イスラエルがガザ市攻撃を強化 国連と欧州が懸念と圧力を表明
イスラエル軍がガザ市への空爆と砲撃を強め、同市の制圧作戦に踏み出そうとしているなか、国連機関や欧州各国が民間人への甚大な被害を懸念し、イスラエルに自制と方針転換を求めています。本稿では、日本語で読める国際ニュースとして、ガザ情勢をめぐる最新の動きと各国の反応を整理します。
イスラエル軍、ガザ市制圧へ準備 民間人約100万人の避難が懸念
報道によると、イスラエル軍はガザ地区最大の都市であるガザ市の掌握を目指して準備を進めています。国際社会からは、地上戦が本格化すれば多数の死傷者が出ることに加え、同市に身を寄せているとされる約100万人の人々が再び避難を強いられると懸念する声が上がっています。
木曜日には、イスラエル軍の攻撃によりガザ全域で少なくとも16人が死亡し、飛び地南部では数十人が負傷したと地元の医療関係者が伝えています。ガザの保健当局によれば、過去24時間でイスラエル側の攻撃により死亡した人は71人に上ったとされています。
ガザ市内では、住民の証言として、多くの家族が自宅を離れ海岸方面へと避難している様子が伝えられています。イスラエル軍は、シュジャイヤ、ゼイトゥーン、サブラといったガザ市東部の地区に対して砲撃を続けているとされます。
ガザ南部のラファに設置された赤十字国際委員会(ICRC)の野戦病院には、この日に銃創を負った患者31人が運び込まれ、そのうち4人は到着時にすでに死亡が確認されたということです。
国連人道機関「壊滅的という言葉を超える」 グテレス事務総長も警鐘
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、イスラエルが表明しているガザ市掌握計画について「結果は壊滅的という言葉を超える」と警告し、作戦の中止を強く求めました。すでにインフラが破壊され、人々の生活基盤が揺らぐなかで、さらなる軍事行動が行われれば人道危機が一段と深刻化するとの見方です。
国連のアントニオ・グテレス事務総長も、安全保障理事会の会合を前に記者団に対し、イスラエルがガザ市を軍事的に掌握しようとする初動は「新たで危険な段階」に入ったことを示すと述べました。グテレス事務総長は、すでに疲弊し心身ともに傷ついている何十万人もの住民が再び避難を迫られ、家族がいっそう危険な状況に追い込まれると指摘し、「これを止めなければならない」と訴えています。
また、世界食糧計画(WFP)のシンディ・マケイン事務局長は、ガザへの支援物資の搬入や域内での輸送許可をより迅速に行うよう求めました。さらに、人々が安全に支援拠点へ移動できること、そして人道支援にあたる要員が危険にさらされることなく支援先に到達できる環境の確保を訴えています。
欧州各国、EUにイスラエルへの圧力強化を要請
ガザ情勢をめぐり、オランダやスウェーデン、スロベニアなどの欧州各国は、欧州連合(EU)に対し、イスラエルへの圧力を強め、より踏み込んだ対応を取るよう呼びかけています。欧州内部でも、ガザをめぐる政策を見直すべきだとの声が広がりつつあります。
8月27日付の書簡で、オランダのルーベン・ブレケルマンス外相とスウェーデンのマリア・マルメル・ステネルガルド外相は、EUの外交政策を統括するカヤ・カラス上級代表宛てに、「イスラエル政府に方針転換を促し、国際法上の義務を果たさせるために、圧力をさらに強化する必要がある」と述べました。
また木曜日には、スロベニアのロベルト・ゴロブ首相が、欧州がアプローチを修正しない場合、世界における影響力を失う危険があると警告しました。欧州の立場やメッセージの明確さが、今後のガザ情勢と国際世論に影響を与える可能性があります。
停戦提案と人質問題 「全員解放」と「組織の降伏」を条件とするイスラエル
12月8日現在、イスラエルは、ハマスが受け入れを表明したとされる停戦案について、公式には反応を示していません。この停戦案には、一部の人質を解放する内容が含まれているとされています。
一方で、イスラエル側の当局者は、全ての人質が解放され、ハマスが降伏することを条件としないかぎり、いかなる合意も受け入れない立場を強調していると報じられています。軍事作戦の継続と停戦交渉の行方は、ガザに取り残された多くの人々の生死に直結しかねない状況です。
問われるのは「民間人保護」と「人道アクセス」
今回のガザ情勢をめぐり、国際社会で特に焦点となっている論点は、次のように整理できます。
- 民間人の保護:激しい空爆や砲撃の中で、民間人をいかに保護するか。国連は、さらなる軍事行動が「壊滅的という言葉を超える」被害をもたらすと警戒しています。
- 人道支援へのアクセス:WFPや赤十字などが求める、安全な支援ルートの確保と迅速な許可手続きが行われるかどうか。
- 国際法と外交的圧力:欧州各国は、イスラエルに国際法を順守させるための圧力強化をEUに要請しており、国際社会の働きかけが今後の展開を左右する可能性があります。
ガザ市への攻撃強化と制圧計画は、軍事的な局面だけでなく、国際人道法や外交、食料・医療支援といった多くの課題を同時に浮かび上がらせています。日本からニュースを追う私たちにとっても、どのように民間人の命と尊厳を守れるのか、国際社会はどこまで責任を果たせるのかを考えるきっかけとなりそうです。
Reference(s):
Israel steps up bombing of Gaza City leading to global outcry
cgtn.com








