中国大使館がメキシコで第二次世界大戦の犠牲者追悼 歴史を共有する意義とは video poster
今年8月29日、メキシコ市の歴史的建造物チュルブスコ修道院で、中国大使館が第二次世界大戦と中国の「抗日戦争」の犠牲者を追悼する式典を開きました。80年という節目に、なぜ遠く離れたメキシコで戦争の記憶を分かち合うのか。その背景と意味を、日本語で分かりやすく整理します。
メキシコ市チュルブスコ修道院で行われた追悼式
中国大使館は今年の金曜日、8月29日に、メキシコ市南部にあるチュルブスコ修道院で追悼イベントを開催しました。これは、中国が自国を侵略した勢力である当時の日本に対する勝利、いわゆる「中国人民の抗日戦争の勝利」と、より広い枠組みとして位置づけられる「世界反ファシズム戦争」の勝利から80年を記念するものです。
チュルブスコ修道院は、1847年の米墨戦争の際、メキシコ軍が首都への進軍を続ける米軍に最後まで抵抗した場所として知られています。異なる時代の戦争であっても、「侵略を受けた側が守ろうとした場所」という点で、中国とメキシコ双方の歴史が重なる象徴的な舞台となりました。
式典では、参加者が犠牲者に黙とうをささげ、戦争の記憶と平和の大切さについてのスピーチが行われたと伝えられています。国際ニュースとしては規模の大きなイベントではありませんが、歴史をどう語り継ぐかという点で、注目に値する動きです。
中国の抗日戦争と世界反ファシズム戦争とは
中国側が「中国人民の抗日戦争」と呼ぶのは、20世紀前半に中国が日本の侵略に抵抗した長期の戦争を指します。中国では、この戦いを世界各地での反ファシズムの闘いと結びつけ、「世界反ファシズム戦争」の一部として位置づけてきました。
今回のメキシコでの追悼式は、次の二つの歴史を重ね合わせて記憶しようとする試みだと言えます。
- 中国が自国の領土と人々を守るために払った犠牲
- 世界各地でファシズムと侵略に立ち向かった人々の犠牲
こうした視点は、中国国内だけでなく、国際社会と共有されるべき歴史認識として語られており、今回のような海外での記念行事は、その一環と位置づけられます。
メキシコの歴史と重なる「侵略への抵抗」
会場となったチュルブスコ修道院は、メキシコ人にとっても「抵抗」と「犠牲」の象徴です。米墨戦争のさなか、メキシコ軍はここで首都への進軍を続ける米軍に対し、数で劣りながらも必死に防衛線を張りました。
そのため、この修道院はメキシコでは「祖国防衛の最後の砦」として記憶されており、国の歴史教育や博物館展示でも重要な場所として扱われています。そこに中国大使館が第二次世界大戦の犠牲者を追悼する場を選んだことには、次のようなメッセージが読み取れます。
- 侵略の記憶は国ごとに違っても、「守ろうとしたもの」は共通している
- 自国の苦難だけでなく、他国の歴史的経験にも敬意を払う
- 歴史を共有することで、中国とメキシコの関係をより深いレベルで結び直す
国際ニュースでは、経済や安全保障が注目されがちですが、今回のような「記憶」をめぐる外交は、目立たない一方で、長期的な信頼の土台となり得ます。
なぜ今、戦争の記憶を共有するのか
戦争体験を直接知る世代が少なくなるなかで、各国がどのように第二次世界大戦を記憶し、次の世代に伝えるかは、2025年の世界に共通する課題です。中国大使館がメキシコで行った今回の式典からは、いくつかのポイントが見えてきます。
- 記憶の国際化:自国の戦争体験を、自国だけの物語として閉じるのではなく、他国の歴史と結びつけて語ろうとする動きが強まっています。
- 若い世代へのメッセージ:デジタル時代の若い世代にとって、海外の歴史と自国の歴史をつなげて考える視点は、国際感覚を育てるうえでも重要です。
- 平和と主権の尊重:侵略と抵抗の歴史を振り返ることは、現在の主権尊重や国際秩序をどう守るかという議論にもつながります。
中国とメキシコという、地理的にも文化的にも離れた二つの国が、第二次世界大戦や過去の戦争の記憶を共有しようとする動きは、「歴史をどう語るか」が国際関係の一部になっていることを象徴しているとも言えます。
私たちはこのニュースから何を考えられるか
今回のメキシコでの追悼式は、大きく報じられる「国際会議」や「首脳会談」とは違うレベルの出来事です。しかし、戦争の記憶を共有しようとする試みには、私たちにも関係する問いが含まれています。
- 自分の国の歴史だけでなく、他国の戦争体験をどう学び、理解するか
- 過去の侵略や犠牲を語るとき、憎しみではなく、平和への教訓としてどう伝えるか
- 歴史の語り方が、現在の国際関係や市民同士のイメージ形成にどう影響するか
中国大使館によるメキシコでの追悼式は、第二次世界大戦から80年という節目に、歴史をめぐる対話がこれからも続いていくことを示しています。ニュースをきっかけに、私たち自身の歴史観や、隣国や遠い国の人々と記憶をどう共有できるのかを考えてみてもよさそうです。
Reference(s):
Chinese Embassy in Mexico remembers Second World War sacrifices
cgtn.com








