デンマーク首相「容認できない」 米国のグリーンランド干渉疑惑とは
デンマーク首相が米国の「干渉」を批判 グリーンランド巡り緊張高まる
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が、トランプ大統領に近い米国人によるグリーンランドでの「影響工作」疑惑について「容認できない」と強い言葉で批判しました。北極圏の島グリーンランドをめぐる米国とデンマークの駆け引きが、改めて国際ニュースの焦点になっています。
首相「王国とグリーンランドの民主主義への干渉は許されない」
フレデリクセン首相は今週、記者団に対し、デンマークの内政とグリーンランドの民主主義に対するいかなる干渉も「容認できない」と述べました。
首相の発言のポイントは次の通りです。
- グリーンランド問題をめぐり、米国との間に「非常に明確な意見の相違」があると明言
- 「デンマーク王国の内政、そしてグリーンランドの民主主義への干渉は受け入れられない」と強調
- 報道された疑惑について、デンマーク政府は「非常に深刻に受け止めている」と説明
さらに首相は、米国側が報道内容を明確には否定していないことにも言及し、「米国がきょう報じられた内容を明確には否定していないことは、当然ながら深刻だ」と懸念を示しました。
何が報じられたのか:トランプ大統領に近い米国人の「影響工作」疑惑
デンマークの公共放送局は、トランプ大統領とつながりのある少なくとも3人の米国人が、グリーンランドで影響工作を行っていると報じました。
報道によると、彼らは次のような活動を行っていたとされています。
- グリーンランドの政治や社会に影響を与えることを目的とした、非公式の私的ネットワークの構築
- グリーンランドの政治家や有力者について、「米国による北極圏の島グリーンランド支配」に賛成か反対かという立場ごとに分類したリストの作成
こうした動きは、公式な外交チャンネルを通じた関与ではなく、「影響工作」として疑われており、デンマーク国内で波紋を広げています。
デンマークの対応:米側に直接懸念を伝達
フレデリクセン首相は、グリーンランドのヴィヴィアン・モッツフェルト外相とともに出席した米国上院議員らとの会合で、この問題を直接提起したと明らかにしました。
首相は「これは容認できないというメッセージを、米国の同僚たちに対し、非常に明確に伝えた」と述べ、今後も同じメッセージを米側に直接伝達していく考えを示しました。
また、デンマーク外務省は、ラース・ローケ・ラスムセン外相が米国の臨時代理大使を召喚し、報道内容について説明を求める協議を行ったことを確認しています。友好国である米国に対し、極めて異例の強い対応といえます。
トランプ大統領が示す「グリーンランドへの関心」
トランプ大統領は、今年就任して以降、繰り返しグリーンランドへの強い関心を表明してきました。
報道によれば、大統領はグリーンランドの支配権の獲得に興味を示し、その実現手段として「軍事的、あるいは経済的な圧力行使も排除しない」と発言してきたとされています。こうした姿勢が、今回の影響工作疑惑とも重ねて受け止められています。
グリーンランドの政治的地位と、なぜ重要なのか
グリーンランドはかつてデンマークの植民地でしたが、1953年にデンマーク王国の不可分の一部と位置づけられました。その後、1979年には「ホーム・ルール」と呼ばれる自治制度が導入され、自らの政治的権限が拡大しています。
ただし、外交と防衛については今もデンマークが権限を持っており、「自治を持つが、王国の一部」という二重の性格を持つ地域です。首都はヌークで、2025年6月に撮影された街並みの写真が世界メディアでも紹介されています。
デンマークの情報機関である保安情報局は、グリーンランドが近年、影響工作の標的となっていると指摘しています。その狙いは、コペンハーゲン(デンマークの首都)とヌーク(グリーンランドの首都)の間に緊張を生み出すことだと説明しています。
背景には、北極圏の戦略的重要性があります。北極海航路や資源開発、安全保障上の拠点として、グリーンランドは米国を含む各国の関心を集めています。そのため、表向きは友好関係にある国同士の間でも、水面下で影響力をめぐるせめぎ合いが起きやすい土壌があると言えます。
どこからが「正当な外交」で、どこからが「内政干渉」か
今回の一連の動きは、「同盟国による内政干渉」という難しいテーマを突きつけています。デンマークと米国は長年の同盟国ですが、その関係の中でも以下のような問いが浮かび上がります。
- 公式な外交ルートを通じない「影響工作」は、どこからが許容範囲を超えるのか
- 小さな自治地域の政治が、大国の戦略的思惑によってどのように揺さぶられ得るのか
- 民主主義のプロセスを尊重しつつ、安全保障や経済的利益をどう守るのか
フレデリクセン首相の強い表現は、デンマーク王国として「グリーンランドの民主主義を守る」というメッセージを国内外に発する狙いもあるとみられます。
今後、米国側の説明や対応、デンマーク・グリーンランド側での議論の進み方によっては、北極圏をめぐる国際秩序や、同盟国同士の信頼関係の在り方を考え直すきっかけとなる可能性があります。読者の皆さんにとっても、「干渉」と「正当な関与」の境界線をどこに引くべきかを考える材料になりそうです。
Reference(s):
'Unacceptable': Danish PM slams alleged U.S. interference in Greenland
cgtn.com








