬工場やパトリオット追加供与に代表される「長期戦も視野に入れた軍事支援トラック」です。これは、ウクライナが交渉の場で弱い立場に追い込まれないよう、継続的に防衛力を支える狙いがあります。
今後の注目ポイント
今後、国際ニュースとして特に注目したいポイントは次の通りです。
- ニューヨークでの米ウ会合で、ロシアとの直接対話に向けた具体的な道筋が示されるか
- ウクライナが求める「西側の安全保障保証」が、どのような形で議論されていくのか
- ドイツをはじめとするNATO諸国の軍事支援が、来年以降もどの水準で維持・拡大されるのか
ニューヨークでの協議は、すぐに劇的な成果につながらないかもしれません。それでも、ウクライナとロシアをめぐる国際秩序の行方を占ううえで、米国・欧州・ウクライナの三者がどのような「出口」を描こうとしているのかを読む手がかりになります。
Reference(s):
cgtn.com








