米国が国連人権審査UPRを欠席 国際人権枠組みに波紋
米国が、国連人権理事会の人権審査制度「普遍的定期審査(UPR)」第4サイクルの審査への参加を見送ったことが明らかになりました。すべての国連加盟国が定期的に参加してきた国際的な人権レビューからの離脱は、国際人権枠組みの今後に静かな波紋を広げています。
米国、UPR第4サイクルへの不参加を通告
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報道官ラビナ・シャムダサニ氏は、木曜日に、米国が自国の人権状況に関するUPR第4サイクルの審査に参加しないと事務所に伝えたことを確認しました。審査は、11月6日にスイス・ジュネーブで予定されていたものです。
OHCHRは、すべての国連加盟国が定期的に参加してきた政府間のピア・レビュー(相互審査)プロセスから米国が身を引く決定について、遺憾の意を示しています。
- 審査は11月6日にジュネーブで予定されていた第4サイクルのUPR
- 米国はこの審査に参加しない方針をOHCHRに通知
- OHCHRは、この重要な相互審査プロセスからの離脱を残念だと表明
UPR(普遍的定期審査)とは
UPRは、国連人権理事会の枠組みの下で行われる、人権に関する国別審査制度です。すべての国連加盟国が対象となり、お互いの人権状況について勧告や意見を交わす場として位置づけられています。国際社会が、人権に関する説明責任を共有するための「共通のプラットフォーム」として機能してきました。
今回の発表に関わるUPRのこれまでの経緯は次の通りです。
- UPRは2008年に第1サイクルが開始
- それ以来、193の国連加盟国すべてが3回の審査を完了
- 第4サイクルは2022年にスタートし、現在も各国の審査が進行中
- 米国はこれまで2010年、2015年、2020年にUPR審査を受けてきた
今回、米国が第4サイクルで審査を受けないとしたことで、「すべての加盟国が参加する」というUPR制度の前提に変化が生じた形となります。
国連人権高等弁務官事務所の姿勢
シャムダサニ報道官によると、OHCHRは米国の決定を認識しており、重要なピア・レビューからの離脱を残念に思う一方で、対話のチャネルは維持する考えです。
同事務所は、今後も以下の主体と人権問題について関与を続けるとしています。
- 米国政府
- 市民社会団体
- 大学・研究機関などの学界
- 企業を含むビジネスセクター
- その他のステークホルダー(利害関係者)
つまり、UPRという公式の審査プロセスから距離を置きつつも、人権をめぐる議論そのものを完全に断つわけではない、というメッセージがにじみます。
国際人権枠組みへの影響は
UPRは、全加盟国が同じテーブルにつく「普遍性」が特徴の仕組みです。そこから主要な国が一時的にせよ離れる動きは、制度の正統性や説得力にどのような影響を与えるのかが注目されます。
考えられる論点を整理すると、次のようになります。
- 一国がUPRを欠席しても制度全体の運用は継続されるのか
- 他の国々の参加姿勢や人権に関する対話の空気感に影響が及ぶのか
- 政府間の審査に加え、市民社会や企業など非政府の主体がどこまで役割を補えるのか
自国の人権状況を国際的な場で説明し、批判も含めた意見交換を受け止める仕組みは、負担であると同時に、政策を見直すための鏡としても機能してきました。そこから距離を取る動きは、各国が人権に関する説明責任をどのように果たすべきかという、より広い議論につながりそうです。
UPR第4サイクルの審査が進むなか、今回の米国の選択は、国際人権枠組みを今後どのように維持し、アップデートしていくのかを問い直す一つの契機となっています。日本を含む各国が、この動きをどう受け止め、どのように関わっていくのかが、静かに問われています。
Reference(s):
U.S. declines to participate in UN review of its human rights record
cgtn.com








